ガンダムとドラゴンボールだけで1540億円の売上!強力IP活用で中国展開を狙う「バンダイナムコHD」

今回は、日本を代表するエンタメ企業の一つである「バンダイナムコホールディングス」を取り上げます。

バンダイナムコHDは、2005年にバンダイとナムコの経営統合によってできた持株会社です。 

バンダイの歴史

バンダイは1950年に「萬代屋」として創業。当時はセルロイド製の玩具が主力製品でした。  

1960年代には、「レーシングカーセット」や泡のおもちゃ「クレイジーフォーム」電動玩具「サンダーバード」など、ヒット商品を数多く開発します。

1970年代には「マジンガーZ」「もぐらたたき」で大ヒットを達成。

また、アメリカに現地法人を設立して海外進出を始めます。

1980年にはいわゆる「ガンプラ」を発売し、大ブームを起こします。

80年代には、ヨーロッパにも進出を進めて企業規模を拡大し、86年に上場しました。

1990年代には「セーラームーン」や「たまごっち」を発売しブームになります。


ナムコの歴史

ナムコの起源は1955年に創業された「中村製作所」という会社です。 

当初はデパートの屋上のアミューズメント施設を作る会社でした。 

1970年代に「ナムコ」に社名を変更。

アメリカのゲーム企業「ATARI」の日本法人を取得し、ビデオゲーム事業へ参入します。

ゲーム事業では「ギャラクシアン」や世界的ブームとなった「パックマン」など業務用ゲームを生み出します。

1983年に「ファミリーコンピュータ」が発売されると野球ゲーム「ファミスタ」などがヒット。

1988年には東証第二部へ上場しました。

1990年代には「ナムコナンジャタウン」などテーマパーク事業にも参入。

プレイステーションの発売もあり、3D格闘ゲーム「鉄拳」などがヒットします。 

経営統合とそれ以降

バンダイとナムコが経営統合を発表したのは2005年のことです。 

当時はスクウェアとエニックスの合併、サミーによるセガの買収など業界の再編が進んでいました。

2社とも当初はセガとの合併を目指していましたが破談となり、ゲームソフト「機動戦士ガンダム 一年戦争」の開発で提携したことをきっかけに統合に至りました。

2005年、持株会社のバンダイナムコホールディングスを設立します。

その後は事業会社の再編を進めますが、業績が伸び悩みました。  

しかし、2011年以降は好調な業績を維持しています。2社が経営統合し、成功したのはその事業領域に重なりがなかったためだと言われています。 

売上高は6700億円。営業利益は750億円です。売上1兆円以上の任天堂には及んでいませんが、「セガサミー」や「コナミ」などほとんどの競合を上回る水準です。

今回は、業績好調の「バンダイナムコ」の直近の動向についてまとめます。



保有IPを活かして玩具やデジタルコンテンツを展開

まずは、バンダイナムコが展開している事業内容について一通り確認してみましょう。

2018/3期の事業セグメントは大きく4つに分類されています。

① トイホビー

一つ目は、玩具(おもちゃ)を扱うトイホビー事業です。

ホームページより)

子供向けのおもちゃから、ガンプラや大人向けフィギュア、オセロやガシャポンまで様々な玩具を展開。

「たまごっち」って女児玩具だったんですね。

② ネットワークエンターテインメント

二つ目は、バンナムが有するIP(知的財産)を活用してデジタルコンテンツ(スマホゲームや家庭向けゲーム)につなげる事業です。

「ネットワークコンテンツ」としては『ドラゴンボールZ ドッカンバトル(開発元:アカツキ)』や『ONE PIECE トレジャークルーズ(開発元:ドリコム)』など、インターネット系ゲームベンダーと協業して展開。

家庭向けゲームについても、「アークシステムワークス」などの開発会社と協業した上で数多くのゲームを展開しています。

また、「リアルエンターテインメント」として業務用ゲーム機も扱っています。

ゲーセンに置いてあるやつですね。

自社施設も展開しており、「namcoイオンモール神戸南店」「VR ZONE SHINJUKU」「ナンジャタウン(東京都豊島区)」「トーマスステーション札幌」「浅草花やしき」などがあります。


