今回はオンライン決済サービスの老舗、PayPalについて調べます。
始まりは1998年12月で、マックス・レブチン、ピーター・ティールらにより、セキュリティソフトウェアを開発する「Confinity」が設立されました。
1999年に送金サービス「PayPal」を公開したのち、2000年3月にイーロン・マスクの会社「X.com」と合併します。
2001年に社名を「PayPal」に変更すると、その後も急成長を続け、2002年には株式を上場。
しかし、同年の7月にはオンライン・マーケットプレイスを運営するeBayによって買収され、再び非上場化します。当時すでにeBay利用者の多くがPayPalを決済手段として利用しており、相性がかなり良かったようです。
その後もPayPalはeBayの傘下で成長を続けますが、やがてeBayのマーケットプレイスとしての成長が鈍化すると、PayPalのeBay以外での決済手段としての側面が年々強くなっていきます。
そんな中で2014年に、eBayの大株主(当時)でアクティビスト(いわゆる「物言う株主」)として知られるカール・アイカーン氏が「PayPalをスピンオフ(独立)するべきだ」とeBayに提言。
eBayの経営陣ははじめはこれを否定していましたが、その後方針を転換。2015年に「PayPal Holdings」として独立を果たします。
ここまでがPayPalの創業からおよそ20年間の歴史です。それでは、ここから事業数値をチェックしてみたいと思います。
まずは損益の推移です。スピンアウトしたのは2015年ですが、2011年までの損益推移が公開されています。
2011年の売上高は45億ドルほどでしたが、2015年にはその2倍を超える92億ドルに達し、2016年には108億ドル(1.2兆円)と、順調に成長を続けています。
営業利益率は一貫して12%以上で安定しており、2016年の営業利益は15億ドルとなっています。
売上の内訳もみてみます。まずは収益の種類別です。
決済手数料による収益(Transaction revenues)が全体の87%以上と、かなりの部分を占めています。PayPalの2016年の決済総額は3540億ドルとなっており、そのうち2.7%にあたる95億ドルを決済手数料として売り上げています。
続いて、地域別の売上です。
グローバル化が進んでいるのではないかと思っていましたが、実際にはアメリカ国内(U.S.)の売上比率が48%(2013年)から53%(2016年)へと増加しています。
イギリス(U.K.)での利用も多く、全体の11%(2016年)を占めています。
ただ、海外売上も減っているわけではありません。海外以上にアメリカでの成長速度が早いということだと思います。
続いて、PayPalのコスト構造をみていきます。オンライン決済サービスの運営にはどんな費用が売上に対してどのくらいかかるのでしょうか?