Fastlyが10月28日に発表した2020年7〜9月期決算は、最終損益が2,378万ドルの赤字だった。
売上高は前年比42%増の7,064万ドル、営業損失は2,345万ドルだった。前回決算(4〜6月)と比べると、やや減速。売上も微減だ。
Fastlyは、最大顧客が中国の短尺動画アプリ『Tiktok』ということでも注目されてきた。以前、CEOのジョシュア・ビクスビーは上期売上の12%がTiktokであることを認めた。
Tiktokの問題が大きくなってから、急騰していたFastlyの株価は一転、下落に転じた。もっとも、だからといって彼らの事業成長が消えてなくなるわけではない。
本当に重要なのは、事業全体の進捗である。決算報告の内容から、足元の取り組みについてチェックしていこう。
まずはFastlyのビジネスモデルについて復習した上で、大まかな事業進捗を各種KPIから確認しよう。
Fastlyが提供するのは、Webコンテンツを高速に利用するための「CDN(Contents Delivery Network)」と呼ばれるサービスだ。CDNとは名前の通り、コンテンツを配信(デリバリー)するためのネットワーク。
動画や画像など、どこから利用しても中身が同じ静的なコンテンツは、世界中に張り巡らせたネットワークにキャッシュ(貯蔵)しておく。そして、エンドユーザーからのリクエストには最も近い場所から返せば、極めて迅速にデータを送れるし、何より効率的だ。
例えば、Tiktokのとある短尺動画をロードするのに(運営拠点のある)アメリカ大陸まで毎回通信していては時間がかかる。動画の内容がユーザーごとに変わるわけではない。
そこで、FastlyのCDNを通じて動画データをキャッシュし、最も近いところにあるデータをロードする。ネットワーク上の通信容量を節約できる上に、エンドユーザーにとっても速い。みんなハッピーというわけだ。
FastlyのCDNを利用する顧客は、その通信量に応じた従量課金で料金を支払う。データを高速に処理できれば、顧客側はエンドユーザーを満足させられるし、通信量が増えてFastlyに支払う金額も上がる。これも双方ハッピーなビジネスモデルだ。