事業KPIで見るオリエンタルランドの変遷〜来園者数と内訳、コスト構造や収益比率など〜

今日は、東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドについて調べます。

同社は事業数値などをまとめた「ファクトブック」を2008年から公開しており、見てみると色々な面白いデータがあります。

オリエンタルランドの歴史

まずは、オリエンタルランドの歴史をざっくりと復習しておきましょう。

1959年 川﨑千春京成電鉄社長、江戸英雄三井不動産社長らが「オリエンタルランド設立計画趣意書」をまとめる
1960年7月11日 千葉県浦安沖の海面を埋立て、大規模レジャー施設を建設することを企図して会社設立
1962年 千葉県と「浦安地区土地造成事業及び分譲に関する協定」を締結
1964年 海面埋立造成工事を開始
1974年12月4日 帝国ホテルで、ディズニー社視察団に対し浦安地区へのディズニーランド誘致計画をプレゼン
1979年4月30日 ディズニー本社にて「東京ディズニーランドの建設および運営に関する契約」が調印
1983年4月15日 東京ディズニーランドが開園
2000年7月7日 イクスピアリ、ディズニーアンバサダーホテル開業
2001年7月27日 ディズニーリゾートライン
2001年9月4日 東京ディズニーシー開園、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ開業
2008年7月8日 東京ディズニーランドホテル開業
2012年9月1日 舞浜アンフィシアター開業

1960年に会社が設立されてから、1983年に開業するまで実に23年という年月をかけた一大プロジェクトだったことがわかります。

そもそも最初はディズニーランドを作ろうということが決まっていたわけではなく、「浦安沖の海面を埋め立て、商住地域の開発と一大レジャーランドの建設を行い、国民の文化・厚生・福祉に寄与するということ」というシンプルな目的だけが定められていました。


