【必見】創業わずか3年で中国3位に!テンセント経済圏で爆発成長するソーシャルEC「拼多多」がIPO

IPO

今回は、中国のEコマースサイトを展開する「拼多多(ピンドォドォ)」についてまとめたいと思います。

拼多多は2015年9月に設立された新しい企業ですが、唯品会(Vipshop)や蘇寧(Suning)などのプレイヤーを抜き去り、淘宝(Taobao)と京東(JD.com)に次ぐ中国第3位の規模にまで成長しています。

大きな特徴は、「WeChatとの連携」「ソーシャルショッピング(共同購入)」「格安さ」の三つ。

そんな拼多多を運営する「Walnut Street Group」が登録届出書を提出し、米国で上場する予定であることが分かりました。

企業サイトより)

サービス開始からの流れ

拼多多は上海に拠点を置いています。

設立から1年後の2016年9月にはユーザー数が1億人を突破し、1.1億ドルの資金調達に成功。

2017年9月にはユーザー数が2億人を突破。

2018年4月の資金調達では、テンセントやセコイアキャピタルから総額10億ドルの資金調達を受けており、評価額は150億ドルほどに達しました。


現在、5,000人あまりの従業員が在籍し、そのうち80%以上は中国の名門大学出身者。

世界コンピューター選手権のチャンピオンや海外博士号を取得したメンバーなど、多様で優秀な人材を抱えています。


創立者で現在もCEOである黄峥(Zheng Huang, 英語名:Colin Huang) 氏は杭州出身の連続起業家です。

2002年に浙江大学を卒業し、2004年にウィスコンシン大学でコンピューターサイエンスの修士課程を修了しています。

卒業後はGoogleに就職しますが、2007年に退職。Eコマース代理運営会社やゲーム会社を設立し、現在に至ります。

企業サイトBloomberg記事より)


また、拼多多はテンセントと深い提携関係にあります。

2017年にはテンセントが主要株主となり、2018年に「戦略的協力枠組み協定」が両者の間で結ばれています。

内容としては、WeChatに拼多多へのリンクが設置され、WeChatのトラフィックが流入します。

その他にも、WeChat Payを使って併多多で買い物がなされると手数料が他企業より多く拼多多に支払われたり、テンセントの技術的リソースを共有するなどの形で協業しています。


直近二年間の業績を見てみましょう。

創業からわずか2年の2016年には売上5億元(84億円)に。それから1年で売上は17.4億元(290億円)と、3倍以上に増加しています。

その一方、営業損失は2.9億元(47.6億円)から5.9億元(99億円)へと拡大。


売上高の内訳について見てみましょう。これがまた衝撃的です。



2016年までは「拼好貨(Pinhaohuo)」という、生鮮食品の直販事業が主な収入源でした(merchandise salesに相当)。

2017年1Qにそれを終了し、代わりに「マーケティング売上(Online marketing services)」が爆発的に増加しています。

2018年には1Qの3ヶ月だけで11億元(183億円)を売り上げ、2017年1年間の売上に迫っています。

これは拼多多のマーケットプレイス上の商品検索におけるキーワード広告であり、アリババのTaobaoなどと同じビジネスモデルと言えます。


費用の内訳を見てみましょう。

生鮮食品の販売 (Merchandise sales) の終了によって、直販の売上原価率(青色)が激減。

その代わりに、販促費(薄い黄色)の割合が34%から77%へと大きく増加。マーケットプレイスのプロモーション広告に注力していたようです。


人と人とのつながりがカギ!ユニークなモデルで急成長

「拼多多」がシェアを急激に伸ばした理由を、2つの特徴から見てみます。

①共同購入

一つ目の特徴は、「共同購入」と呼ばれる仕組みです。

SNSで商品の情報を知り合いに広げ、共同で購入することで割引を受けられるようになっています。

登録届出書より)

それぞれの商品に購入チームに必要な人数が指定されています。

チームを誰かが作ってから、24時間以内に指定の人数が集まれば割引価格での購入が確定。もし集まらなければ返金されるという仕組みです。


これにより、ユーザーどうしが勝手に口コミで商品を広めてくれるだけでなく、新しく併多多を利用するユーザーも増えていきます。


②格安ラインナップにより地方での利用を促進

二つ目は、独特のユーザー体験と商品の安さです。

拼多多は、実際に商店街に足を運んだような体験を提供することを狙いとしており、上のようにかなりやすい商品を中心に揃えています。

写真右上の10.6元のジャージは日本円で約176円です。(安すぎる…)


これらの価格・使いやすさから、今までEコマースを使ってこなかった年配者や小都市のユーザーを獲得しています。

界面より)

中国で二番目のEコマース企業「JD.com」の場合、大都市(1級・2級都市)のユーザー比率が全体のちょうど半分程度です。

一方で拼多多は、小都市(3級・4級都市)でのユーザー割合が60%以上と、地方の割合がかなり大きいことが分かります。


中国Eコマース界での快進撃を事業KPIで確認

ここからは拼多多の主な事業KPIをピックアップしていきます。

① GMV (流通総額)

まずは、ECマーケットプレイスの最大指標であるGMVです。

2017年1Qの四半期GMVは209億元(3478億円)でした。それから1年後の2018年1Qには1987億元(3.3兆円)と、10倍近くに拡大しています。

2017年の年間GMVは2714億元(4.5兆円)。2018年1Qのペースが1年続けば、単純計算で7948億元(13.2兆円)に達しますから、このまま成長すれば少なくとも3倍になります。

