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2018年3Q決算コールからSnap社CEOエヴァン・スピーゲルの思考を探る

  • 「コミュニケーション」「エンタメ」「モバイル」がSnapchatの特別性
  • 運用型広告への転換はおおむね完了し、前年の35%から85%以上に
  • オリジナル動画コンテンツ「Snap Original」をスタート
  • 2019年のストレッチ目標では年間フリーキャッシュフローをプラスに

2017年3月に株式上場した時には大きな注目を集めたSnap社。

(Shutterstock)

ですが、今でも黒字化への道のりは遠く、株価もずっと右肩下がりです。

1年前までは「エヴァン・スピーゲルはすごいやつだから、Snapは買いだ」と言う方も多くいましたが、最近はそう言う方もめっきり減りました。

しかし、みんなが注目しなくなった頃にこそ投資チャンスは訪れる(こともある)ものです。

SnapchatのDAU(1日あたりのアクティブユーザー)は減少気味ですが、それでも1.85億人。

TwitterのMAU(1ヶ月あたりのアクティブユーザー)は3.25億人ですが、DAU/MAU比率は50%を「優に下回る」と発表されています。

つまりTwitterのDAUは1.6億人に及ばないというわけで、DAU自体はまだまだSnapchatの方が多いことになります。


Twitter社の時価総額が259億ドルにのぼる一方、Snap社は89億ドル。

日常的に使うユーザーはSnapの方が多いにも関わらず、時価総額はTwitterの方が3倍近く大きくなっているわけです(もちろんTwitterの方が経営状況がはるかに良いからですが)。

