営業利益が前年比93%増加!「リンクバル」2018年9月期決算

リンクバル

「街コンジャパン」や「街バルジャパン」などを運営する「リンクバル」(証券コード:6046)の2018年9月期通期決算が発表されました。

(2018年9月期決算説明会補足資料)

今四半期のリンクバルの売上は7.8億円と、前年同期から5000万円増収しています。

営業利益を見ると前年同期から93%増益しており、今四半期の営業利益は2.3億円となっています。

利益率で見てみると、2017/9の4Qから14%増加しており今四半期は30%となっています。

セグメント別の売上を見ると、メイン事業である「イベントECサイト運営サービス」の2018/9期の売上は7.3億円となっています。

『KOIGAKU』などのWEBサイト運営による収入は5400万円です。

他社イベントを中心とする収益構造に

リンクバルの売上90%以上を占めるのが、『街コンジャパン』というECサイトを運営する「イベントECサイト運営サービス」です。

(街コンジャパン公式サイト)

『街コンジャパン』は、日本全国のエリアで行われる年間18万件以上のイベント情報を掲載しており、20~30代を中心とした会員層を抱えるECサイトです。

「街コンジャパン」では、街コンEC サイト運営による収入 (他社開催イベントの掲載料、集客手数料)と、街コンイベントの自社開催による収入でマネタイズしています。

イベント掲載数は右肩上がりに増加しており、2018年4Qのイベント掲載数は5.6万となっています。

イベント掲載数の増加に伴いイベント参加者数も増加しており、今四半期のイベント参加者数は33万人にまで増加しています。

自社イベントと他社イベントの売上比率を見ていくと、2016/9期4Qの自社イベントによる収益と他社イベントによる収益の比率はざっくり4:6ほどでした。

今四半期は自社と他社の収益比率が逆転しており、他社イベントによる収益が65%を占めています。

従来のリンクバルは街コンイベント開催企業でしたが、現在は街コン開催企業と参加応募者のプラットフォームへと姿を変えつつあることがわかります。

売上に対するコスト構造を見ると、2014年から売上原価率が10%減少して2018/9期は17%となっています。 

リンクバルの売上原価率は100%イベント開催費なので、イベント開催を自社から他社へとシフトしたことにより売上に対する原価率を下げることに成功しています。 販管費率も2%改善しており、2018/9期の営業利益率は26%となりました。

リンクバルIDとして一元化

全体売上の6%ほどを売り上げているのが、オンラインデーティングアプリ『CoupLink(カップリンク)』や恋愛専門情報メディア『KOIGAKU(コイガク)』などを手掛ける「WEBサイト運営サービス」です。

コイガクは、街コンジャパンを通じて実施したイベント参加者へのアンケートをもとに、恋活に関する悩みを解決する手段を紹介する情報サイトで、2015年にローンチされました。

カップリンクはオンラインで恋活・婚活するための国内初マッチングアプリで、2016年7月にリリースされました。

マッチングした会員やリンクバルの携わるイベントへの参加者同士でメッセージを送ることができます。

売上の金額としてはあまり大きくありませんが、WEBサイト運営事業の売上は堅調に増加しており、今四半期の売上は5400万円となっています。

リンクバルはコイガクとカップリンク、街コンジャパンのIDを統合した共通会員ID『リンクバルID』をスタートしました。

従来は街コンジャパンとWEBサイト運営サービスそれぞれで集客していましたが、『リンクバルID』の開始により両サービスの集客シナジー効果が期待できます。

2018/9期時点のID取得者数は150万人となっています。

総資産の80%がキャッシュ

コスト構造と財政状態について見ていきます。

バランスシートを確認していくと、総資産は20.7億円あります。

そのうち現預金が16.6億円と総資産の80%を占めており、非常にキャッシュリッチです。

資産の原資となる負債純資産の部を見ていくと、利益剰余金が12.6億円、資本金+資本剰余金が5.5億円あります。

キャッシュフロー推移を見ていくと、営業キャッシュフローが右肩上がりに増加しており、2018/9期の営業CFは4.6億円となっています。

2018/9期のフリーキャッシュフローは4.5億円となっています。

2018年11月7日時点の時価総額は186.6億円となっています。

現預金16.6億円を加味すると、企業価値(EV)は170億円となります。

これを2018/9期のFCF4.5億円でわると、37.7年分の評価ということがわかります。

業務提携によるプラットフォームの拡大

2018/9期の決算説明資料によると、売上20%・営業利益40%増加を掲げています。

そのためにイベント参加者を30〜40%増やす見込みです。

イベント参加者を増やすため、リンクバルは2018年9月に2社と業務提携を発表しました。

①エクシオ

2018年9月、リンクバルは婚活パーティを主催するエクシオと提携しました。

エクシオは全国47の都道府県で婚活パーティを開催しており、エクシオの開催する年間4万件の婚活パーティをリンクバルの『街コンジャパン』で掲載することになりました。

②べネフィットワン

リンクバルはベネフィットワンとの業務提携も発表しています。

ベネフィットワンは、簡単に福利厚生を用意することができる福利厚生アウトソーシングサービス「ベネフィット・ステーション」を企業向けに提供しています。

ベネフィット・ステーション会員約743万人のうち、20歳以上の独身女性を対象に『婚活フリーパス』を6ヶ月間無料で提供すると、リンクバルは発表しています。

婚活フリーパスは、街コンジャパンに掲載されている対象イベントに回数無制限で参加することができる、サブスクリプションサービスです。

月額500円、3ヶ月で1,000円で対象のイベントに参加し放題となります。

ただし、このサービスは女性しか使えません。

婚活・恋活サービスにおいて女性の参加者数を確保することは最も重要ですから、この設定は妥当と言えるでしょう。


今回はリンクバルについて見ていきました。

自社で婚活イベントを開催するモデルから、他社イベントと参加者のプラットフォームへビジネスモデルをシフトすることで利益率を上昇させていることがわかりました。

2019/9期の営業利益40%増加という高い目標を設定しているので、リンクバルの業績を引き続きチェックしていこうと思います。