ルイ・ヴィトンやブルガリなど70ブランドを保有!世界最大の高級品グループ「LVMH」の決算数値をビジュアライズ

今回は、フランスの高級ブランドグループ「LVMH」についてまとめてみたいと思います。

LVMHは1987年にルイ・ヴィトンとモエ ヘネシーの2社が合併することによって誕生した世界最大の高級品コングロマリットです。

歴史は古く、1593年にソバージュ家が「シャトー・ディケム」を取得し、ブドウ栽培とワイン造りを始めたことにさかのぼります。

ルイ・ヴィトンは1854年にパリで創業しています。

現在では70もの高級ブランドを傘下に抱え、文字通り世界中で事業を展開しています。

2002年以降の業績推移をみてみます。

売上高は2003年の119億6200万ユーロ(1.6兆円)から、376億ユーロ(5兆円)にまで増加。

営業利益率も20%前後と高い水準を保っています。


今回の記事では、70もの高級ブランドを抱えるLVMHがどのように成り立っているのか、事業の中身と決算数値を掘り下げていきたいと思います。


LVMHの事業の内訳

前述した通り、LVMHはとても多くのブランドを抱えています。

事業セグメントとしては大きく5つに分かれており、それぞれ次のようなブランドを含んでいます。

Wines and Spirits(ワイン&スピリッツ)

「ヴーヴ・クリコ」「クリュッグ」「シャトー・ディケム」「ベルベデーレ」「グレンモーレンジィ」「Newton Vineyards」「ヌマンシア・テルメス」など。

Fashion and Leather Goods(ファッション&革製品)

「ルイ・ヴィトン」「フェンディ」「セリーヌ」「ロエベ」「ジバンシィ」「Kenzo」「トーマスピンク」「ベルルッティ」「プッチ」「ロロ・ピアーナ」など。

Perfumes and Cosmetics(香水&コスメ)

「パルファン・クリスチャン・ディオール」「ゲラン 」「パルファム・ジバンシイ」「Make Up For Ever」「Benefit Cosmetics」「Fresh」「Acqua di Parma」「KVD Beauty」「Ole Henriksen」など。

Watches and Jewelry(時計&宝石)

「ブルガリ」「タグ・ホイヤー」「ゼニス」「ウブロ」「ショーメ」「フレッド」など。

Selective Retailing(高級小売店)

「DFS Galleria」「Sephora」「Le Bon Marché」「Ile de Beauté」など。

Other activities(その他)

メディアグループ「Les Échos-Investir」、新聞「Le Parisien-Aujourd’hui en France」、「the Royal Van Lent-Feadship brand」「La Samaritaine」「the Cova pastry」店舗など。


5つのセグメント売上は次のように推移しています。

ファッション&革製品の売上が127億ユーロ(1.7兆円)と最も大きくなっています。

続いて大きいのは高級小売店で、売上119億ユーロ(1.6兆円)。


割合でもみてみます。

酒類(ワイン&スピリッツ)の比率が下がり、代わりに高級小売店の売上比率が31%まで上昇しています。

地域ごとの売上

続いて、地域ごとの売上をみてみます。LVMHのブランドはどの地域で特に売れているのでしょうか?

日本を加えたアジア地域の売上が125億ユーロ(1.7兆円)と最も大きくなっています。

続いて、フランスを加えたヨーロッパ地域での売上が105億ユーロ(1.4兆円)。アメリカ合衆国は100億ユーロ(1.35兆円)ほどです。

アジアの売上が一番大きい、というのは少し意外です。


こちらも比率で見てみましょう。

この10年ちょっとでアジア全体の割合が30%から33%以上に上昇。

アメリカの割合も23%から26%に上昇していますが、ヨーロッパが38%から28%まで比率が低下しています。


ラグジュアリーブランドのコスト構造は?

続いて、費用についてもチェックしてみましょう。高級ブランドのコスト構造はどのようになっているのでしょうか?

売上原価率は35%前後で推移しています。小売でこの水準は破格です。

マーケティング費用は39%ということで、売上原価よりも宣伝に大きな費用を払っていることになります。

財政状態とEV(企業価値)

続いて、財政状態がどうなっているかをチェックしてみましょう。

まずは資産の内訳を見てみます。

そう資産のうち、「ブランドその他の無形資産(Brands and other intangible assets)」が133億ユーロと大きくなっています。

続いて、有形固定資産(Property, plant and equipment)が121億ドル(1.6兆円)ほど。

現金同等物は35億ユーロ(5000億円)ほどにすぎません。


続いて、資産の源泉である負債と自己資本です。

借入金が合計で74億ユーロ(1兆円)ほど。

「Other reserves」が180億ユーロ(2.4兆円)ほどと最も大きくなっていますが、この中に過去の利益剰余金も含まれていると思われます。


ここで、LVMHのEV(企業価値)について考えてみます。

株式時価総額は1,229億ユーロ(16.7兆円)。

借入金が74億ユーロ、現金同等物が35億ユーロあるので、ネット有利子負債は39億ユーロとします。

以上から、EVは1,268億ユーロ。17.2兆円ほどです。


フリーキャッシュフローとEVの比較

最後に、LVMHが事業の中で生み出す現金(フリーキャッシュフロー)と企業価値を比べてみます。

LVMHのキャッシュフローは次のようになっています。

ヨーロッパ企業のためか、キャッシュフローの分け方が3つになっていませんが、営業キャッシュフローが着実に増加していることがわかります。

2016年には62億ユーロ(8,500億円)の営業キャッシュフロー。

営業キャッシュフローから営業投資(Operating investments)を引くことでフリーキャッシュフローを計算してみます。

2016年のフリーキャッシュフローは40億ユーロ(5,400億円)ほど。

EV(企業価値)は1,268億ユーロなので、ちょうど32倍ほどです。

いかがでしたでしょうか。

東京・表参道をはじめ、日本でも都市部のオシャレスポットに行くとLVMHのブランド店舗を見かけます。

見た目もきらびやかで、存在の目立つブランドショップですが、実際に運営企業の決算数値を見ることはなかなかないので、こうして見ると結構面白いなと思いました。