世界のオンライン旅行代理店と最近上場した日本の新興オンライン旅行代理店を比較して見えたものとは

最近、エボラブルアジアとオープンドアとアドベンチャーの3つのオンライン旅行代理店(以下OTA)が日本で上場しました。



日本ではこれまで、OTAがほとんど上場しておらず、楽天の「楽天トラベル」とリクルートの「じゃらん」が2強として拡大してきました。(かつて、ベンチャーリパブリックが上場していましたが、MBO済み)

この2社は、景気回復による旅行マーケットの拡大や従来の日本旅行などの店舗型旅行代理店のパイを奪うことによって成長してきおり、現在では、「楽天トラベル」が日本で2位の旅行代理店となっています。(リクルートの「じゃらん」も同規模とみて問題はないと思います。)


そんな上場企業がなかったOTA領域で、最近上場した日本のOTA3社を研究しながら、海外のOTAについて徹底的に解明していきたいと思います。


エボラブルアジア・オープンドア・アドベンチャー

まず、売上の推移を見てみます。


ただ、このエボラブルアジアの売上推移は、オフショア事業が入ってしまっているので、旅行事業に絞って見てみます。


次に、利益率を見てみます。

営業利益率と経常利益率は、異なるものですが、ベンチャー企業にはそのほど差はないものとして気にせず比較してみます。

ちなみに、経常利益率を見ているのは、目論見書には直近2年以外は経常利益しか掲載がないため、長期的に見れなくなってしまうためです。

こんなにも利益率が異なるのは、それぞれがOTAでも全く異なるアプローチを取っているためです。


まず、エボラブルアジア。

エボラブルアジアは、個人(BtoC)に航空券やホテルを販売する事業も行なっていますが、企業(BtoB)に提供している比率の方が高く、これが強みとなっています。

企業向けとは、エボラブルアジアの比較サイトを他の企業に提供したり、他の旅行会社にエボラブルアジアが調達した航空券を卸したり、一般企業の出張に必要なチケットの手配などを提供しています。(この後紹介するアドベンチャーやオープンドアもお客さんです)

そのため、安定した需要が見込むことができます。






次に、アドベンチャー。

アドベンチャーは、BtoCで航空チケットの販売する事業を行なっています。

アドベンチャーの強みは、少人数による運営と広告に関するノウハウ、リテンションを上げるための施策です。

アドベンチャーでは、全体で22人しかおらず、オープンドアの143人、エボラブルアジア旅行事業33人(全社共通で更に25人)と比較してもダントツで少ないです。

広告に関するノウハウでは、代理店を使わず社内で運営しています。

リテンションを上げる施策では、2回目以降「リピーター割引サービス」を提供することで、広告によって獲得したユーザーのLTVを上げて行こうとしています。


最後に、オープンドア。

オープンドアは、旅行サイトのメタサーチを提供しています。メタサーチとは、複数の旅行サイトを横断して検索できるものです。

なので、ビジネスモデルがエボラブルアジアやアドベンチャーなどと異なり、旅行券を個人に売るのではなく、旅行代理店から課金してもらうというものになっています。


ここで、ビジネスモデルについてまとめると、

会社名 お金のもらい方
エボラブルアジア 個人:旅行代金をもらう
企業:旅行代理店に卸したり、一般企業とレベシェアで旅行代金をもらう、出張の手配をして旅行代金をもらう
アドベンチャー 個人:旅行代金をもらう
オープンドア 企業:旅行代理店からの課金収入や広告収入


世界のOTA

ここからは、世界のOTAについて見てみます。

単位は全てドルになります。


世界では、ExpediaとThe Priceline Groupが2強となっています。また、Expediaから分離したTripadvisorとtrivagoも順調に成長しており、大株主がThe Priceline GroupのCtrip(Expediaの子会社も買収)も上昇傾向にあります。


粗利益率も、CtripとTripadvisorを除いて上昇傾向にあります。

The Priceline Groupの利益率の上昇がすごいなと思いつつ、Tripadvisorが下がってきています。



次に、営業利益率を見て見ます。

すると、売上総利益率が上がっているにもかかわらず、全社一貫して下がっています。(The Priceline Groupがかろうじて上昇傾向にあったもののここで下がってきています。)

中でも、TripadvisorとCtirpの利益率の低下はかなり厳しいものとなっています。



ここで、みんな何に使っているのか見て見ましょう。


まず、売上に対する販売費とマーケティング費の推移を見て見ましょう。

すると、全社で上昇傾向にあり、Expediaが10%上昇して対売上で50%に、The Priceline Groupが17%上昇して対売上で40%に、Tripadvisorが22%上昇して対売上で50%以上にこの7年間でなっています。

先日紹介したtrivagoは、対売上で90%近くをキープしています。



ちなみに、各社がいくら販売費及びマーケティング費をかけているのかまとめたのか見てみましょう。

The Priceline Groupについては、どこにいくら使ったか?までわかり、昨年度は、Googleに35億ドルを使っています。(SNSではなく)

たった5社でなんと1兆円以上かけていることになります。



次に、売上に対する開発費を見て見ましょう。

Ctripが顕著に上がっていますが、ExpediaやTripadvisorも上がってきています。



最後に管理費を見て見ます。




trivagoとオープンドアの比較

ここで、日独のメタサーチで比較して見ます。

オープンドアも粗利益率が着実に上がってきています。


いかがでしたでしょうか。

旅行領域については、景気回復やインバウンドによってマーケットの拡大が見込まれるほか、オフラインのリプレイス、新たな切り口によって成長できると思いますが、海外を見ていると「広告をいかにたくさん打てるか?」という勝負になりつつあることは、否定できないと思います。

また海外にはない日本の特徴として、楽天とリクルートがSEOが強くかつ、ポイントをガンガン配っており、どう戦っていくか。

とても楽しみです。