③ 映像音楽プロデュース事業

三つ目は、IPをベースにした映像・音楽作品を展開する事業。

アニメやゲーム関連の音楽を中心としたライブイベントも開催するなど、なかなか多彩です。

「IPクリエイション」として、アニメーションの制作も行なっています。

④ その他

その他の事業では、流通や印刷、管理業務など、グループ全体をサポートする事業を展開しています。

最も多くを占めるのが「ネットワークエンターテインメント事業」で、グループ全体の60%に相当する4035億円もの売上をあげています。

玩具などを販売する「トイホビー事業」は2000億円ほどの売上で、横ばい。

国内における玩具市場(テレビゲーム以外)は3000億円から4000億円ほどなので、約半分のシェアを握っていることになります。

近年の成長は、ネットワークエンターテインメント事業(旧・コンテンツ事業)が担っていると言えます。

中でも、スマホゲームとの協業案件が大きく伸びているようです。


トップ5のIPで全体の3分の1以上を稼ぐ

4つの事業内容を見ればおわかりのように、バンダイナムコの強みはIP(知的財産:Intellectual Property)の活用です。

5つの主要IPだけで全体の3分の1を超える売上をあげています。

中でも稼ぎ頭は「機動戦士ガンダム」で、2017年3月期には743億円を売り上げています。

また、「ドラゴンボール」「ワンピース」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」もそれぞれで何百億もの売上があります。

近年著しく伸びているドラゴンボールはスマホゲーム「ドッカンバトル」の影響が大きいようです。

他にも「NARUTO」「ウルトラマン」「それいけ!アンパンマン」「太鼓の達人」「プリキュア」「妖怪ウォッチ」など、誰でも知っているキャラクター商品を展開しています。


地域ごとの売上についても見てみましょう。

アニメコンテンツは国境を超えるイメージがありますが、現在は売上の70%が国内です。

しかし、海外売上比率は徐々に拡大していることもわかります。

海外売上のうち、かつてはヨーロッパが最も多くを占めていましたが、現在はアメリカでの売上が最も多くなっています。


中国市場への本格進出を目指す

近年、順調に事業を拡大しているバンダイナムコHDですが、今後の目標はどのように据えているのでしょうか。

2019/3期(2018年度)には売上高6500億円、営業利益600億円を予定。

2018/3期の実績が売上6783億円、営業利益750億円なので、減収減益の計画ということになります。

その内訳は、成長を続けてきた「ネットワークエンターテインメント」事業が265億円の減収になるというもの。


また、2018年4月より、3期にわたる中期計画が始動しました。

2018年3月までの計画(NEXT STAGE)は、「売上高5000億円・営業利益500億円」という現実的な目標でしたが、本計画では2021年3月期に「売上高7500億円・営業利益750億円」という高い目標を掲げています。

重点戦略としているのは、「IP軸」「事業軸」「エリア」「人材」という4つの戦略軸です。



中心となるのは、IP軸戦略の強化です。

既存IPの拡大や新規IP創出のために国内外のパートナーとの協業を強化します。会社としては、IPクリエイションユニットを新設し、3年間で250億円の戦略投資を行います。


そこに連動するのが、エリア戦略と事業戦略という二つの軸。

エリア戦略としては、中国への本格進出を進め、海外売上の比率を向上させていく方針。

また、ハイターゲットに特化した玩具や映像と音楽を融合させた新しいエンタメの創出などによる、事業領域の拡大を掲げています。

特に後者については2020年に渋谷に新たな複合施設を建設する予定です。


財政状態

最後に、バンダイナムコHDの財政状態について確認しておきましょう。

資産

総資産は5400億円で、そのうち1850億円が現金です。

2018年3月には、今まで110億円だった土地が430億円になっています。

これは、渋谷に3500㎡(東京ドーム1/4個分)の土地を取得したためです。


負債・純資産

資金の出所の半分以上が利益剰余金です。

自己資本比率は71.7%と非常に高い水準にあります。


キャッシュフロー

キャッシュフローは理想的な状態にあります。

2017年度の投資額は有形固定資産の取得に伴うものです。


フリーキャッシュフローは69億円でした。2018年3月期を例外とすれば、増加傾向にあるといえます。


株価は2011年以降、右肩上がりの拡大を続けています。

時価総額1兆300億円、現金1850億円ということなので、企業価値(EV)は8450億円と計算できます。

直近5年間に創出したキャッシュ(FCF)は1540億円で、年あたりの平均額は約300億円。

したがって、単純計算するとEV / FCFは約28倍となります。


中国への展開が成功すれば、まったく新しい事業成長が見られるかもしれませんが、今のところは大きな結果が出てはいません。

日本の強みである「アニメ」コンテンツについて数多くの有力IPを保持しているバンダイナムコHDが、今後どのように変化していくのか注目したいと思います。