ソニーによる買収(M&A)の歴史

ソニーが実施した主要な買収(M&A)、ジョイントベンチャー設立、完全子会社化

CBSレコード(1988年、約2,700億円)

ソニーは1968年3月、米国最大級の放送ネットワーク「Columbia Broadcasting System Inc.(CBS)」と合弁で日本事業「CBS・ソニーレコード株式会社」を設立した

1988年1月、CBSからレコード部門「CBSレコード」の株式100%を約2,700億円で取得。約1年にわたる交渉を経て買収に至った。

CBSレコードは1991年に「ソニー・ミュージック・エンタテインメント(SME)」へ社名変更し、同年に東証二部へ株式上場を果たした(1999年上場廃止)。

ソニーは、2004年にドイツのメディア企業「ベルテルスマン」と合弁で、「ソニーBMGミュージックエンタテインメント」を設立。2008年に約9億ドルで完全子会社化し、社名を「Sony Music Entertainment」に変更した。

コロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(1989年、約5,200億円)

CBSレコード買収から間もない1989年、ソニーは米国の大手映画会社「コロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント」の株式99%をTOBにより34億ドル(当時約5,200億円)で買収した。

日本企業による買収としては当時史上最高額での米国企業買収となったことでも大きな注目を集めた。

コロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメントは1991年に「ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント」へ社名変更。ソニーは音声・映像の両分野で世界基盤を手に入れることになった。

現在、ソニー・ピクチャーズの傘下にはアニマックスやAXNジャパン、キッズステーション、ミステリチャンネル(2008年買収)がある。

2016年、インドのメディア企業「ZEE」よりスポーツコンテンツ「TEN Sports Network」を3.85億ドル(約397億円)で買収した。

2019年、米国メディア企業「Silvergate Media Group」を1.95億ドル(約213億円)で買収し、子供向けコンテンツを強化した。

アイワ(2002年)

オーディオ機器ブランド「アイワ」の株式61%を株式交換で取得し、吸収合併した。

ソニーは2008年5月に「アイワ」ブランドのビジネスをクローズした

2018年、秋田県の十和田オーディオがブランドを譲り受け、新会社「アイワ」を設立してオーディオやテレビなどの家電製造に取り組んでいる。

メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(2005年、約5,300億円)

ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカは2005年、複数のパートナー会社によるコンソーシアムを通じて米国の映画制作企業「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)」を買収した

パートナー会社は「プロビデンス・エクイティ・パートナーズ」「テキサス・パシフィック・グループ」「コムキャスト・コーポレーション」「DLJマーチャント・バンキング・パートナーズ」で、ソニーのMGM所有権は約20%のため非連結。

1株当たり12ドルを総額28.5億ドル(約3,100億円)の現金で取得するほか、約20億ドルの債務も引き継いだことで買収規模は約5,300億円にのぼった。

なお、ソニー・ピクチャーズは2015年にMGMとの資本関係を解消した

コニカミノルタフォトイメージング(2006年、約200億円)

コニカミノルタのカメラ事業撤退に伴い、子会社「コニカミノルタフォトイメージング」を約200億円で買収した。

ソニーは本取引後に一眼レフカメラ事業へ参入し、「α(アルファ)」シリーズを展開している。

グレースノート(2008年、約269億円)

米国の楽曲データベース「グレースノート」を2.6億ドル(約269億円)で買収した。

2013年、米国メディア「トリビューン」へ約1.7億ドルで売却

長崎セミコンダクターマニュファクチャリング(2011年、約530億円)

ソニーは2008年、 東芝、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)3社の合弁で半導体製造「長崎セミコンダクターマニュファクチャリング(NSM)」を設立した。

2011年、東芝のシステムLSI事業再編に伴い、ソニーは東芝が保有する半導体製造設備およびNSMの株式(約60%)を530億円で取得した。

ソニーはNSMの設備を活用し、CMOSイメージセンサーの生産能力を増強することに成功した。

2015年、ソニーは東芝が主に大分工場内に所有する一部の半導体製造関連施設、設備及びその他関連資産を約190億円で取得している

2019年、ソニーセミコンダクタソリューションズはスイスのネットワーク仮想化技術開発企業「Mido Holdings」を買収。クラウドシステムと連携可能な新たなエッジ分散コンピューティング環境の構築にも取り組んでいる。

ホークアイ(2011年)

2011年、スポーツ競技においてボールのイン・アウト判定技術を開発する英国企業「ホークアイ」を条件非公開で買収した。

ホークアイは2012年にFIFAがゴール判定技術として正式採用したほか、ワールド・ベースボール・クラシック中継(2013年)、ウィンブルドン中継(2013年)、卓球Tリーグ(2019年)、MLB(2020年)に導入されるなど、さまざまな競技で利用が拡大している。

参考:ビジネス+IT「ソニーが「スポーツテック」で天下を取れるワケ、子会社ホークアイは何がヤバいのか?

