構造化されていない作業パターンを効率化!ITサービス管理に特化したSaaS「サービスナウ」が急成長

ServiceNow, Inc.【NYSE:NOW】

サービスナウはITサービスマネジメントや企業内の様々なワークフローが統合された単一のクラウドプラットフォームをサブスクリプションベースで提供するSaaSベンダー。


ITサービスマネジメント、ITやビジネスに関するさまざまなリソース、企業内のさまざまなワークフロー(業務・作業パターン)を単一のプラットフォームに一元化し、構造化されていないワークフローを標準化し企業の働き方を効率化する統合的サービス管理クラウドプラットフォームで世界最大。


ITサービスマネジメント(ITSM:IT Service Management)とは、多様化するビジネスITの現場において、従来のシステムの開発・運用という役割だけでなく、ビジネス部門が必要とするITサービスの利用者視点での確実な提供、そしてITサービスを継続的に改善し、自社のビジネスをITの立場から理解した上で、その発展に応じたITサービスの提供を行うこと。


以前も紹介したSaaSの業績の見方だが、営業利益や特に純利益は参考にはしてもメインでみるのは主に売上高成長率+キャッシュフローの組み合わせだ(あとで紹介)。


SaaSの40%ルールでみるとサービスナウは赤字ではあるが、売上成長率+フリーキャッシュフローマージンの推移を見る限り優良SaaS企業だということが分かる。


それではサービスナウの最新の2017年第四四半期決算資料とあわせてサービスナウについて紹介していく。


プラットフォーマーのSaaSベンダーであるServiceNow

SaaS型ITサービスマネジメントとして2003年に創業されたサービスナウだが、現在はITサービスマネジメント以外にITオペレーションマネジメント、サイバーセキュリティ、人事管理やカスタマーサービスなど業務フロー管理を水平展開し、社内のナレッジ、社内の承認プロセス、課題や障害などのステータスを同一のプラットフォーム上で自動化・効率化できるようになっている。


まずはサービスナウの原点であるITサービスマネジメント(ITSM)がどういったものなのか同社による解説動画を見てもらうのが早い。

断片化されたツールやレガシーシステム(オンプレミス:顧客がインストールしているシステム等)を統合的に可視化する単一のクラウドベースプラットフォームによって、ITサービスおよびインフラを効率化。


インフラを準備する必要もなく導入も拡張も容易。 ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるビジュアルタスクボードで、業務の優先度付けや割り当てを処理できる使いやすさ。

単一のクラウドベースのプラットフォームでのITサービスマネジメントの実現 by ServiceNow


このようなITサービスプラットフォームをコアにしてきたサービスナウだが、ITOM(ITオペレーションマネジメント)やHR(人材管理)、サイバーセキュリティなど、ITSM以外の売上高比率がすでに半分を超えている。

Service Management = IT, Facilities, Finance, Marketing, Legal, Express

ITOM = ServiceWatch, Discovery, Cloud Management, Orchestration, Event Management

Other = HR, Security Operations, Customer Service Management, Field Service, Performance Analytics, IT Business Management, GRC, Platform


具体的な顧客の導入状況をみるとイメージしやすいかもしれない。

サービスマネジメントと共にITOMもサービスナウの中核事業に成長しており導入も進んでいる。


まだ一部ではあるがセキュリティやカスタマーサービス、HR(人材管理)などの周辺クロスセルも徐々にうまくいっている。

サービス管理など単一のサービスの導入だけだった企業に対するクロスセルの進展によって複数のサービスの導入が進んでいる。プラットフォーム型事業である強みが出ている。



安定した顧客基盤の上、素晴らしいアップセルを実現している。


とITサービスマネジメント以外のサービスの導入が進んでいる現状を確認したところで、ではそれらはどういったサービスなのか?という点を軽く確認していこう。


ITオペレーションマネジメント(ITOM) =サービス停止回避の自動化

統一されたダッシュボードを通してサービス構成を管理し、機械学習によって問題が表面化する前に障害箇所を特定し予防・対応できる。


問題が解決するまで関連情報・プロセスが統合されたプラットフォーム上で関係者全員がコミュニケーションを取ることができ、障害解消を迅速化する。

サービス停止に予防的に対処し、ハイブリッドクラウドを管理 by ServiceNow


セキュリティ(インシデント管理)

セキュリティサービスはインシデント管理、つまり侵害対応や提携先のセキュリティ企業からフィードされた脅威解消のためのタスク管理サービス。 組織に与える影響に基づいて脅威を優先順位付けし侵害対応を自動化し、アラート設定されたイベントは単一プラットフォーム上でセキュリティ部門とIT部門の間で簡単にタスクを引き渡すことができる。