もしもSnap社が業績を良い方向に向けることができたら、投資家にとっては大きなチャンスになるかもしれません。

Snapが市場から見放されかけている今だからこそ、CEOのエヴァン・スピーゲルが何を考えているのか知っておく意味があると思います。


今回のエントリでは、エヴァン・スピーゲルが決算発表コール(2018年3Q)で語った内容のサマリーをまとめます。

その上で、そのメモを最後に添付しています。


「コミュニケーション」「エンタメ」「モバイル」がSnapchatの特別性

エヴァン・スピーゲルによれば、Snapchatは次の3つの面で特別だといいます。



一つは、親しい人と動画でコミュニケーションをとるための「最速の手段」だということ。

DAU(2億人弱)の60%が毎日「Snap」を作成しており、その数は30億にのぼるそうです。

つまり、DAU全体の平均投稿数は15、投稿する人の平均は25ということになります。


二つ目は、友人からの投稿を補完する「プレミアム」な動画コンテンツです。

Snapchatアプリで左にスワイプすると「ディスカバー(発見)」という画面が出てきて、文字通り色々なコンテンツを発見することができます。


そして三つ目の特色が「モバイルに特化」していること。

Discover上にある動画コンテンツを含め、あらゆるコンテンツがスマホの縦型に最適化されています。

ここまで徹底して縦型コンテンツに特化しているSNSは珍しく、YouTubeやFacebookとは確かに異なります。

運用型広告への転換はおおむね完了し、前年の35%から85%以上に

エヴァン・スピーゲルをはじめ、Snap社の経営陣は事業の収益性を高めることに最優先で取り組んでいるようです。

黒字化しないと会社が存続できないので当然ではありますが、この点でもSnap社は前に進んでいるとのこと。


Snap社はこの2年間、「セルフサーブ(運用)型広告」への転換を進めてきました。

2017年3QはSnapchatの広告売上の35%に過ぎなかったセルフサーブ型広告ですが、2018年3Qには85%以上にまで拡大。

運用型広告へのシフトを進めている結果として、広告インプレッション(表示回数)は前年から278%、前四半期から37%の拡大となりました。

一方で広告平均単価は前年同期からマイナス61%、前四半期からマイナス15%の低下となっています。

単価が下がっても広告の表示回数(=在庫)が増えれば、Snap社全体の広告売上は増えます。

エヴァン・スピーゲルによれば、今後もSnapchatの広告単価は全体として低下を続けるだろうとのこと。

彼の発言から推測すると、Snapchatの広告商品はまだ他のSNSなどと比べて割高な水準にあるようです。

その理由は、そもそも広告商品の機能だったり広告枠を十分に用意できていなかったため。

逆に言うと、Snap社にとっては広告枠を増大し、コストに見合う広告価値を提供できれば、全体としては売上を増やすことができます。


その他、ショッピングサイト向けに開発している「Collection Ads」というフォーマットは、eBayなどを対象としたテスト運用では5倍も広告効果が高かったとのこと。


オリジナル動画コンテンツ「Snap Original」をスタート

個人的にとても興味深いと思ったのが、「Snap Original」と呼ばれるオリジナル動画コンテンツです。

Snap Originalは世界的な作家との協業によって作られる動画作品で、ほとんどの作品では1エピソードあたり5分以内のショート・コンテンツとなっています。

実際に観てみると分かりますが、一つのエピソードは10秒程度のごく短いチャプターをつなぎ合わせたものとなっており、チャプターごとに友人に簡単にシェアすることができます。

数多あるテクノロジー企業の中でも、こうした斬新なユーザー体験をもたらせる会社はSnapをおいて他にないなと感じました。


2019年のストレッチ目標では年間フリーキャッシュフローをプラスに

こうしてみると、Snap社の戦略自体はとても明確です。

ユーザー数の拡大は一旦おいておいて、まずは会社として黒字化を目指す。

そのために広告商品を拡充し、より多くの広告主に広告価値を提供できるようにする。


ユーザー目線では引き続きコミュニケーションツールとして価値を提供した上で、「Discover」内で動画コンテンツを配信。

高品質な動画コンテンツを配信することで広告在庫を拡大し、広告売上のさらなる増加を図る。


CFOのティム・ストーン氏の説明によると、Snap社は2018年4Qの「ストレッチ目標」として、営業利益トントンというのを掲げていたそうです。

しかし現実的には、EBIDAベースで7,500万ドルから1億ドルのマイナスになるだろうと予想しています。

DAUも引き続き減少傾向となるそうです。


2019年の「ストレッチ目標」は、「売上成長率を加速すること」「年間フリーキャッシュフローをプラスにすること」の二つ。

あくまでも「ストレッチ目標」ですから、黒字化はまだ先になるのかもしれません。

アメリカの上場会社のCEOとしては28歳とかなり若い部類に入るエヴァン・スピーゲル氏。

彼がこれからSnap社を持続可能な会社にすることができるのか、今後もチェックしていきたいと思います。


スピーゲルの発言メモ

Snap社は7周年を迎えた。

現在の状況と、未来における成長と収益性に関する計画についていくつかのハイライトを共有したい。

ハードワークと奉仕、チームの革新により、私たちは世界で最も大きくてエンゲージメントの強いモバイルコミュニティを有している。

コミュニティとエンゲージメントを育てることができたのは私たちが特別だからだ。

・私たちは、親しい友人や家族と視覚的なコミュニケーションをとるための最速の手段だ。Snapchatをゼロから開発し、カメラを通じて即座に自分を表現する力を提供した。その結果、毎日30億をこえるSnapが作られている。

・私たちは「Discoverコンテンツプラットフォーム」を通じて世界を知るための楽しい場所だ。友人たちが作ったコンテンツを補完するプレミアムなモバイルコンテンツを作り上げた。

・そして、私たちはモバイルのために生まれた。モバイル機器は(視覚的なコミュニケーションをはじめとして)ユニークな機会を生み出すと信じている。そして私たちは、モバイルプラットフォームにおける未来のイノベーションにワクワクしている。

私たちが巨大でロイヤリティの高いコミュニティを惹きつけることができたのは、私たちの中核となる視覚コミュニケーション製品が、近しい友人関係をサポートするために作られたからだ。

