【保存版】ヤフーによる買収の歴史

LINEヤフー

成長業界であるIT業界で、M&Aに積極的な企業というと楽天が思い浮かぶかもしれません。

確かに、楽天もM&Aに積極的ですが(こちらの記事をご参考にください)、それに負けず劣らずヤフーもM&Aをしまくっており、日本のインターネットの歴史を見ている気持ちになります。



ここでまず、ヤフーのM&Aの歴史を見てみます。

時期 会社名 投資額(億円)
1999年1月 ブロードキャスト・ドット・コムと合弁
1999年3月 マイクロソフトとソフトバンクと合弁
1999年6月 ハピネットとトイカードとエポックとタカラとトミーとバンダイと合弁
1999年6月 ソフトバンクトとセブンイレブンジャパンとトーハンと合弁
2000年3月 ジオシティーズと合併 701.6
2000年3月 ブロードキャスト・コムと合併 34.85
2000年4月 JTBと合弁
2000年8月 PIMと合併 54.08
2001年4月 アイスタイルに資本参加 4.8
2001年9月 イー・グループを買収 9
2001年12月 イー・ショッピング・ブックスを買収 2.4
2002年8月 「スポーツ・ナビ」を買収
2003年9月 ブライダルネットを買収 2.3
2004年2月 リクルートと合弁
2004年2月 エーオンと合弁
2004年9月 夢の街創造委員会に資本参加
2004年9月 オールアバウトに資本参加
2004年11月 ファーストサーバを買収 17.3
2004年12月 アクセスポートに資本参加
2004年12月 アルプスを買収
2005年1月 クレオに資本参加 16.35
2005年2月 バリューコマースに資本参加 109.36
2005年3月 キュリオシティを買収 1.23
2005年6月 インデックスとコネクトテクノロジーズと合弁
2005年7月 インフォプラントを買収 30.12
2005年8月 ゼイヴェルグループに資本参加
2005年12月 ソフトバンクと合弁
2006年3月 ニューズウォッチを買収 13.16
2006年3月 ボーダフォンを買収 1200
2006年4月 クラリアとソフトバンクと合弁
2006年6月 ジャパンネット銀行に資本参加 212.85
2007年1月 インタースコープを買収
2007年4月 オーバーチュアを買収 15.57
2007年6月 オリコンDDに資本参加 1.03
2007年6月 テレウェイヴに資本参加 37.13
2007年7月 きざしカンパニーに資本参加
2007年9月 ブレイナーに資本参加(後に吸収合併) 11.76
2007年11月 サイネックスに資本参加 1.94
2007年12月 ベストリザーブに資本参加 1.34
2007年12月 クラシファイドに資本参加 0.9
2007年12月 GMOインターネットに資本参加 14
2008年2月 アイスタイルに追加出資 5.77
2009年2月 ソフトバンクIDCソリューションズを買収 450
2009年4月 GyaOに資本参加 5.3
2010年2月 コメルに資本参加
2010年8月 シリウステクノロジーズを買収
2012年4月 アスクルに資本参加 329.99
2012年6月 Tポイント・ジャパンに資本参加
2012年8月 クロコスを買収
2012年9月 コミュニティファクトリーを買収 10
2012年10月 カカオジャパンに資本参加
2012年12月 サイバーエージェントFXを買収 210
2012年12月 カービューに追加取得 30.06
2012年12月 ローソンと合弁
2013年2月 グリーと合弁
2013年8月 オセニックを買収
2014年4月 ブックオフコーポレーションに資本参加 98.76
2014年6月 ケーシーを買収 227.15
2014年8月 シナジーマーケティングを買収 92.5
2014年10月 カービューを買収(完全子会社化) 50.22
2015年3月 Tポイント・ジャパンに追加出資
2015年4月 共同通信と合弁
2015年7月 スカイスキャナーと合弁
2015年7月 ソニー不動産に資本参加
2015年8月 BuzzFeedと合弁
2015年12月 一休を買収 1000
2016年5月 エイベックス・ライヴ・クリエイティブと合弁
2016年6月 イーブックイニシアティブジャパンを買収 26.33
2016年8月 アストマックスに資本参加 17.03
2017年5月 「ジョグノート」を買収
2017年8月 ジャパンネット銀行を連結子会社化


合弁も沢山設立しつつ、初期から買収や合併を仕掛けていました。特に額で一番大きかったのが、一休の買収でした。

ただ、ヤフーに残った資産として一番大きかったのは、PIMなのではないでしょうか。


以下、各案件の少しだけ詳しい情報です。

2000年3月ジオシティーズ(701.6億円)

ジオシティーズは、アメリカのジオシティーズとソフトバンク会社で、無料ホームページやコミュニティーサービスを提供していました。


2000年3月ブロードコムキャスト・コム(34.85億円)

ブロードコムキャスト・コムは、音声や動画のオンデマンド配信やホスティングサービスを手がけていました。


2000年8月PIM(54.08億円)

PIMは、モバイル向けのPIMアプリケーションサービスの「DoSule!」の提供をしていました。

このPIMのメンバーが、現在ヤフーのCOOの川邊健太郎氏やCMO村上臣氏や執行役員の田中祐介氏、enishの創業者の安徳孝平氏や公文善之氏、WiLの松本真尚氏などで構成されていました。


2001年9月イー・グループ(9億円)

イー・グループは、電子メール関連サービスを中心としたグループウェアを開発していた会社で、登録ユーザー数は330万人、月間メール配信数は4,500万通でした。

買収時の売上は1億4903万円で営業損失は6666万円でした。


2001年12月イー・ショッピング・ブックス(2.4億円)

