大手コンビニ3社(セブン&アイHD、ユニー・ファミマHD、ローソン)の決算まとめ

先週、大手コンビニ3社の決算が立て続けに発表されたので、その内容をまとめておきたいと思います。


セブン&アイHD:報告セグメントを変更

まずは、コンビニ業界で圧倒的トップ「セブンイレブン」を展開するセブン&アイ・ホールディングス。

3.5%の増収と7.4%の増益。

営業収益は若干横ばい気味になっていますが、営業利益については史上最高益で、右肩上がりです。

セブン&アイHDは百貨店事業などもあるので、内訳がどうなっているかをチェックしてみましょう。


セグメント営業収益

コンビニ事業は2017/2期までは同一セグメントとして報告され、2.7兆円ほどの収益となっていました。

2018/2期には国内・海外を(前年の分も含めて)分けて報告しており、海外コンビニ収益が2兆円、国内コンビニ収益は9272億円と、海外の方が2倍以上大きな規模となっていることが分かります。

「イトーヨーカドー」などを展開するスーパーストア事業は、1.9兆円の収益。

そごう・西武での百貨店事業は6493億円、セブン銀行を中心とする金融関連事業は1667億円、ロフトやデニーズを擁する専門店事業は4143億円の収益となっています。

セグメント損益

飲食などの専門店事業はたびたび赤字におちいってますが、グループ全体から見るとそれほど大きなものではありません。(今期は黒字)

百貨店事業も苦戦のイメージがありますが、なんとか54億円のセグメント黒字となっています。

グループ全体の3916億円の営業利益のうち、2452億円を国内コンビニ、790億円を海外コンビニ、497億円を金融関連事業が稼ぐという状態です。

資産の内訳

総資産5.5兆円の内訳です。

現預金は1.3兆円、有形固定資産は2兆円ほどあり、そのうち土地が7252億円となっています。

負債と純資産

バランスシートの反対側(負債と純資産)を見ると利益剰余金が1.9兆円にものぼっています。

借入金は6030億円、社債は3800億円。どちらもものすごい額です。

キャッシュフロー

営業キャッシュフローは4000億円以上を安定して稼ぎ出しています。

事業で稼いだ現金を、設備投資や配当に回すというザ・優良企業です。

営業キャッシュフローから設備投資額を引いたフリーキャッシュフロー (FCF)を計算すると、おおむね1000億円から2000億円の間で推移しています。

セブン&アイグループの時価総額は4.15兆円。ネットキャッシュ(現預金 - 有利子負債)は3170億円ほどなので、EV(企業価値)は3.8兆円ほど。

毎年の平均FCFを1500億円とすると、FCF25年分の企業価値がついていることになります。


ユニー・ファミリーマートHD:コンビニ事業はセグメント赤字

続いて、ユニー・ファミリーマートHDです。

こちらも通期決算なので、業績推移を見てみましょう。

業績が急拡大しているように見えるのは、2016年にファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが合併し、現在の形になったため。

経営統合により、ユニーグループの傘下にあったコンビニチェーン「サークルKサンクス」がファミマと同一グループとなり、ファミマ店舗への転換を進めています。

「サークルK」「サンクス」から「ファミリーマート」へのブランド転換がわずか10か月で2,000店を達成!

