FactSetは1978年に設立され、金融情報を投資銀行、証券会社その他事業会社に提供する情報ベンダーです。主に法人向けに情報を提供しているので、個人には馴染みがあまりないようですが、ブルームバーグ、トムソン・ロイター、S&P Capital IQなどと競合する企業です。日本で言うと最近上場したユーザベースのSpeedaが近いかもしれません。
簡単に業績を見てみます。情報ベンダー系で一番売上規模が多きのはTomson Reutersで約1兆2000億円あり、Bloombergは約9000億円の売上があります。それに比べるとFactSetは1000億円程度と若干見劣りします。
出所:Google Finance、各社IR、BloombergはForbes(2015データ)
次にFactSetの売上を見てみます。FactSetは2012年から比べると毎年順調に売上を伸ばしており、4年間で40%売上を伸ばしており、年平均成長率も8.7%も成長しています。順調に伸びています。
次に地域別でみると断トツで米国からの売上が大きいです。米国内では主にバイサイドのヘッジファンドからの需要が大きかったようです。ちなみにアジアのヘッドクオーターは東京にあります。
出所:10-K
FactSetは 220もデータサプライヤー、85もの証券取引所からデータの提供を受けています。その中にはTomson ReutersやS&P Globalも含まれていおり、そのデータをFactSet上のプラットフォームでヘッジファンドなどの投資家に提供しています。
数多くのサプライヤーがFactSetにデータを提供しており、FactSetはこのデータを一つのサプライヤーから10%以上の提供を受けないとルールを決めています。このルールはFactSetが受けるデータ情報が少数のデータサプライヤーに偏らないなめのリスク分散です。
この業界の市場規模は2016年で$26.6B(約2兆7000億円)あるとしており、Bloombergが約33.3%, Tomthon Ruitersが24.3%、S&P Capital IQCapital IQが4.8%のシェアを持っているようです。そのその他にもデータベンダー市場はレッドオーシャンとなっており、MSCI Inc、 Morningstar、 BlackRock Solutions,、RIMES Technologies、 Wilshire Associates、などがあるようです。
この熾烈な環境の中でも同社はクライアントへのサポートサービスや、深い分析などが競争力となっており、参入障壁になっているようです。