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収益性を犠牲にして売上成長率を回復!Qoo10買収で日本にも再進出した「eBay」2018年2Q決算まとめ

  • なぜ『eBay』の売上が増えているのか?
  • 収益性悪化によりフリーキャッシュフローが激減
  • 今期の方針

今回はアメリカの老舗ECプラットフォーム「eBay」の2018年2Qの決算について見ていきたいと思います。

(決算説明資料)

まずは四半期ごとの業績から見ていきましょう。

売上高の大きさにはそれほど変化はありませんが、わずかに増収して26億ドル前後の売上となっています。

営業利益も同じく横ばい、あるいはやや減少気味で、直近では4億ドルと、2四半期連続で減少しています。


前年からの売上成長率を計算してみましょう。

PayPalのスピンアウトにより、企業としての低成長が目立ってしまっていたeBayですが、この2年間で売上成長率を大きく回復させていることが分かります。

直近の四半期では、売上成長率は13.4%で、これだけの老舗企業としては立派な成長と言えます。


成長が止まってしまっていたeBayですが、どうしてここにきてまた売上が伸び始めたのでしょうか?

売上高の内訳について見てみます。

なんと、成長を牽引しているのはeBayのメイン事業であるマーケットプレイスの取引収益(Transaction, Marketplace)です。

直近の売上は18億ドルを超えており、前年同期比で15.5%の増加です。

買収した「Stubhub」の成長率は10%前後にまで衰えてしまった一方、メインのマーケットプレイスの売上成長率が10%台後半にまで復活しています。


なぜ『eBay』の売上が増えているのか?

どうして今更eBayのメイン事業の収益が拡大しているのでしょうか?今度はeBayの事業KPIについてチェックしてみます。

まずは、eBayのアクティブ購入者数の推移です。

(決算説明資料)

なんだか倍増しているかのように見えるグラフですが、実際には前年同期と比べて4.7%の増加です。

ただ、eBayのアクティブ購入者数が引き続き増えていることは事実のようで、現在は1億7,500万人という規模になっています。

ちなみに、2018年2Qに400万人増加しているのは、2月に買収したQoo10(ジオシスの日本事業)の300万人が寄与しています。

eBayは1999年に日本に進出しましたが、2002年に撤退。そのため、今回のQoo10の買収は日本のEC市場への再上陸ということになります。

(Qoo10)

Qoo10は女性向けECで、5月には会員数が1,000万人を突破しています。


それでは、GMV(Gross Merchandise Volume:流通総額)をプラットフォームごとに見てみましょう。

eBayのプラットフォームにはお馴染みの「Marketplace」とイベントチケットが購入できる「StubHub」があります。

StubHubはチケットキャンプ(閉鎖されてしまいましたが…)のように、売りたい人と買いたい人を仲介するサービスとなっています。

直近のGMVは『Marketplace』が225億ドル、『StubHub』10億ドル。

現在もジリジリと取扱高が増え続けていることが分かります(買収もあるけど)。

eBayのマーケットプレイス取扱高は、2015年頃にはすっかり成長がとまっていましたが、その後の2年ちょっとで徐々に成長率を回復し、直近では10%以上の成長率となっています。

一方のStubhubは、2007年に買収して以降、2015年まで前年比30%以上という高い成長を続けていましたが、その後急速に成長がおとろえ、直近では『eBay』本体よりも成長が鈍っています。


ちなみに、eBayのGMV235億ドルというのは、少しイメージがつきにくいかも知れませんので、楽天と比較してみます。

楽天の2018年1Qの国内EC流通総額が8,576億円なので、eBayのGMVは約3.1倍となっています。


eBayの売上高は、「GMV」と「テイクレート(手数料率)」の掛け算で計算することができます。

ここで、プラットフォームごとのテイクレートも計算してみましょう。

Marketplaceのテイクレートは9%前後と一般的な水準ですが、StubHubのテイクレートは23%前後とかなり高くなっています。

StubHubに出店する事業者にとっては、売上の2割以上を持っていかれるわけですから、鬼のようなプラットフォームです。(ゾゾタウンはもっと高いけど)


収益性悪化によりフリーキャッシュフローが激減

売上成長を取り戻したeBayですが、その反面で収益性は悪化しています。

もともとeBayは、成長が鈍化しつつも高収益であることが(銘柄としての)セールスポイントでしたが、ここにきて営業利益率が半分近くに下がってしまっています。


一体なにが変わったのでしょうか?コスト構造の推移を見てみましょう。

売上原価率は22%前後でほとんど変わっていません。

しかし、セールス・マーケティング費用(黄色)が25%前後だったのが32%近くにまで拡大。

また、一般管理費(緑)も10%前後から14%にまで増えています。


収益性を捨てて売上成長に舵を切ったということでしょうか。

フリーキャッシュフローの推移を見ると、劇的に悪化しています。

2017年Q4には8億ドルものフリーキャッシュフローを生んでいましたが、そこから半年で4分の1にまで激減。

これは株主がみたら悲鳴をあげそうなグラフです。

しかし、株価をみるとそれほど下がりそうな感じには見えません。

プレマーケットでマイナス6%弱。

現在の時価総額は377億ドルです。


今期の方針

収益性を悪化させてまで売上を伸ばしているeBayですが、今期はどういった方針をかかげているのでしょうか。

eBayの手元キャッシュ+金融資産は86億ドルほどありますが、長期借入金の金額は92億ドルで、それよりも多くなっています。

キャッシュの活用戦略としては、「長期的な価値創出」のために「収益性と成長性のバランスをとる」と書いてあります。

通期の売上見込は108億ドル前後。

上半期の売上が52億ドルなので、まあ不可能ではなさそう。

ただ問題は「営業利益率」「FCF」の方で、それぞれ28%前後、22億ドル前後を目指していますが、2Qまでの累計ではそれぞれ18%、5億ドルくらいと、なかなか大変そうです。

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