② アクティブ購入者数

さて、GMV(流通総額)の増加要因は、「アクティブ購入者数」「アクティブ購入者数一人当たりの購入金額」の二つに分解することができます。

一定期間内に一回以上、買い物をしたアクティブ購入者数の推移を見てみましょう。

2017年3月までの3ヶ月間でのアクティブ購入者数は6770万人。そこから1年で、2億9490万人と4倍以上に拡大しています。

② アクティブ購入者あたりの購入金額

次に、アクティブ購入者あたりの購入金額の推移です。

こちらも大きく増大しています。

2017年1Qは一人当たり年間309元(5141円)を使っていたのが、2018年1Qには674元(1.1万円)にまで増えています。

ざっくりいうと、ユーザー数(アクティブ購入者数)が4.4倍に増え、一人当たりの購入金額が2.2倍に増えため、掛け算すると9.7倍ほどGMVが拡大したことになります。計算が合いますね。

③ 月間アクティブユーザー(MAU)

続いて、月に一回以上訪問する「MAU(月間アクティブユーザー数)」の推移です。

2017年3月までのMAUは1500万人にすぎませんでしたが、1年後の2018年3月には1億6,620万人と、10倍以上にまで増えていることが分かります。

3ヶ月ごとのアクティブ購入者数は4倍ちょっとなのに対し、MAUが10倍以上とそれ以上に増えていることから、ユーザーのエンゲージメントが高まったことが分かります。


以上のことから、併多多の事業が爆発的に増加した数値的な側面として、次の二つが挙げられます。

① 母数としてのユーザー数が爆発的に増えた(アクティブ購入者数の増大)

② ユーザーあたりのエンゲージメントが増えた(一人当たり購入額の増大、MAUの増大)

当たり前のことですが、上記二つが重なった結果としてありえないほどの成長がもたらされています。


併多多の財務状況

ここで、併多多の財政状態についても見てみましょう。

総資産は2018年3月末には213億元(3544億円)にまで膨れ上がっています。

そのほとんどを占めるのが現金同等物(Cash and cash equivalents)86億元(1431億円)、そして制限付き預金(Restricted Cash)80億元(1331億円)です。


制限付き預金は、ユーザー(Buyer)から送られた現金のうち、出品者に支払うまでの間に残されている銀行預金のこと。

ビジネスモデルは異なりますが、国内ではメルカリが同じようなバランスシート構成になっています。

申請届出書にも、1年分の事業を行うのに十分な現預金額と書かれており、極めてキャッシュリッチな状況であると言えそうです。


この資産の源泉をあらわす、負債と純資産の項目を見てみます。

サービスの拡大に伴って、出品者への買掛金(Payable to merchants) が増加しています。

また、2018年3月末にはメザニン(mezzanine equity)による調達が109億元(1813億円)と非常に大きくなっています。

この中身は転換優先株 (Convertible preferred shares)で、IPO後に普通株に転換される予定です。


次にキャッシュフローを見てみましょう。

損益の上では今も赤字の拼多多ですが、営業キャッシュフローは2年+1Qで続けてプラスとなっています。

理由としては、先ほど見たようにユーザーからの支払いから出品者への支払いまでにタイムラグがあるため。

上の表は、一列目が2016年、二列目が2017年の営業キャッシュフローです。2017年には出品者への買掛金(Payables to merchants)による現金流入が87億元(1447億円)に達していることが分かります。

出品者からの預かり金(Merchant deposits)からも15億元(259億円)の流入があり、資金繰り上はとても有利なビジネスと言うことができます。


アリババも同事業モデルに参入!競争は激化

衣服や生活用品などの小売を行う拼多多ですが、その市場環境自体が今後も速いスピードで拡大していくことが予想されています。

登録届出書内 iResearch報告より)

iResearchの報告によれば、2020年には10.8兆元(約180兆円)に到達するとのこと。

驚異的なスピードで拡大していく拼多多ですが、群雄割拠の競合たちが指をくわえて見ているはずがありません。

実際に、アリババが淘宝(タオバオ)の格安版である淘宝特价版(タオバオ特価版)を2018年3月17日にリリースしています。(新京報報道より)

App Storeページより)

このように競合が次々と格安路線で対抗してくるとすれば、拼多多が抱えている小都市・郊外のユーザーを確保し続けられるのでしょうか。

これまで以上に競争が激化し、広告費用がかさんでいくことで利益を出すのが遠のいてしまう可能性はあります。


ただ、より広い枠で見てみれば、これは決して拼多多VSアリババだけの戦いではありません。

テンセントはこれまで、11億ドル以上という金額を転換優先株として出資しており、それらが上場後に普通株に転換することにより、普通株式の18.5%を握ることになる見込みです。

(上表の持分比率は上場による転換後の試算)


このようにして見ると、この戦いはむしろテンセントVSアリババの戦いでもあると考えることができます。

テンセントはこれまで、SNSとゲームを中心に大きな成長をとげてきましたが、Eコマース領域ではなかなかアリババの牙城を崩すことはできていません。

拼多多の「ソーシャルコマース」はその性質上、テンセントとの相性が非常に良いビジネスであり、今後どこまで伸びていけるのかは大きな注目点となります。

これからも中国Eコマースの激戦から目を離せません。