たとえばスプランクやパロアルトネットワークスと連携して、サイバー防御の自動化で絞り込んだ人間の判断が必要な部分のみ、事前定義されたワークフローに基づきタスクを自動的に委譲。


ちなみにスプランク(NASDAQ:SPLK)もパロアルトネットワークス(NYSE:PANW)も他に記事を書く人がいなければ紹介したい企業だ。たいていのSaaS企業はエコシステム形成してほとんどAPIでつながっていたりする。


カスタマーサービス

カスタマーサービスを他部門と連携させることで迅速に解決。また、事前対応による問い合わせの防止と適切なカスタマーエクスペリエンスの提供。カスタマーサービスの競合はもちろんゼンデスク(NYSE:ZEN)。ゼンデスクもSaaSの40%ルールを満たしている優良SaaS企業だ。


HR(人事管理)

Eメールはもう古い、と必要な人事サービスを1ヵ所で迅速かつ簡単に利用できるようにする。


電話やEメールのような非構造化メッセージを単一プラットフォーム上で構造化し直すことで効率化を実現。 

カスタマーサービスと同様のサービス体験を従業員に対して提供し、レポートとダッシュボードにより従業員のサービスリクエストの量と種類を可視化し人事(HR)を効率化。


クラウドHRは意外にプレイヤーが多くてワークデイ(NASDAQ:WDAY)1強と思いきやアルティメットソフトウェア(NASDAQ:ULTI)や、広くいえばペイコムソフトウェア(NYSE:PAYC)などクラウドベースのHRのSaaSベンダーはたいがい同じようなペースで伸びている。


ServiceNowの業績チェック

売上高成長率は年々鈍化しているが、その分マージンが改善されている。それでもこれだけの成長は素晴らしい。


サブスクリプションベースの売上高比率が高いメリットは業績の予測可能性が高まり、シェア拡大に攻めた経営ができることも1つだ。(そのため米国会計基準だと赤字ではあるがキャッシュフローでみると健全だったりすることも。)

契約更新率が97%と高い。こういった高い顧客維持率とサブスクリプションベースの安定的売上高推移というのは経営にとてつもない恩恵をもたらす。


売り切り型ではないので、顧客との関係が続き、すなわちカスタマーサクセスこそが契約更新率の維持であり、仕組み的に顧客ファーストになりやすい。人間だもの、仕組みが自然とそうなっているインセンティブが大事なのだ。


G2Kとはフォーブス・グローバル2000(Forbes Global 2000: フォーブス誌が選定する世界上位2000社)のことで、その2000社のうちのサービスナウ採用企業率が上のグラフ。


北米の売上比率がまだまだ高く、海外における成長余地がある。


さて、前述したSaaSの40%ルールの1つ(いろいろパターンがある中で)である前年比売上高成長率+フリーキャッシュフローマージンの推移を見てみよう。

<ServiceNow>

2017年 FCF margin 25%+売上高成長率39%=64%

2016年 FCF margin 23%+売上高成長率38.4%=61.4%

2015年 FCF margin 22%+売上高成長率47.1%=69.1%

2014年 FCF margin 12%+売上高成長率60.7%=72.7%

(Non-GAAP)


いやー素晴らしい。SaaSの40%ルールはわりと厳しい基準で、たとえばストレージSaaSのBOXなどは満たしていない。だからサービスナウとBOXの株価(評価)が開く結果となっている。競合状況などもあるが。


売上成長率は落ちているが、マージンは上昇傾向。これは最近の優良SaaS企業の鉄板の業績推移。

どちらも改善傾向。売上も営業キャッシュフローもガンガン伸びており、FCFマージンも高いし、今のところ問題はない。


ということで株価も右肩上がり。

やや傾きがユーフォリアっぽいのが気になるが…


ということでセールスフォース(NYSE:CRM)やアドビ(NASDAQ:ADBE)とともに代表的な優良SaaS企業の1つServiceNowの紹介でした。


<記事のスタンスに影響する情報開示: 筆者は 2018/3/19 時点でServiceNow(NYSE:NOW)を97株保有しており、次回決算まで売却の予定はない。本記事はビジネスモデルや業績の定点観測を目的としたものであり、読者に投資を推奨するものではない。>


*アメリカ部通信*

SaaSのIPOも増えておりサブスクの導入を支援するSaaSのZuoraやクラウド型電子署名(超便利!)のDocuSignもIPOするかもなんて言われている。


SaaSが増えすぎてやべぇ!ってなわけでクラウドID管理のOkta(NASDAQ:OKTA)やSaaSのAPIを接続するMuleSoft(NYSE:MULE)なんかも上場。*aaS時代というのかサブスク時代というのか。


投資先としてもRecurring Revenue比率の高い、日本で俗に言うストックビジネスは好きなので、*aaS企業は重点的にウォッチ対象になってます。