今回は、競争激しい小売業界で成長を続ける「ドンキホーテ」についてまとめていきます。
ドンキホーテの業績推移を見ていくと、29期連続で売上・営業利益ともに増加していることがわかります。
2018/6期の売上高は9415億円、営業利益は515億円です。
営業利益率は5~6%ほどで推移しており、今期は5.48%ほどとなっています。
ドンキホーテは、ドンキホーテなどを運営する「リテール事業」と「テナント事業」、「その他事業」の大きく3セグメントに分かれます。
それぞれの売上を見ていくと、リテール事業の売上が全体売上の97%を占めており、今期は9,142億円を売り上げています。
今回のエントリでは、ドンキホーテのリテール事業の売上成長ドライバーとユニー子会社化について見ていこうと思います。
主要セグメントであるリテール事業では、ドンキホーテやMEGAドンキホーテ、ピカソなどの小売店を運営しており、家電や雑貨、食品などを販売しています。
一口にドンキホーテといっても、店舗面積に応じて4種類の店舗フォーマットがあります。
一般的な『ドンキホーテ』は売場面積1,000~3,000m²ほどで、これがドンキホーテの最も標準的なサイズとなります。
標準的なドンキホーテよりも小さいものが『ピカソ』です。これは売り場面積が1,000m²以下で、より地域に密着した品揃えを展開しています。
最も大きいのが『MEGAドンキホーテ』です。これは売り場面積8,000~10,000m² ほどあります。
MEGAドンキの一回り小さい『NewMEGAドンキホーテ』は、売場面積3,000~5,000m²ほどとなっています。
店舗数推移を見ていくと全体的に増加傾向で、2018/6期は全体で418店舗あります。
店舗業態ごとの店舗数推移を見ていくと、標準的なドンキホーテは7年間で59店舗の増加を達成しており、今期は209店舗あります。
特に増加傾向にあるのはNewMEGAドンキホーテで、2011/3期の3店舗から2018/6期は80店舗にまで増加しています。
NewMEGAの特徴は取り扱い商品数が4~8万アイテムある点です。
一般的なドンキホーテのメインターゲットが20~30代であったのに対してNewMEGAはファミリー層をターゲットとしてます。
右肩上がりに店舗数を増加させているドンキホーテですが、このスピードで店舗数を増加できているのは「居抜き出店」をしているからです。
2017年の新規出店のうち75%、2018年の新規出店のうち80%が居抜き出店と言われています。
売り場面積1m²あたりの売上は増加傾向にあり、2018/6期の売上は107万円となっています。
コスト構造を確認していくと、売上原価の割合がもっとも大きく2018/6期は74.1%となっています。
販管費率は2009年から2.5pt改善しており、それに伴って営業利益率が2018/6期は5.5%となりました。
次にバランスシシートを確認していくと、総資産は8,070億円あります。
そのうち、現預金は719億円ほどあり、有形固定資産は3,479億円あります。
資産の原資となる負債、純資産の部を見ていくと、利益剰余金が2,489億円とBSの30.8%を占めています。
有利子負債は3,133億円あります。
キャッシュフロー推移を確認すると、営業CFは堅調に推移しており、2018/6期は460億円となっています。
2018/6期の財務CFが大幅に増加しているのは、長期借入金による収入1,340億円が入ったからです。
投資CFが大幅にマイナスなのは貸付による支出が780億円あるためです。
フリーキャッシュフローの推移も確認していくと、結構不安定だなという印象を受けます。
2018/6期のFCFはマイナス79億円です。
2018年11月30日時点の時価総額は1.08兆円となっています。
現預金719億円、有利子負債3,133億円を加味すると、企業価値(EV)は1.2兆円ほどとなります。
ドンキホーテは2015年に策定した中期経営計画にて、売上高1兆円、店舗数500店舗突破を掲げています。
2018/6期の売上高が9,415億円ですので495億円の増収を、2018年/6時点の店舗数は418店舗なので82店舗の増加を見込んでいます。
ではこの目標を達成するために一体どんな打ち手を考えているのでしょうか。
ドンキホーテは「①New・MEGAドンキの出店」「②PB商品の強化」「③ソリューション出店の推進」の3つを掲げています。
①New・MEGAドンキの出店
取り扱いアイテム数4〜8万のNewMEGAドンキホーテと、取り扱い点数6〜10万点のMEGAドンキホーテを強化の出店を強化することで、ファミリー層の獲得を狙います。
②PB商品の強化
ドンキホーテは『情熱価格』という名前のプライベートブランドを展開しています。
これは、『情熱価格』『情熱価格+PLUS』『情熱価格プレミアム』とグレードに応じて刻みを設けています。
現在はプライベートブランドの売上が全体売上の10.9%です。
具体的な何%増加させるかは明記されていませんが、プライベート商品の売上割合を増やすことで営業利益率を上昇させることを掲げています。
③ソリューション出店の推進
ソリューション出店とは、ショッピングセンター(SC)などの複合商業施設からの要請に応えて、比較的安価にテナント出店する「施設再生型」の出店形態です。
従来のドンキホーテは、撤退した店舗跡に居抜き出店することで店舗数を増やしてきましたが、今後はテナント出店に力を入れていくとのこと。
これにより、今までよりも迅速かつローコストな店舗開設が可能になります。
2018年10月11日にドンキホーテは、ユニーを子会社化することを発表しています。
ドンキホーテは2017年8月時点で、ユニー株の40%を所有しており、残りの60%をユニーファミマHDから買い入れて完全子会社化します。
一株あたりの買い付け価格は6,600円で、買い付け予定株数はドンキHD株の20.17%に当たる3,210万8,700株を上限としているため、買い付け予定金額は2,119億円です。
今回のユニー買収には一体どんな意図があったのでしょうか。
ドンキホーテの商品別の売上構成比を見ていくと、2008/6時点では時計やファッション品の売上割合が最も大きく28.3%ありました。
それが、2017/6時点では食品が最も大きくなっており、約10年で11%ほど増加していることがわかります。
もし、今後も食品に力をいれていくことを考えているのであれば、売上の8割以上を食品で占めるユニー・アピタを必要としていたことも納得できます。
2018年2月下旬に、ユニーの総合スーパー業態である「アピタ」や「ピアゴ」のうち、売り上げ不振だった6店舗を「MEGAドン・キホーテUNY」としてリニューアルオープンさせました。
MEGAドンキUNYとしてリニューアル後の売上は、前年同期から9割増加とのこと。
また、2018年11月には2019年の春と夏に合計12店舗のユニー×ドンキの店舗をオープンすると発表しています。
参考資料
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