今週のデイリーニュース特別編では、最近公表されたデータの中から押さえておきたい数値を編集部が5つピックアップしてお届けします。
内閣府は7月、フリーランスに関する初の調査レポートを公表しました。まず最初にチェックしたいのが、これまでも統計調査が行なわれてきた自営業に関するデータです。
農林漁業や製造業の減少により、自営業の総数はここ30年で▲42%も減少しました。一方で、コンサルタントといった「雇用的自営」や会計士など「士業」の割合が増加していることが特徴です。
特定の発注者に依存する「雇用的自営」は"本業としてのフリーランス"に近いとも言え、日本の雇用環境が変化してきていると言及されています。
しかし、日本では「フリーランス」の公的統計は存在せず、内閣府は今回アンケート調査を実施して人数を推計しました。
推計のMAX値である341万人は個人事業主だけでなく、法人を設立した1人社長も含まれます。341万人は就業者人口6,000万人に対して5%ほどで、うち112万人が副業と見られています。ランサーズはスポット業務もフリーランスに含めているため1,090万人と数字が大きくなっています。
クラウドソーシング・プラットフォーム「Upwork」が発表したアメリカのフリーランス人口は5,670万人。最近NASDAQに上場した「Fiverr」で仕事を発注する「バイヤー数」は全世界で210万人にのぼります。 日本でも「クラウドワークス」や「ココナラ」が登場。労働人口の減少に直面する中、日本でもアメリカを追うように「ギグ・エコノミー」が勃興つつあります。
参考
・Upwork「Freelancing in America 2018」
合わせて読みたい
フリーランサー売上の76%がアメリカ国外!世界規模でのクラウドソーシング「Upwork」が新規上場
案件は5ドルから!イスラエル発のクラウドソーシングサイト「Fiverr」が上場申請
調査会社「カウンターポイント」は、eSIMを採用したデバイスが2025年には20億台規模に達するだろうという試算を発表しました。
eSIMは言うなれば"モバイル通信回線のクラウド化"。物理的なeSIMカードを1枚用意すれば、別回線への乗り換えもオンライン上の手続きだけで簡単に実施できます。また、2回線目を契約して利用シーンに応じて使い分ける人も多くいるようです。現在はAppleのiPhone最新機種「XS」「XS Max」「XR」などが対応しています。
日本でも7月18日にIIJmioがeSIMの提供を開始しており、これまで端末×SIMという制約に縛られることも多かった日本の携帯電話市場にも大きな変化が起きようとしています。
一方、スマートフォン出荷台数の伸びはいよいよ頭打ちに。
年間15億台に到達し、今後は耐用年数の長期化などによってスマホの出荷台数は横ばいか減少していくことが見込まれています。
それでもeSIM市場の期待値が高まっているのは、モバイル端末以外でのニーズも大きいためです。
IoTデバイスやドローン・自動車などモビリティへの搭載が見込まれ、特に自動車はルーターやタブレットを上回る接続台数となる予想。ドローンについても7年間のCAGR(年平均増加率)87%という驚異的なペースで増加すると期待されています。
いよいよ5Gの稼働も間近に控える中、eSIMはIoT社会を発展させるための重要なトリガーの1つとして注目すべき技術だといえます。
参考
・カウンターポイント「eSIM内蔵デバイスの出荷台数、2025年に約20億台規模に」
・キャリアの脅威になる? IIJmioの「eSIM」が業界に与えるインパクト
・Gartner Says Worldwide Smartphone Sales Will Decline 2.5% in 2019
農林水産省が7月16日に公表した最新の需給表データによると、2018年度のチーズ消費量が35万2,930トンで過去最高を記録しました。
重量ベースの日本国内チーズ消費量は、2008年に一度落ち込んでから右肩上がりに増加中。2018年は前年比+4.1%と堅調に伸びて、4年連続で過去最高を更新しています。
最近では韓国料理のチーズタッカルビなど、チーズを使った人気メニューが増加中。しかし、チーズの原料である生乳の国内生産には需給ギャップが生まれています。
国内の生乳生産量は年々減少。 輸入が増加する中で消費拡大を後押ししているのが自由貿易化の流れです。