ソニー・エリクソン(2012年、約1,110億円)

ソニーとスウェーデンの通信機器会社「エリクソン」は2001年、当時不採算だった両社の携帯電話事業を統合して「ソニー・エリクソン」を設立した。

2011年、ソニーはエリクソンが保有する「ソニー・エリクソン」の株式すべて(50%)を10.5億ユーロ(約1,110億円)で買収することを発表し、2012年に取引を完了して完全子会社化。社名を「ソニーモバイルコミュニケーションソニー・モバイル」に変更した。

ソネットエンタテインメント(2012年、約548億円)

1995年、ソニー関連3社(ソニー、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニーファイナンスインターナショナル)の共同出資により、「ソニーコミュニケーションネットワーク」を設立した

翌1996年に「So-net」として、ISP事業を開始し、2005年に東証マザーズへ株式上場。2006年に社名を「ソネットエンタテインメント」に変更した。

2012年、ソニーが公開買付けによりソネットエンタテインメントを約548億円で完全子会社化し、ソネットは上場廃止となった。翌2013年、超高速光インターネット「NURO(ニューロ) 光」の提供を開始している。

ソネットは2016年にソニーモバイル傘下となり、社名を「ソニーネットワークコミュニケーションズ」に変更した。

アルティア(2016年、約250億円)

2016年、ソニーはイスラエルのモデムチップ開発企業「Altair Semiconductor」を2.12億ドル(約250億円)で買収した

アルティアはモバイル機器のデータ通信技術規格であるLTE(Long Term Evolution)向けモデムチップ技術を開発する企業。

本件はIoT機器やウェアラブル端末など新たなセンシングデバイスの開発に向けた取り組みの一環として実施された。

Sony/ATV Music Publishing(2016年、約758億円) 

マイケル・ジャクソン氏との合弁事業により、ソニーは50%を出資して音楽出版会社「Sony/ATV Music Publishing」を設立した

Sony/ATV Music Publishingは2007年にエミネム等の版権を持つ「Famous Music」を約3.7億ドルで買収。さらに、2012年にはコンソーシアムを通じてEMIを総額22億ドルで買収し、200万曲を超える版権を保有する世界最大の音楽出版社となった。

2016年、ソニーがMJ財団に対して7.5億ドル(約758億円)を支払い、未保有持分50%を取得して完全子会社化した。なお、本取引後も、MJ財団は、マイケル・ジャクソン氏の全ての楽曲の原盤権やMijac Music(音楽出版社)を含む、その他の音楽資産を引き続き実質的に保有している。

2018年、ソニーはコンソーシアムが保有していたEMI Music Publishingの株式持分すべて(約60%)を23億ドル(約2,500億円)で買い取り、完全子会社化した。

インソムニアック(2019年)

子会社の「ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)」は2019年、米国のゲーム開発企業「インソムニアック」を条件非公開で買収した。

インソムニアックは20年以上にわたってPlayStation向けのゲームタイトルを開発してきた企業で、『ラチェット&クランク』シリーズや『Marvel's Spider-Man』を手掛けてきた。

SIEは本買収により、インソムニアックをソフトウェアタイトル制作部門グローバル統括「SIEワールドワイド・スタジオ」14番目のスタジオとして統合した。

ソニーフィナンシャルホールディングス(2020年、約3,215億円)

ソニーは1979年、プルデンシャル生命との合弁で「ソニー・プルデンシャル生命保険」を設立して金融事業に参入した。

1987年にプルデンシャルとの合弁契約を終了し、1991年に社名を「ソニー生命」に変更。1999年「ソニー損保」営業開始、2001年には三井住友銀行などとの共同出資で「ソニー銀行」を設立してネットバンクにも参入した。

2004年、ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行を傘下とする「ソニーフィナンシャルホールディングス」を設立し、日本で初めて保険会社と銀行を傘下に持つ金融持株会社となった。2007年、東証一部へ株式上場を果たす。

2020年7月、ソニーが公開買付けによりソニーフィナンシャルを約3,215億円で完全子会社化し、ソニーフィナンシャルは2020年8月31日をもって上場廃止となった。

Bilibiliの株式4.98%取得(2020年、約436億円)

2020年4月、ソニーは中国の動画配信その他エンターテインメント企業「Bilibili」の株式4.98%を4億ドル(約436億円)で取得した。

Epic Gamesの少数持分を取得(2020年、約268億円)

2020年7月、ソニーは完全子会社を通じて米国ゲームエンジンおよびソフト開発企業「Epic Games」に対して2.5億ドル(約268億円)の戦略的な出資を行なった。本取引により、ソニーはEpicの少数持分を取得した。

Crunchyroll(2020年、約1,222億円)

2020年12月、ソニー傘下の「Funimation」はAT&Tからアニメ配信事業「Crunchyroll」を11.75億ドル(約1,222億円)で買収した。

Funimationは1994年に米国で設立されたアニメ配信企業で、2017年にソニー・ピクチャーズ子会社「ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・ネットワークス」が1.5億ドル(約165億円)で買収した。

現在は『Fate/Grand Order』の配信や『鬼滅の刃』映像化を手掛けた「アニプレックス」(ソニー・ミュージックエンタテ インメントの子会社)との共同出資による合弁会社となっている

Crunchyrollは2006年に米国で設立され、日本アニメの投稿サイトとしてスタートした。当初は英語字幕などをつけた「ファンサブ」と呼ばれる海賊版サービスで、掲示板やチャット機能による情報交換でも欧米のオタクを惹き付けた。

2008年にテレビ東京と提携した後、日本アニメ会社との協業を拡大してオフィシャルな配信サービスとして位置付けられるように。2013年にThe Chernin Groupのグループ会社となり、再編されたOtter MediaがAT&Tに買収されたことでワーナーメディア傘下に入った。

Crunchyrollは2020年12月時点で200以上の国と地域にてサービスを提供しており、登録ユーザー9,000万人超、有料会員数は300万人以上にのぼる。

参考:Business Insider「ソニーが「1222億円買収」したアニメ配信会社“クランチロール”とは何者か? …キーは“鬼滅”関連のあの企業

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参照

ソニーグループ「会社沿革」「歴史

M&A Online「【ソニー】(1)多くの革新的製品を生み出した名門のM&A手法とは