DAUのうち60%以上はSnapを毎日作成する。なぜなら私たちのサービスを親友や家族と話すために使っているからだ。


私たちがの製品は全て、コアコミュニケーション製品の周りに作ってきた。

私たちは、個人のコミュニケーション利用を広げることで、新しい製品や機能を追加していくことに成功してきた。例えば「Memories」や「Discover」によってエンゲージメントは高まり、広告事業も成長する。


過去2年もの間、私たちは広告モデルをセルフサービス(運用型)へと転換してきて、結果が出始めている。

過去12ヶ月間の売上は50%増加し、今や10億ドルを超えた。私たちが事業の拡大と、広告主への価値提供を続けてきた結果だ。

私はチームがこんな短い期間に達成したことに対して信じられないくらい誇りに思っている。

私たちは未来にワクワクするし、長期的な成長機会のほんの表面をひっかいたにすぎない。

私たちが次なる成長段階に入るということで、これから入社する二人の新しいリーダーを紹介したい。

ジェレミーゴールマンは11月中旬にチーフビジネスオフィサーとして入社し、グローバルビジネスソリューションやオンラインセールス、顧客オペレーションを統括する。

彼女は過去半年の間、Amazonにてグローバル広告セールスのトップを務めていた。

ジャレッド・グルースドは11月初めにチーフ戦略オフィサーとして入社予定で、提携やコンテンツ、事業開発などを担当する。彼は最近までHuffPostのCEOとOathのニュース情報部門のヘッドを務めていた。そこで彼は3年を費やし、その前はSpotifyで4年間コーポレート開発のヘッドなどを務めた。

現在私たちは、時間とリソースをコミュニティ拡大とエンゲージメントの強化、収益性の改善に集中させている。

長い目でみれば、私たちは世界中のコミュニティを成長させ、広げる大きな機会を有している。

私たちがアメリカやヨーロッパにおいて、コアユーザーである13歳から34歳の間で信じられないほどのリーチ力をもっている一方、世界にはSnapchatを使っていない何十億人もの人たちが存在する。

ユーザー体験の改善を続け、私たちの提供価値の認知をあげていくことが、コミュニティを育てるためのキードライバーだ。

この四半期、私たちのDAUは前年に比べて5%改善し、前の四半期からは1%減少した。

減少は主にAndroidユーザーによるものだった。

私たちは軽量で、まとまっていて、高速な新しいバージョンのAndroidアプリを開発してきた。

Androidコミュニティは私たちにとって海外での成長機会であり、一部の市場におけるアプリケーションのテストはいい進捗を出している。私たちはそれが公開できることを心待ちにしている。

コミュニティを作ることに加え、私たちは成長を加速するために製品のエンゲージメントを拡大することに注力している。

私たちのコミュニティでは、平均して1日に30分がSnapchatに滞在するが、Snapchatにより大きな価値を提供できるように取り組んでいる。

最近、Snapchatユーザーたちが2000億をこえる「メモリーズ」を保存するという大きなマイルストーンを達成した。

そして新しいSnappablesの一つであり、友人と共有する拡張現実体験である「Tic-Tac-Toe」は、Q3において8000万人をこえるユニークユーザーがいた。

今年のはじめにリデザインを公開してから、かつてないほど多くの人たちがプレミアムコンテンツを観ている。

Discoverの新しいレイアウトによって、プラットフォーム上で利用できるコンテンツの質と量の両面に投資することができる。

「Shows」はより多くの視聴者を引きつけ続けるし、Q3において、Discoverにおける21のショーにおいて月間アクティブ視聴者数が1,000万人を超えた。

10月10日、私たちは幅広いジャンルの12のSnapオリジナルショーに関する新しい計画を発表した。

私たちのコンテンツはモバイルに特化している。それは垂直で、素早く表示され、多くのショーは5分以下の長さだ。

メディアプラットフォーム「Discover」では、エンゲージメントを拡大し、コンテンツライブラリを広げ、プレミアムなコンテンツを拡大することができ、それら全てが広告パートナーの利益になるだろう。

