AI時代に存在感が増す「Cloudflare」はインターネットの救世主となるか(後編)
(前編からの続き)
Cloudflareの業績を語る上で見逃せないのが、大企業からの需要拡大です。特に2025年に入り、ハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)から乗り換える動きが顕著になっています。
その中でも象徴的なのが、2025年1〜3月に成立した過去最大規模の契約。あるグローバルの“大手テック企業”が、今後5年間で総額1億ドル超(報道によると約1億3,000万ドル)を利用する契約をCloudflareとの間で締結しました。
この顧客企業は元々Cloudflareの既存ユーザーでしたが、契約を大幅に拡大。技術的な中核に据える決断をしたのが、『Workers』に代表される同社の開発者向けプラットフォームです。

当初この企業は、あるハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)を採用する方向で検討を進めていました。しかし最終的にCloudflareへのスイッチを決定。理由は「高いパフォーマンス」「開発コストの低減」「プラットフォームのモダンさ」にあるといいます。
Cloudflare Workersは、世界330か所以上のデータセンターにサーバレスでコードを実行できるサービス。サーバレスは文字通り「サーバーの管理が不要」で、開発者は機能そのものに集中できます。全地球どこからでも実行できるため、ユーザーに近い場所で処理でき、遅延を抑えられるのも特徴です。
同社のサービスがハイパースケーラー(一般にAWS、Azure、Google Cloud Platformのいずれか)よりも価値を発揮できると判断されたのは驚くべきことです。データセンターの数だけで言えば、Azureが400を超えるなど必ずしも劣後しているわけではありません。