日欧EPAやTPPの発行によって関税が撤廃され、本場のチーズを割安で手に入れられるようになってきました。
国内ではミルク商社「ラクト・ジャパン」が日本のミルク消費を支えており、近年業績を拡大中。彼らも成長戦略の軸にチーズを挙げています。現在、日本の1人あたりチーズ摂取量はフランスの1/10程度。アジア諸国も含めた市場の拡大に大きな期待がかかります。
参考
合わせて読みたい
ミルク輸入シェア30%以上!TPP発効で期待が高まる「ラクト・ジャパン」
電通グループ3社は日本で初となる「物販EC広告費」を推計し、2019年は1,441億円に達する見込みだと発表しました。
Amazonや楽天などのEC上で取引される広告に特化した推計値となっており、2018年に初めて1,000億円を突破。2019年の伸び率は+28%とさらに加速する見込みです。
経済産業省の報告書によると、2018年の国内B2C-EC市場規模は約18兆円にまで拡大。うち物販が9.3兆円、サービス6.6兆円、デジタル系は2.0兆円とそれぞれ増加しました。
物販ECの拡大に伴って需要が高まっているのが「ラストワンマイル物流」です。
矢野経済研究所は7月23日、ラストワンマイル物流市場の調査結果を公表。2018年度の市場規模は1.83兆円で、2020年度には2兆円を突破する見通しを明らかにしました。
ラストワンマイル物流の半数はECなど「通信販売」によるもの。生協などの「定期販売」は横ばいとなる一方で、出前や個人間宅配の成長が期待されています。
今回の推計にUber Eatsなどのシェアリングデリバリー、宅配ボックスは含まれておらず、市場の潜在的な成長ポテンシャルはさらに大きいと考えられます。
参考
・電通「電通グループ3社、日本初「物販系ECプラットフォーム広告費」を推計」
・矢野経済研究所「2018年度のラストワンマイル物流市場規模は約1.8兆円」
合わせて読みたい
「1兆円市場は7ジャンル!16兆円を超えた国内Eコマース市場データまとめ(+世界と越境EC)」
リクルートブライダル総研は7月30日、「婚活実態調査2019」の実施結果を公表しました。
本題に入る前にマクロ環境を押さえておきましょう。
日本の婚姻件数は人口減少に伴って減り続け、ピーク時から半減してしまっています。
結婚市場が縮小する中、社会環境の変化とともに増加してきたのが「婚活サービス」です。
婚姻者のうち婚活サービスを通じて結婚した人の割合は12.7%まで上昇。2000年代前半は「結婚相談所」が主流でしたが、ここ数年で「ネット系サービス」が急成長していることが分かります。結婚していない人も含めると、婚活サービスの利用経験割合は23.5%まで高まっています。
先日、愛に寄り添うテクノロジー紹介メディア「LoveTech Media」は国内の『出会い支援サービス カオスマップ2019』を公開。数え切れないほどのサービスが乱立している様子が伺えます。
出会い支援サービスの代名詞といえばやはり「デーティングアプリ」でしょう。
Match Groupが提供する「Tinder」の課金ユーザー数は523万人と2年弱で2.5倍以上に急増。日本ではネットマーケティングが提供する「Omiai」などがユーザー数を急激に伸ばしています。
まだ日本ではアーリーアダプターな空気もあるオンライン・マッチングですが、アメリカではすでにマジョリティとなっています。
スタンフォード大学の調査によると、アメリカではオンラインで出会って結婚したカップルの割合が19%で最多となりました。また、バーやレストランでの出会いも15%まで上昇しているのが興味深いところです。
人口減少によって日本のブライダル市場は縮小傾向にある中、出会い支援サービスの登場は日本にどのような変化を巻き起こしていくのでしょうか。
参考
・出会い支援サービス カオスマップ2019 by LoveTech Media
・Visual Capitalist「The Rise of Online Dating, and the Company That Dominates the Market」
合わせて読みたい
・有料会員435万人!マッチングアプリTinder創業者ショーン・ラッド氏と初期のグロース施策(前編)
・売上200億円を突破!ブライダル企業「アイ・ケイ・ケイ」は縮小市場でどうやって成長しているのか?
関連URL