Coinbaseが混迷期を生き延びる戦略 CEOは市場の崩落をどう見る

Coinbaseが混迷期を生き延びる戦略 CEOは市場の崩落をどう見る

Coinbase

少し前まで「ハイパーグロース」ともてはやされた企業は、その多くが市場からの評価を見るも無惨に落としている。最も顕著な例の一つが、今回取り上げるCoinbaseだ。

Coinbaseは2012年の創業。ビットコインをはじめとした暗号通貨を便利に売買できる場所をつくることで、一大プラットフォームへと成長。2021年に華々しく新規上場を果たした。

実際、Coinbaseの業績は素晴らしいものだった。2021年の売上高は前年比6倍の78.4億ドル。営業利益は30.8億ドルにものぼった。2021年11月には上場時の時価総額860億ドルを回復し、市場から十分な期待を集めていた。

ところが、その後は急坂を転げ落ちるように株価が低迷。現在の時価総額は74億ドル。今年9月時点でのキャッシュ残高が50億ドル(経営陣によると実質60億ドル)あることを考えれば、極めて低い評価と言わざるを得ない。

それにも関わらず、Coinbase創業者のブライアン・アームストロングCEOは、こんな奇妙なことを言う。「実のところ、私はダウンサイクルをこれまで以上に楽しんでいる

アームストロングCEOは市場低迷期に何を考え、そして準備しているのか。今回の記事では、Coinbaseが逆境下で進める長期戦略について解説する。

急な売上減には大規模なリストラで対応

暗号資産取引所をコアとするCoinbaseにとって、市場サイクルとともに収益が変動することは、予め分かっていることだった。創業からの十年間で、既に4回のサイクルを経験している。

新規上場時の資料でもそのことを明示し、市場が下落に転じた場合には赤字に陥る可能性が高いことを示していた。その代わり、儲かるときにはとことん儲かる。

一貫して目指してきたのは、市場低迷期にも耐えうる新たな収益源を確立すること。その具体的な数値となるのがサブスクリプション・サービス収益(以下、サービス収益)である。

Coinbaseのサービス収益はグラフの青色部分。概ね右肩上がりの拡大を続け、7〜9月期には前四半期比で42%増。かなりの成長角度である。取引収益の低迷もあり、サービス収益は売上全体の35%を占めるまでに拡大した。

キャッシュフローも猛烈なマイナスだが...?

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