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日本企業の内部留保が多いと言うので、トヨタ自動車の総資産48.7兆円の内訳がどうなっているか調べてみた

  • 収益の内訳
  • コスト構造
  • トヨタの総資産48.7兆円の内訳
  • 巨額の総資産の調達源泉はどこから?
  • トヨタ自動車のキャッシュフロー状況

今回は トヨタ自動車について取り上げます。

トヨタ自動車の歴史は、1933年に豊田自動織機製作所に自動車部が設置されたことから本格的に始まりました。

当時は、1920年代に日本進出したフォードやゼネラルモーターズなどが、日本国内の自動車販売市場を独占しかけていました。

最初は試験的に始まったものの、1936年にはG1型トラックを輸出し、トヨタマークも制定。1937年にトヨタ自動車工業株式会社を設立し、1969年には輸出累計100万台及び年間国内販売100万台を達成します。

現在は時価総額22.93兆円と、日本企業として最も大きな時価総額を誇っています。

全体業績の推移です。

2000年3月期の売上高は13兆円前後でしたが、2008年3月期には26兆円を突破。

その後、2012年3月期には18兆円と低迷しますが、近年は再び盛り返し、2017年3月期には28兆円を超えています。

収益の内訳

続いて、トヨタ自動車の収益内訳を見ます。

収益のほとんどは自動車事業ですが、金融事業による収益も1.8兆円前後あります。

比率でみてみましょう。

金融収益の比率は2004年3月期には4%ほどでしたが、近年は6.5%前後にまで上昇しています。

地域別の売上も見てみましょう。


日本の収益は8兆円から9兆円でほとんど横ばいです。一方、北米やアジアは年によって大きく増減していることがわかります。

2017年3月期には北米の収益は10兆円、アジアは4兆円、ヨーロッパは2.5兆円を超えています。

割合ベースでもみてみます。

収益比率が最も大きいのは北米で36%、日本は32%、アジアは15.5%、欧州は9%ほどとなっています。


コスト構造

続いて、トヨタ自動車のコスト構造をみてみます。

売上原価率は78%から85%とかなり大きくなっています。コストのほとんどが売上原価ということがわかります。

金融費用は売上に対して4%ほど、広告宣伝費は1.6%、研究開発費が4%前後となっています。

トヨタの総資産48.7兆円の内訳

ここからは、トヨタ自動車の財政状態の変化を追ってみます。

トヨタが長年、自動車事業の中で稼いだキャッシュはどんな資産として保有されているのでしょうか?一部で言われているようにただの預金として寝かせられているのでしょうか?



2017年3月期の総資産は48.7兆円にのぼっていますが、現金同等物は3兆円ほどと、割合的にはかなり小さくなっています。

一方、長期金融債権が9兆円、金融債権(流動)が6.2兆円、棚卸し資産が2.4兆円、投資有価証券が7.7兆円、有形固定資産が10兆円ほどとなっています。

トヨタ自動車の金融債権ポートフォリオには大きく次の3つがあります。

① 小売債権ポートフォリオ

車両販売の割賦債権です。契約期間は2年から7年で、融資対象となった車両に対する担保権を持っています。

② ファイナンス・リース・ポートフォリオ

新車のリース契約に関わる債権です。リース契約の期間は主に2年から5年で、トヨタはリース車両の所有権を引き受けます。

③ 卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオ

適性を満たしたディーラーに対し、在庫購入のための融資を行います。トヨタは融資対象となった車両に対する担保権を有し、さらに必要がある場合、ディーラーの資産や経営者の個人資産などに抵当権を設定します。そのほか、設備融資や運転資金融資も行なっています。


トヨタ自動車は総資産のかなりの金額を事業に関わる債権として保有し、莫大な総資産を有効に活用しているように見えます。

資産の内訳を比率ベースでもみてみます。

総資産のうち、現金同等物は6%前後と1割にも届かない水準となっています。

金融債権は短期が12.7%、長期が18.5%を占めています。資産全体の3割ほどが債権としてディーラーや消費者に貸し付けられていることがわかります。

そのほか、有形固定資産が20%、投資有価証券は15.7%となっています。

巨額の総資産の調達源泉はどこから?

トヨタ自動車の総資産は50兆円近くあり、そのほとんどが金融債権や有価証券、固定資産などの形で投資されていることがわかりました。

この巨額な資産はどこから調達してきたのでしょうか?バランスシートの右側(負債と資本)の推移をみてみます。

最も大きいのは利益剰余金で、直近では17兆円ほどにのぼっています。長期借入債務も9.9兆円とかなり大きくなっています。

株式発行による累計調達額を示す資本金と資本剰余金は合計でも1兆円以下となっています。

トヨタは主に自社事業と借入金によって資金を調達してきた会社だということがわかります。

比率ベースでもみてみます。

利益剰余金は総資産に対して35%前後、長期借入債務が20%前後を占めています。

流動負債は基本的には事業の中で短期的な「ツケ」ですが、総資産に対して35%前後を占めています。

トヨタ自動車のキャッシュフロー状況

最後に、トヨタ自動車のキャッシュフローの変化をみてみます。


営業キャッシュフローは毎年、2兆円から4兆円ほどを稼ぎ出しています。

トヨタには金融事業もあり、FCF(フリーキャッシュフロー)の定義が難しいですが、今回は、営業キャッシュフローから有形固定資産の取得額を引いた値をFCFとしてみました。

近年は2兆円以上のFCFを生み出しておりかなり調子がいいようです。ここ5年間のFCF平均は2.4兆円で、トヨタ自動車の時価総額は22.93兆円なので、FCF倍率は9.55倍ということになります。

現在の株高の割にはかなり割安な水準と言って良いと思いますが、これから先、EV(電気自動車)や自動運転などの大きな環境変化が期待されている領域のため、そのぶんディスカウントされているのかもしれません。

逆にいうと、トヨタ自動車がそういった環境変化に見事対応することができれば、その時には市場からの評価も大きく上がる可能性もあります。

結果が出るのは5年後か10年後か。まだわかりませんが、今後も引き続きチェックしていきたいと思います。

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