【AIデータセンター関連銘柄】生成AI時代のインフラを担う日本企業とは

さくらインターネット

生成AIの台頭により、AI演算処理に最適化された“次世代データセンター”への需要が世界的に高まっています。

特に、GPUによる高負荷処理や大容量データ通信、電力・冷却効率といった高度な要件に対応したインフラは、生成AIの実用化を支える重要基盤です。
国内でも通信大手やIT企業が積極投資を進めており、政府も補助金や政策支援を通じて開発を後押ししています。

また、安定収益と高成長の両面が期待されることから、投資対象としても注目度が高まっています。

そこで今回は、AI用途に対応したデータセンター事業を展開する日本の銘柄を紹介します。

NTT(9432):その成長戦略の鍵は?光技術で未来を創る

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NTT(日本電信電話)は、成長戦略の柱としてデータセンター事業に注力し、グローバル市場でその存在感を高めています。
AIの活用が本格化し、データ需要が爆発的に増加するなか、NTT Global Data Centersを中心に世界各地で拠点の新設や設備投資を加速させています。

このデータセンター事業における競争優位性の源泉となるのが、次世代の光技術を活用した「IOWN構想」です。
IOWNは、従来の通信技術が直面する消費電力や遅延といった課題を根本から解決し、圧倒的な省電力・大容量・低遅延の通信基盤を実現します。
データセンター内のサーバーからネットワーク全体までを光ベースで構築するこの構想は、まさしくAI時代の膨大なデータ処理を支える切り札と言えるでしょう。

このIOWN構想が完全に実現した時、AIデータセンターはどのように進化し、NTTグループの収益基盤にどのような変革をもたらすのでしょうか。
その未来像を読み解くことが、同社の真の価値を理解する上で不可欠です。

さくらインターネット(3778):国産クラウドの旗手へ、約659億円の大型投資に踏み切った

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かつては「地味なレンタルサーバ屋」のイメージもあったさくらインターネットですが、生成AIの波に乗り、国産クラウド事業者として大きな戦略転換に踏み出しました。
AWSやAzureといった外資系クラウドが市場を席巻する中、日本語の大規模言語モデル開発や経済安全保障の観点から「国内で制御可能な計算基盤」の重要性が再評価されており、同社はその旗手として独自のポジションを確立しつつあります。

その覚悟を象徴するのが、経産省の支援も受けた大規模なGPUクラウド基盤への投資です。
同社は、自社の石狩データセンターを中核拠点とし、生成AIの計算基盤となる高性能なGPUサーバー群の増設に踏み切りました。
なぜ同社は、これほどの巨額投資に踏み切ることができたのか。
その背景には、レンタルサーバ事業から国産パブリッククラウドへと事業の軸足を移してきた、周到な戦略がありました。

では、同社が描くGPUクラウド戦略の全体像とは?そして、この巨額投資が持つ本当の意味とは何なのでしょうか。

▼さくらインターネットのGPUクラウド戦略の全貌を詳しく解説
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生成AI時代に約659億円を投資!さくらインターネットが描くGPUクラウド戦略

ソフトバンク(9434):「超知性」の実現を目指す、壮大なビジョンを掲げる

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ソフトバンクは、単なる通信事業者の枠を超え、AI時代の情報革命を牽引する中核的インフラ企業への変貌を遂げようとしています。
同社は、生成AIのさらに先にあるASI(人工超知能)が10年以内に実現するという未来を見据え、そのために必要なインフラをグループ総力で構築する方針を明確にしています。

その壮大な構想を具現化する一手となったのが、旧シャープ堺工場を取得し推進する、大規模なAI向けデータセンターの自社開発です。
これは、通信、クラウド、AIといった事業領域の連携を通じて、来るべき「超知性」の時代に不可欠な計算基盤を内製化する戦略の核となります。
孫正義氏が語る「ASI」の実現という前提のもと、AIチップ、データセンター、電力、AIロボットといった「ピース」を着実に集めているのです。

では、孫正義氏が語る「超知性」とは具体的に何を指すのか?
そして、ソフトバンクグループが描く未来の全体像とは、どのようなものなのでしょうか。

▼孫正義氏が語る未来ビジョンとソフトバンクグループのAI戦略、その全貌はこちらで解説
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数年後にAGI、十年以内には「超知性」誕生へ?孫正義氏の語るソフトバンクグループの未来ビジョン