私たちは広告事業の拡大とともに収益性を改善し続けるし、結果も意味のある進捗を表している。

第3四半期の売上は前年から43%拡大し、前四半期から14%増加した。その要因は、グローバルオンラインセールス事業の拡大によるもの(そこには中小事業者やセールスパートナーが含まれる)と、成果重視の広告主によるセルフサービスプラットフォームの導入が加速したことだ。

私たちの成長要因は投資効率の改善、新たな広告主の追加、そして広告製品やツールの拡大だ。

この3Qにおいて、Snapchatの広告売上の85%以上がセルフサービスによるもので、1年前の35%から上昇している。

セルフサービス型への移行によってセールス部隊をFabFitFun(サブスク企業)のようなより小さな広告主に向けることができ、獲得あたりのコストを36%改善することができ、新しいコンバージョン最適化ツールを便利にして、結果としてリード生成予算を7倍に拡大することになった。

私たちは今も、計測や関連、最適化などを改善することによってさらに成長できると考えている。

私たち自身が提供する計測機能によって、広告主たちは投資リターンを素早く把握することができ、それによってさらなる広告支出も見込める。

Snap Pixelは引き続き大きく成長しており、Q3だけで2.3億もの購入イベントがあり、前の四半期から7,000万も増加した。


1年前、私たちが広告管理ツールを公開したとき、一つの最適化目標だけがあった。「スワイプ」だ。

それ以来、動画閲覧数のようなブランド目標、ウェブサイト訪問数やアプリインストール数などの検討目標、アプリ内購入などの成果目標を加えた。

これらを加えたことで、成果を改善し、関係性を改善し、パートナーたちに対していつでも良い投資効率を実現する「いつでもオン」の事業を作り始めることができる。

Q3において、私たちは新しい顧客を迎えるために広告メニューを拡大し、「コレクション広告」を公開した。コレクション広告により、物販の広告主たちが標準的なSnap Adに最大4つまでの商品を並べることができる。

Wish、eBay、そしてGuessはテスト集団の一部だったが、典型的なSnap Adsに比べて非常に高いエンゲージメント率を記録した。

例えばeBayのエンゲージメント率は、典型的なSnap Adに比べてCollection広告の方が5倍大きかった。


私たちは、Snapchatはモバイル、特に私たちの若くてエンゲージメントの高い人たちに対するブランド広告として最高の場所であると信じている。

例えば、ウリグリーのスターバーストは「オールピンク」キャンペーンにおいてブランドアンバサダーを作り出すためにSnaphatを使った。

このキャンペーンによってマーケット浸透度を3%以上拡大することに成功し、そのうち91%は新たな購入者だった。

最近の12のSnapオリジナルショーの発表とともに、私たちはプレミアムコマーシャル(6秒のスキップ不可能なフォーマット)のための(広告)在庫を増やしている。

Chick-Fil-AやBoost Mobile、そしてワーナーブラザーズやFox、ユニバーサルなどのメジャーなスタジオを含んだ多様なブランドがこのフォーマットを利用していて、最初の結果に喜んでいる。

今日、私たちはあらゆるサイズの事業者に意味のあるリターンを返すことができた。

先を見れば、私たちにはアクティブな広告主を増やし、広告主あたりの平均支出額を拡大し、広告在庫を増やすための大きな機会がある。

これまでの7年間、私たちは視覚的コミュニケーション、一時性、垂直動画、拡張現実、「ストーリー」におけるリーダーだった。

私たちはこの領域に長期的な視点で取り組んでいるし、まだ始まったばかりだ。

私たちは独特に異なったユーザー体験を提供し、成長を実現するための多くの機会にワクワクしている。

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