TripAdvisorからヒルトン、ハイアットまで!昨晩のアメリカ決算の中から気になった6社をチェック

今日も、昨晩発表されたアメリカ市場の決算の中で、特に気になった7社の決算についてチェックしていきたいと思います。


トリップアドバイザー:売上は伸び悩み、利益率は下がり続ける

まずは、世界最大の旅行情報サイト「トリップアドバイザー」。

さっそく業績推移を見てみます。

売上高の成長は鈍化し、営業利益率が下がり続けています。

2017年の売上高は15億5600万ドル(前年比+5.1%)、営業利益は1億2400万ドル(同-25.3%)という水準。

利益率低下の要因を探るため、2009年からのコスト構造の変化を見てみましょう。



上のグラフは営業費用の絶対額ではなく、「対売上比率」の推移です。

2011年まではコスト全体でも売上に対して60%以下だったのが、2017年には92%まで増えています。

内訳を見ると、最も顕著に増えているのが販売マーケティング(Selling and marketing)費用で、売上に対して30%前後だったのが、55%近くまで増えています。

売上原価率も1.3%から5%、テクノロジー&コンテンツ費用も8%から16%、一般管理費も4%から10%に増大。

組織を拡大しているにも関わらず、売上が思うように増えないという苦悩が伝わってくるような気がします。(憶測です)


全体売上の56%がアメリカで、27%がヨーロッパ、それ以外の地域は17%を占めています。



Wix.com:売上高46%成長、赤字率縮小。有料課金者数はTinderよりも多い

続いて、ホームページの作成サービスなどを提供するWix.com。

売上高は4億2363万ドル(前年+46%)、営業損失は5001万ドル(前年は4403万ドル)。

高い売上成長を続け、売上に対する赤字率は縮小しています。

直近四半期だけで、新規登録ユーザーは530万人増え、有料課金者数は17万人の純増。

全体の登録ユーザーは1億1900万人(前年同期+22%)、有料課金者数は320万人に達しています。

四半期のフリーキャッシュフローは1960万ドル。

関係ないですが、Tinderの有料課金者数が310万人と先日報告されているので、Tinderより多いですね。

財政状態をチェックしてみます。

総資産は3億3194万ドルあり、そのうち現金同等物と短期投資が合わせて2.3億ドル。

長期借入金は122万ドル。

現在の時価総額は32.59億ドルなので、EV(企業価値)は30億ドルくらいです。

年間のフリーキャッシュフローを1960万 x 4 = 7840万ドルと考えると、EVはその38.2年分。


2018年も売上とフリーキャッシュフローともに40%成長を目指しており、強気の予想です。


シスコ:安定成長

続いて通信機器大手のシスコ・システムズ。7月決算なので、今回発表されたのは2Qの決算です。

四半期の売上高は116億ドルから119億ドル、営業利益は29億ドルから31億ドルに増益。

製品ごとの売上も見てみます。

製品売上は85億ドルから87億ドル、サービス売上は31億ドルから32億ドルにちょっとだけ増収。

製品売上87億ドルのうち、「Infrastructure Platforms」が67億ドル、「Applications」が12億ドル、「Security」が5.6億ドルの売上をあげています。

また、四半期の全体売上119億ドルのうち、アメリカは70億ドル、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)は30億ドルで、アジアなどその他地域が18億ドルの売上。


財政状態を見ると、総資産1315億ドルのうち、現金同等物が176億ドル、短期投資が560億ドル。

短期借入金は137億ドル、長期借入金は256億ドルあります。

時価総額は現時点で2080億ドルなので、EV(企業価値)は1737億ドル(2080 + 137 + 256 - 176 - 560)と計算できます。

2Qまでの半年間のフリーキャッシュフローは67.7億ドルなので、1年で135億ドル稼げると考えて、EVはフリーキャッシュフロー8.6年分です。


ドクターペッパー:営業利益率20%以上

続いて、清涼飲料水のドクターペッパー。個人的にはあまり飲みたくないやつですが...

着実に伸びている上に、営業利益率も20%以上と高いのでいつかまとめたい会社の一つです。

2017年の売上高は67億ドル、営業利益は14億ドルほど。

売上原価率は40%、販管費が38.2%ほどというコスト構造。

セグメントは売上13億ドルの「Beverage Concentrates」、49億ドルの「Packaged Beverages」、5億ドルの「Latin America Beverages」の3つに分類されています。

最も売上の大きい「Packaged Beverages」は、ドクターペッパー自身が製造からボトリング、流通までを自社で担う事業。

「Beverage Concentrates」セグメントは、所有する飲料ブランドによる事業で、主にアメリカとカナダでドクターペッパーやカナダ・ドライなどの飲料を製造し、サードパーティのボトリング業者に送るという形。


ヒルトン・ワールドワイド:スピンオフにより減収減益も、実態は堅実に成長

「ヒルトンホテル」などで有名なヒルトン・ワールドワイド。

2016年までは調子よく、売上116億ドルまで伸ばしていたのが、2017年には91億ドルと大きく減収。

営業利益も14億ドルと、2015年の21億ドルと比べて大きく下がっています。

これは、2017年1月に完了した「Park Hotels & Resorts Inc.」「Hilton Grand Vacations Inc」のスピンオフによるもので、残った企業体としての売上は順調に増加しているようです。

フランチャイズによるその他収益が40億ドルから56億ドルへと大きく増えています。


 ハイアットホテルズ:ヒルトンの半分の規模も、1.6倍の単価

最後に、同じく高級ホテルチェーンとして有名なハイアットホテルズ。

売上高は47億ドル、営業利益6億ドル弱という規模。

ヒルトンと比べると半分くらいの規模ですが、業績は拡大基調です。

売上高の内訳を見てみます。

売上構成は先ほどチェックしたヒルトン・ワールドワイドと極めて似通っています。

業界人にとっては当然なのかもしれませんが、面白いですね。

ちらっとみたところ、ホテル業界には「ADR」「Occupancy」「RevPAR」などの業界固有の事業KPIがあるようです。

せっかくなので、ヒルトンとハイアットを比べてみましょう。

まずはADR(Average Daily Rate)とRevPAR(Revenue per Available Room)の比較です。


どちらも、ハイアットの方が1.6倍ほどの値段になっています。

ちなみに、ADRとは「ホテルの部屋による売上を、販売された部屋ののべ数で割った値」とのことで、部屋を一晩借りるのに平均していくらかかったかがわかります。

一方、RevPARは「ホテルの部屋による売上を、利用可能な部屋ののべ数で割った値」とのこと。こちらは借りられなかった部屋も含んだ値なので、部屋の在庫あたりの収益性がわかることになります。

当然、ADRの方がRevPARよりも高くなることになります。

プロ庶民なので知らないのですが、ハイアットの方がヒルトンよりも高価なんですね。また一つ詳しくなりました。

一方、Occupancy(占有率)もみてみると、ヒルトンは75.5%、ハイアットは76.7%という水準。だいたいこのくらいを目指して経営しているということでしょうか。


ハイアットの方は、同じグループ内でも業態ごとにADRなどの数値を書いてあったので、最後に載せてみます。カッコ内は拠点数とのこと。

同じハイアットでも二倍近く差があるんですね。