GMOインターネットグループ(9449):ネットインフラの雄が挑む、GPUクラウドという新たな成長戦略

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ドメインやサーバー、決済サービスといったネットインフラ事業で国内トップクラスのシェアを誇るGMOインターネットグループ。
その安定した顧客基盤と技術力を活かし、AI・ロボット事業という新たな成長領域へ参入しています。

こうした最先端分野へのスピーディーな投資と事業展開を可能にしているのが、長年にわたり築き上げてきた盤石な「ネットインフラ事業」の存在です。この安定した収益基盤こそが、同社の成長戦略の根幹を支えています。

では、同社の強さの源泉であるネットインフラ事業は、どのような収益構造になっているのでしょうか。
以下の記事では、同社が大幅な増益を達成した時期の決算を紐解き、その盤石な事業構造を詳しく解説しています。

▼GMOの強さの源泉である「ネットインフラ事業」の収益構造は、こちらの決算(3Q19)まとめで詳しく解説
>>ネットインフラ事業が大幅増益「GMOインターネット」3Q決算まとめ

NEC(6701):ネットワーク技術の融合で次世代DCを推進する

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NEC(日本電気)は、AIや5Gといった成長領域を支える基盤インフラとして、データセンター機能の高度化に注力しています。
同社の強みは、長年培ってきた通信技術とITソリューションの知見を融合させ、ネットワークとAIが一体となった次世代データセンターを推進している点にあります。

国内における再生可能エネルギー対応のデータセンター新設と、AI技術強化を支える高性能インフラへの取り組みは、環境負荷と性能の両立が求められる現代において、法人顧客からの信頼を高める重要な要素です。
さらに、自社で開発を進める日本語LLM(大規模言語モデル)との連携も視野に入れており、単なるインフラ提供に留まらない付加価値の創出を目指しています。

これにより、企業や官公庁向けにAIを統合したプラットフォームを提供し、BtoB領域での収益拡大が期待されます。
同社が持つネットワーク技術とAI開発力が、データセンター事業において具体的にどのような相乗効果を生み出し、競合他社との差別化に繋がっていくのか、その戦略が注目されます。

日立製作所(6501):社会インフラとの連携で独自の価値を創出する

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日立製作所は、長年培ってきた社会インフラ領域での知見と実績を、データセンター事業と連携させることで独自のポジションを築こうとしています。
 同社にとってデータセンターは、単なる計算基盤ではなく、エネルギー、交通、製造といった社会インフラと連動し、社会全体のDXを推進するための中核と位置づけられています。

その戦略を具現化するため、社内に専門組織を立ち上げ、特にエネルギー効率、セキュリティ、そしてAI活用という3つの観点から、企業や官公庁に最適化されたデータセンター運営体制の強化を進めています。
 カーボンニュートラルや産業DXといった大きな社会トレンドを追い風に、公共向けの契約を通じてストック型の安定した収益構造を構築できる点が、同社の大きな魅力です。

社会インフラという巨大な事業基盤とAIデータセンターが連携することで、具体的にどのような新たな価値やビジネスモデルが生まれるのか。
そのユニークな戦略が、今後の成長の鍵を握っていることは間違いありません。

ブロードバンドタワー(3776):都市型DCの強みを活かし、新たな事業モデルへ挑む

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ブロードバンドタワーは、コンピュータプラットフォーム事業の中核としてデータセンター事業を展開しています。
強みである都市型の「新大手町サイト」などを運営し、顧客のサーバーを預かりインターネットへの接続環境を提供しています。

同社は事業環境の変化に対応するため、データセンター事業の刷新を掲げています。
その一環として、北海道石狩市において再生可能エネルギー100%で運用されるデータセンターの事業化を推進しています。
このプロジェクトは、アセットライトな事業モデルへのシフトと、ハイパースケールデータセンター事業への進出を目指すものです。

生成AIの活用などでデータセンター市場の拡大が見込まれる中、従来の都市型データセンターの強みに加え、再生可能エネルギーを活用した新たな事業モデルがどのように成長していくのか、その動向が注目されます。