ゲーム事業だけじゃない!「Qiita」を買収する急成長のエイチームが展開する3つの事業領域

昨日、情報共有ツール「Qiita」を運営するインクリメンツ社がエイチームによって買収されることが発表されました。

エイチーム、プログラマ向け情報共有サービス「Qiita」提供元のIncrementsを約14億円で買収

エイチームといえばインターネットゲーム事業をメインで行なっている会社です。

そのエイチームが「Qiita」を買収するというのは意外だなーという印象を抱きましたが、そもそもエイチームがどんな会社なのかきちんと知りません。


業績推移を見ると、かなり大きく成長していることがわかります。

2011/7期の売上は40億円ほどでしたが、2017/7期には346億円と9倍近くに増加しています。

本エントリではエイチームの沿革をおさらいした上で、近年の事業数値をいろんな角度で掘り下げてみたいと思います。


エイチームの沿革

エイチームは1997年に岐阜県で始まった会社です。

当初は創業者・林高生氏の個人事業として、ソフトウエアの受託開発を行なっていました。

2000年に(有)エイチームとして法人化すると、 携帯電話向けコンテンツの受託開発を開始。

2003年には携帯電話向け公式サイトの運営を開始しています。

2005年に本社を名古屋市に移すと、2006年には「引越し価格ガイド」サービスやMMORPG「エターナルゾーン」をEZアプリ向けに公開。

2007年には中古車買取価格の一括査定サイト「かんたん車査定ガイド」、2008年には結婚式場の検索・予約・情報サイト「すぐ婚navi」(現 「ハナユメ」)を開始。

2009-2010年にはミクシィやDeNA、グリーなどのプラットフォームに向けたソーシャルアプリを作ります。

2012年4月に東証マザーズに上場すると、同年11月に東証一部に指定。


2013年には自転車専門通販サイト「cyma-サイマ-」やキャッシング・カードローン検索サイト「ナビナビキャッシング」を開始。

こうして見ると、ゲーム事業に限らず広いジャンルでインターネット事業を行なってきたのがエイチームという会社であることがわかります。


そう考えると「Qiita」を買収したのもそれほど意外でない気がしてきます。


エイチームが展開している事業

現時点でエイチームが展開する事業は、大きく次の3カテゴリに分類されています。

1. エンターテイメント事業

一つ目は、スマホゲームを中心としたエンターテイメント事業です。

・至高のハイファンタジーRPG「ヴァルキリーコネクト」

・新感覚リアルタイムRPG「ユニゾンリーグ」

・「三国大戦スマッシュ!」「ダービーインパクト」「レギオンウォー」「ダークサマナー」「麻雀雷神 - Rising -」などの作品があります。

2. ライフサポート事業

有益な情報で生活を便利にする、次のようなサービスを展開しています。

・引越し料金やサービスを比較し、予約できる「引越し侍

・大手・中小の買取会社に一括で車の査定依頼できる「ナビクル

・結婚式場情報サイト「ハナユメ

・即日融資・低金利など希望条件に応じて検索できる「ナビナビキャシング

3. EC事業

200以上の豊富な品揃えで、プロが整備した自転車を自宅にお届けする「cyma-サイマ-」を運営。

自社在庫をもち、独自の物流網を構築することにより、大型商材のEC化にチャレンジしています。


かなりユニークな会社ですね。各セグメントの売上は次のように推移しています。

2017/7期の内訳はエンターテイメント事業が192億円、ライフスタイルサポート事業が133億円、EC事業が20億円。

ゲーム事業への依存度は、個人的に予想していたよりも高くありません。

決算説明資料を見ると、ライフスタイルサポート事業の中身もバランスよく構成されています。

続いて、地域ごとの売上です。

アメリカへの売上も26億円ほどあります。

次に、顧客ごとの売上比率です。

昔はグリーやKDDIなどへの売上が大きかったようですが、近年はApple(App Store)とGoogle(Play Store)への売上が多くなっています。


コスト構造の変遷です。

売上原価率は15%前後とかなり低い水準です。

広告宣伝費がもっとも大きく、売上に対して40%ほどを占めています。

支払い手数料は18%ほどありますが、このほとんどがApp Storeなどに対する手数料でしょうね。

給料及び手当は売上の増大とともに比率が5%にまで減少しています。少ない人数のままで売上を増やすことができているようです。

2011/7期からの6年で従業員数は3倍強に増えていますが、売上は9倍近くに増えています。

財政状態とキャッシュフロー

続いて財政状態についてチェックしてみます。まずは資産の内訳です。

総資産131億円のうち、現預金が50億円とかなりキャッシュリッチであることがわかります。

続いて、資産の源泉である負債と自己資本の推移です。

利益剰余金が75億円ほど積み上がっています。

既存事業で獲得する余剰利益を今後はM&Aなどで投資に回していくのかもしれません。

キャッシュフローです。

営業キャッシュフローが34.6億円ととても大きくなっています。

フリーキャッシュフローです。

EC事業で今後はある程度の設備投資も見込まれますが、安定してフリーキャッシュフローを稼ぐことができています。

今後の中長期的展望

エイチームが、ボラティリティが大きくなりがちなゲーム事業だけでなく、ライフスタイルサポート事業でも安定した収益を構築していることがわかりました。

今後はどのように事業を推進していくつもりなのでしょうか?

直近の決算説明資料を見てみます。

エイチームの3つの事業は、それぞれ「娯楽」「有益な情報」「利便性」という3つの価値を提供しています。

その3つを基本としながらも、今後もいろんな事業にチャレンジしていくという構え。

M&Aやベンチャー投資についても言及されています。

「Qiita」のインクリメンツ社の場合、上記「自社で容易に参入できない、或いは参入に時間のかかる事業を持つ企業」に分類されるようです。

おまけですが、代表の林さんの経歴。11歳でプログラミングを始め、中学卒業後に学習塾の経営やアルバイトを経験。

その後に25歳で個人事業を立ち上げています。


エイチームは「みんなで幸せになれる会社にすること」 「今から100年続く会社にすること」という2つの大きな目標を掲げて事業に取り組んでいます。

日本のインターネット企業にも面白い会社がたくさんありますね。今後もワッチしていきたいと思います。