また、ユニーグループの大型スーパー「APITA」なども同グループに。

過去2年だけですが、セグメント収益を見てみましょう。

ファミリーマートにサンクスが加わったことで、コンビニ収益は4842億円から5587億円に増加し、総合小売事業は3600億円から7166億円に増収しています。

しかし、これは2017/2期にはユニーグループの業績が下期しか反映されていなかったため。

同じく、セグメント損益も見てみます。

なんと、コンビニエンスストア事業が赤字に転落しています。

ところが、決算説明資料ではコンビニ事業(CVS事業)も黒字と書いてあります。

一体どっちなんだ。。おそらく、計算の方法が違うのでしょうが、明確な説明はスライドにはありませんでした。

ちなみに、先ほどのグラフのソースになったのは決算短信のデータです。

ユニー・ファミマグループでは、次年度末までに「サークルKサンクス(CKS)」のブランド転換の完了と、不採算店の整理を目指しています。

結果として、コンビニ店舗数は削減することになり、16,854店舗に。

総合小売事業(GMS)でも不採算店を閉鎖することで、リスクを無くしていくことを目指しています。

今後は、コンビニ事業を中心に収益性を拡大し、純利益を600億円まで増やしていく構え。

そうすると、目標を達成するには、「ファミリーマート」の収益性をどれだけ高められるか、という話になってきます。

コンビニ事業の具体策としては、前述したブランド統合の完遂のほか、新しいコーヒーマシン導入により、コーヒーの売上10%アップを目指すことを掲げています。

コーヒーマシン変えただけで、コーヒーの売上が10%アップするんだろうか。。

あとは、業務効率化を行うそうです。

資産の合計は1兆7325億円あり、そのうち現金同等物が2532億円ほど。

社債・借入金の合計が3821億円ほどあります。ネットキャッシュはマイナスということになります。

今期の営業キャッシュフロー(右側)は1580億円と、思ったよりは悪くない水準です。

設備投資額を引いたフリーキャッシュフローはちょうど1000億円ほど。

今後は、店舗閉鎖による減損損失の計上により、利益率は逼迫されそうですが、新店舗による設備投資額は減少するはずですし、キャッシュフロー自体はむしろ余裕が出てくるのかもしれません。

株式時価総額は1兆1600億円。ネット有利子負債(有利子負債 - 現預金)が1289億円なので、実質的な市場価格(EV:企業価値)は1兆2889億円となります。

もし、ユニー・ファミマHDが今後も毎年1000億円のフリーキャッシュフロー を創出できれば、13年もすれば現在の企業価値よりも多くの現金を稼ぎ出すことになります。

ローソン:積極投資続けるも、株価はジリ貧

続いて、ローソンです。

グラフで見てみましょう。

ここまでにみた3社の中では、ローソンが一番顕著に業績を改善させています。

ただ、今期は営業利益が10%ほどの減益。

セグメント収益の内訳を見てみましょう。

国内コンビニ事業が4372億円の収益をあげ、前年から4.1%ほどの増収です。

決算説明資料を見ると、真っ先に(5枚目だけど)「次世代システムへの投資」を振り返っています。これは他の2社とは一味違います。

タブレットは全店で導入しており、スケジュールなどの管理をクラウド上で行なっているとのこと。

また、ローソンは「ローソンバンク」設立に向け準備会社を設立しています。今年度中の開業を目指すとのこと。

セブン銀行の実績を見ると、ATM手数料で1200億円の収益と、367億円の経常利益を稼いでいます。

どういう方向に持っていくのかは不明ですが、もし仮に100億円規模の利益を積み増すことができれば、ローソンにとっては心強い新規事業となります。


中国や東南アジアへの海外進出を積極化し、2019年度には中国を黒字化するとのこと。

資産の内訳

総資産9002億円のうち、現預金は301億円。前年から大きく減少しています。

反対に増えたのが有形固定資産で、3499億円を計上。

負債と純資産

バランスシートの反対側を見ると、利益剰余金は1661億円と、他の2社と比べると小さくなっています。

借入金の合計は1000億円弱なので、ネットキャッシュはマイナスです。

キャッシュフロー

営業キャッシュフローは1000億円前後と、ユニー・ファミマHDと比べてもそれほど遜色ない水準です。


一方、毎年営業キャッシュフローの半分近くを設備投資に注いでおり、フリーキャッシュフロー(FCF)は400億円から600億円の間で推移しています。

ローソンの時価総額は6760億円。ネット有利子負債(ネットキャッシュの逆)が623億円なので、EV(企業価値)は7383億円。

過去5年のFCFの平均が500億円なので、今後もそのくらいの現金創出力があると考えると、FCF15年分の企業価値がついていることになります。