分譲マンションの52%が築20年以上!「空き家」も増えていく不動産業界まとめ③不動産賃貸・管理 第2版

②「不動産流通」の続き)

今回のエントリでは、不動産業界の中でも「賃貸」「管理」のテーマについて、統計データをいくつかご紹介していきたいと思います。

まず確認したいのは、そもそも日本に「住宅」がいくつあるかという点です。

全住宅ストック(国内で建築されている既存の住宅)は1948年から2013年までほぼ一貫して増え続け、6,063万戸に到達。

そしてそれ以上に、「空き家」が増加しています。

1968年の空き家率はわずか4%。住宅の96%には誰かしら住んでいたわけですが、2013年には空き家率が13.5%にまで拡大。

空き家だけで820万戸もあるわけですから、ものすごい数です。

820万戸のうち、52.4%にあたる430万戸が「賃貸用」、3.8%にあたる30.8万戸が「売却用」の住宅。

別荘地などの「二次的住宅」が41万戸で全体の5%を占め、残り39%が一戸建てや共同住宅となっています。

一戸建ての中で大きいのは「木造一戸建」で、220万戸(26.8%)もあります。非木造の一戸建ては10.6万戸で全体の1.1%に過ぎません。

古い木造一戸建てが空き家のまま放置されている様子が目に浮かぶようです。

空き家の問題点やリスクについてさらに詳しく知りたい方は、空き家を専門に扱う訳あり物件買取プロの記事も 参考にしてください。

参考:空き家の問題点って結局なに?所有者と社会が抱えるリスクを事例とともに解説 (運営:株式会社AlbaLink)

さて、これらの住宅の中で、不動産賃貸に使われている「借家」はどのくらいあるでしょうか。

住宅ストックと同じように、「借家」の数も拡大しています。

2013年には全住宅ストック数のうち30%弱にあたる1,739万戸が「借家」でした。 さらに、そのうち1,458万戸は「民営借家」で、残りが公営などの借家です。 

全住宅ストックのうち30%前後が「借家」というのは、データをさかのぼってみたところ1978年からずっと一貫しています。

東京23区でオフィスビルの床面積が最大なのは「港区」

続いては、オフィスビルの賃貸についてです。

オフィスビルも住宅と同じく、日本全国で開発が進んでいます。

事務所床面積は2008年の8.4万ヘクタールから2017年には9万ヘクタールにまで拡大。ゆるやかではありますが、着実に拡大し続けています。

上記データを東京23区だけに絞って見てみましょう。こちらは2002年から2016年までデータがあります。

東京23区の事務所床面積は、8,150ヘクタール(2002年)から9,296ヘクタール(2016年)にまで拡大。

中でも大きいのは「六本木ヒルズ」「アークヒルズ」「泉ガーデン」などのある港区で、1,799ヘクタール。

皇居や霞ヶ関のある「千代田区」は1,679ヘクタール、日本橋や銀座のある「中央区」が1,227ヘクタールと続いています。

大手不動産デベロッパーごとの貸付面積もみてみましょう。

三井不動産、住友不動産、三菱地所の3社が圧倒的な規模です。

港区「六本木ヒルズ」などを展開し、唯一無二の存在感を誇る「森ビル」は74ヘクタール。

ちなみに森ビルは、1955年に創業者の森泰吉郎氏が「森不動産」として創業し、その後、次男の森稔氏と三男の森章氏が森ビルに入社しました。

1993年に泰吉郎氏が亡くなった後は次男の稔氏が「森ビル」社長に就任し、章氏は「森ビル開発」の社長となりました。

章氏は、森ビル開発を上場させる意向を示し、2004年には「森トラスト総合リート投資法人」として東証に上場。

株式持ち合いもやめて、完全に別のグループとなったのでした。

分譲マンションの管理戸数のうち55%は「関東」にある

さて、不動産賃貸についてはここまでにしておいて、続いては「不動産管理」について調べてみましょう。

まずは「分譲マンション」の管理から。

日本全国に分譲マンション(都市型物件)の管理戸数は590万戸ほどあり、そのうち324万戸は関東にあります。ほとんどが東京や大阪近郊にあるというわけです。

ちなみに「都市型物件」とは住宅専用をはじめとする一般的なマンション形態で、「リゾート型(管理戸数は全国7万戸)」と区別するために使われているようです。

会社ごとの分譲マンション管理戸数を見てみましょう。

分譲マンションの管理では圧倒的なビッグプレイヤーは存在せず、業界最大の企業も「日本ハウズイング」「大京アステージ」など、非財閥系の企業も上位を占めています。

「日本ハウズイング」は1958年に清掃会社として創業した会社で、1970年に管理マンションの第1号を受託。

それから15年後の1985年には管理戸数5万を超え、その後も成長してきた会社です。

2016年には大京グループ系「大京アステージ」が管理戸数トップでしたが、2017年からは日本ハウズイングがトップに君臨しています。

分譲マンションの半分以上は築20年越え。住宅リフォーム市場の拡大が進む

さて、ここで少し衝撃的なデータをご紹介します。日本の分譲マンションの築後年数の状況です。

2017年時点での分譲マンションストックは644万戸あり、そのうち52%弱にあたる333万戸が築20年を超えています

つい8年前までは全体の35.4%にしか過ぎなかったわけですから、ちょっと驚きました。

これから日本の人口が減っていき、経済も右肩上がりとはいかないことを考えると、既存の住宅をいかにして利用するかというのは大きなテーマになるのかもしれません。

実際に住宅リフォーム市場は拡大傾向にあり、「設備などの修繕維持費」だけで5兆円を超える市場規模となっています。

そして、住宅リフォームのうち94%は「劣化や壊れた部位の更新・修繕」。

2017年度には年間711万件の住宅リフォームが受注され、そのうち665万件は「劣化や壊れた部位の更新・修繕」だったそうです。

今回のシリーズでは、不動産業界の統計データをあさってみました。

おかげでだいぶ不動産全体に対するイメージを持つことができたので、これをとっかかりとして今後、さらに詳細な情報を探っていきたいと思います。

参考資料

2018 不動産業統計集(9月期改訂) 4不動産賃貸

2018 不動産業統計集   (9月期改訂) 5不動産管理

我が国の住生活をめぐる状況

空き家等の現状について