次に、冒頭で触れたファクトブックから拾えるだけのデータを拾って紹介していきます。

来園者の動向

まずは東京ディズニーリゾートの年間来園者数の推移です。

東京ディズニーランドの開園初年度の来場者数は993万人ほどでした。

それが、2002年には2000万人を突破し、2014年には3000万人を突破しています。


次に、男女比率の推移です。

やはり女性が圧倒的に多く、安定して7割前後をキープしています。

次に、年代別です。

特に目立った傾向はないものの、40歳以上の比率が15.6%(2003年3月期)から20.7%(2017年3月期)へと増大しています。

来園する人たちがそれだけ歳をとったということでしょうか。

逆に、12歳未満の来園者比率は18.4%から15.6%へと少し減少気味です。


次に、地域別です。

これがとても興味深いなと思ったのですが、海外からの来園者比率の推移です。

2003年3月期には1.6%だったのが、2008年3月期には4.2%に増加。

その後、2012年3月期に1.3%に落ち込み、2017年3月期には8.5%へとかなりの割合にまで増加しています。

おそらく、2012年3月期は東日本大震災の影響で減少し、近年はインバウンド旅行客の増加によって増えているのではないでしょうか。

全体業績の推移

ここからは、より事業寄りの数値を見ていきます。まずは全体業績の推移です。

2003年3月期の売上高は3317億円ほどだったのが、2017年3月期には4777億円にまで増大しています。

営業利益率も改善しており、2013年3月期以降は20%を超えていることもわかります。


オリエンタルランドのコスト構造

次に、オリエンタルランドのコスト構造の変遷を、売上原価と販管費の対売上比率から調べてみます。

販管費率は9%前後だったのが13%前後となっており、むしろ増加しています。

ところが、売上原価率は80%前後から60%台前半へと大きな改善を見せており、このことが営業利益率の改善へとつながっているようです。


どうしてオリエンタルランドの売上原価率はここまで改善しているのでしょうか。

ゲスト一人当たりの売上

次は、ゲスト一人当たりの売上を見てみましょう。

やはり、2003年3月期と比べると9504円から1万1594円にまで2000円以上、割合にして20%以上も多くなっています。

また冒頭で述べたように、この期間で来園者数も2500万人から3000万人へと大きく増加しています。

これらの複合的な要因によって、売上原価率が相対的に小さくなったのではないかと考えられます。

セグメントごとの売上

次は、セグメントごとの売上についても調べてみます。

オリエンタルランドは、大きく「テーマパーク」「ホテル」「その他」の3つの事業を持っています。

2010年3月期までは「リテイル」事業というのもあったみたいです。

80%以上の収益をテーマパーク事業から上げていることがわかります。

さらに、より詳しい内訳の比率をみてみます。

全体売上に占めるアトラクション・ショーの割合は概ね40%弱となっています。

そして、商品販売が30%前後、飲料販売が15%前後となっており、どちらもかなりの割合を占めていると言えます。

ホテル事業やモノレール事業は思った以上に小さく、それぞれ数%の割合を占めるに過ぎません。

財務状況の変遷

次に、財務状況について調べます。

まずは純資産と負債の推移を比率でみてみましょう。

純資産の比率は50%台だったのが、80%近くにまで上昇しています。

主要な項目として現金&同等物、有利子負債、利益剰余金の3つをみてみましょう。

利益剰余金が5000億円以上と大きく積み上がってゆく一方、有利子負債額は2000億円以上あったのが、近年は600億円前後とかなり小さくなっています。

一方、現金&同等物は1418億円と、かなり潤沢と言えるレベルに積み上がっていますね。

過去のキャッシュフロー推移と企業価値評価

最後に、オリエンタルランドの企業価値評価を試みたいと思います。

算定には簡易化したDCF法を用います。方針についてはこちらをご参照ください。


まずは、オリエンタルランドが過去に生み出したFCF(フリー・キャッシュ・フロー)の推移をみてみます。

営業キャッシュフローは長い間、安定して500億円以上を稼いでおり、近年は1000億円を超えています。

一方、設備投資額は幅があるものの、概ね200億円から500億円の間に収まっています。

結果として、オリエンタルランドが稼ぎ出すFCFは700億円前後となっています。


さて、ここまでの結果を元にオリエンタルランドの企業価値算定を試みます。

まずは保守的に考えて、同社が未来永劫、毎年500億円のFCFを稼ぎ続けるものとして仮定します。

2018 2019 2020 2021 2022
予測FCF 500億 500億 500億 500億 500億
現在価値 486億5000万 473億3645万 460億5836万5850 448億1478万9972 436億479万643
割引率 0.027
永久成長率 0.0
継続価値 1兆8518億5185万1851
企業価値 2兆823億1624万8316

この場合、企業価値は2兆円ちょっとという結果になりました。

現在のオリエンタルランドの時価総額は2.93兆円ほどですから、それよりも少し低い値となりました。


次は予測FCFを711億円にして試算してみます。これはここ5年間で実際に稼いだFCFの平均であり、仮に同社が現在の業績を保ち続けられるのであれば、極めてリーズナブルな試算です。

2018 2019 2020 2021 2022
予測FCF 711億 711億 711億 711億 711億
現在価値 691億8030万 673億1243万1900 654億9499万6239 637億2663万1340 620億601万2294
割引率 0.027
永久成長率 0.0
継続価値 2兆6333億3333万3333
企業価値 2兆9610億5370万5106

企業価値は2.96兆円。現在の時価総額とほとんどドンピシャの値となりました。

以上のことから言えるのは、オリエンタルランドの時価総額は、現在の事業規模と比較してかなりリーズナブルな水準になっている、ということです。

そのため、現在の事業規模がこの先どう変化していくか、という期待を元に売り買いの選択をしていくことになりそうです。

もし、今後さらに事業規模が大きくなると考えるなら強気に行けますし、やっぱり日本経済やばいから縮小するだろうと考えれば、慎重に考える必要があります。


今後どうなっていくか楽しみにみていきたいと思います。