イー・ショッピング・ブックスは、ソフトバンクやセブンイレブンジャパンやトーハンなどとの合弁によって設立された書籍のECです。

買収時の売上は5億9900万円でした。


2003年9月ブライダルネット(2.3億円)

ブライダルネットは、結婚仲介サイトです。しかし2006年にMBOをし、IBJとして現在は上場しています。

買収時の売上は1億5320万円した。


2004年11月ファーストサーバ(17.3億円)

ファーストサーバは、レンタルサーバーやドメイン登録などを提供しており、農業機械のクボタの子会社でした。

買収時の売上は15億5600万円でした。


2004年12月アルプス

アルプスは、道路地図を提供していましたが、2004年に民事再生法を申請し。そのスポンサーとしてヤフーがなっています。


2005年3月キュリオシティ(1.23億円)

キュリオシティは、三井物産が始めたECで、株主には三井物産だけでなく、三井情報開発、千趣会、三井住友銀行、オージーキャピタル、東芝などが入っており、合計で8億14000万円を投入していました。

買収時の売上は5億円で営業損失は8000万円でした。


2005年7月インフォプラント(30.12億円)

インフォプラントは、インターネット調査会社で、株主に創業者の大谷真樹氏だけでなく、ベルシステム24が入っていました。

買収時の売上は14億9200万円で営業利益4300万円でした。

のちにインフォプラントは、2007年にインタースコープと合併しヤフーバリューインサイトになり、2010年にヤフーバリューインサイトはマクロミルと合併し、2013年にマクロミルはMBOします。


2006年3月ニューズウォッチ(13.16億円)

ニューズウォッチは、東芝の子会社で「フレッシュアイNews Watch」を手がけていました。

ただ、2010年にフュージョンパートナーに4億5146万円で売却しています。


2006年3月ボーダフォン(1200億円)

ボーダフォンは、携帯キャリアで、ソフトバンクが買収するときに、一部資金を出資しています。


2007年1月インタースコープ

インタースコープは、インターネット調査会社で、株主にDGインキュベーショントApax Globis Japanが入っていました。

買収時の売上は10億900万円で、営業利益は6600万円です。


2007年4月オーバーチュア(15.57億円)

オーバーチュアは、アメリカヤフーの子会社で、スポンサードサーチサービスを提供していました。


2007年9月ブレイナー(11.76億円)

ブレイナーは、個人サイトを中心にコンテンツ連動型広告の事業を展開しています。

株主には、創業者の本田謙氏と松山太河氏が入っており、本田謙氏は現在フリークアウト創業し、松山太河氏はイーストベンチャーズの創業しています。


2009年2月ソフトバンクIDCソリューションズ(450億円)

ソフトバンクの子会社で、データセンターなどを提供していました。


2010年8月シリウステクノロジーズ

シリウステクノロジーズは、モバイル広告プラットフォームを提供していました。

創業者の宮澤弦氏は現在、上級執行役員メディアグループ長に就任しています。また、取締役であった木村新司氏は、アトランティスを創業しグリーに売却、グノシーにジョインしIPO、現在はAnypayを創業しています。


2012年4月アスクル

アスクルは、プラスの子会社からスタートした中小事業者向けのオフィス用品のECサイトです。

ヤフーの子会社となったことで、個人向けECの「LOHACO」の提供をしています。


2012年8月クロコス

クロコスは、SNSを活用したマーケティングサービスを提供していました。

創業者の小澤隆生氏は現在、ヤフーの執行役員ショッピングカンパニー長に就任しています。

買収後の吸収合併時の売上は1億8300万円、営業利益5200万円でした。


2012年9月コミュニティファクトリー(10億円)

コミュニティファクトリーは、mixiアプリ「みんなでケンテイ」やDL数が2800万を超えテイル無料カメラアプリの「DECOPIC」などを手がけていました。

ミクシィの関連会社でしたが、ヤフーが買収しました。

創業者の松本龍祐氏は現在、メルカリ子会社のソウゾウの代表取締役社長とになっています。


2012年12月サイバーエージェントFX(210億円)

サイバーエージェントFXは、サイバーエージェントの子会社でFXを提供しており、現在はワイジェイFXと社名を変えて運営されています。


2013年8月オセニック

オセニックは、価格比較サイトの「coneco.net」を運営していました。


2014年6月ケーシー(227.15億円)

ケーシーは、Jトラスト子会社のカード会社であり、ヤフーに買収されたのち、クレジットカード事業を分割してできたのが、ワイジェイカードです。

ただ、このケーシーは、元々楽天がJトラストに売却した事業でした。


2014年8月シナジーマーケティング(92億円)

シナジーマーケティングは、CRMやメールマーケティングを提供しています。

楽天が大株主として入っていましたが、92億円で買収しています。


2014年10月カービュー

カービューは、ソフトバンクとマイクロソフトが合弁で、マイクロソフトがアメリカで行なっていた自動車総合サイトを日本で行うために再編された会社で、ネットエイジ(現在のユナイテッド)からネットディーラーズの買収もしています。

2012年にソフトバンクから全株式を譲渡されたのち、子会社化しています。

2015年12月一休(1000億円)

一休は、高級ホテル・旅館と飲食店の予約を提供しています。創業者が売却先を探していたときに、ヤフーが買い取っています。

ヤフーは、「ヤフー!トラベル」を提供していますが、ビジネスホテルや日常使いのレストランが中心で、シナジーがありました。


2016年6月イーブックイニシアティブジャパン(26.33億円)

イーブックイニシアティブは、電子書籍を提供しています。クックパッドが株主でしたが売却。そのあとヤフーがTOBによって筆頭株主になりました。


いかがでしたでしょうか。

最近になってヤフーはM&Aが増えてきたようにも見えますが、1999年から合弁を作っては買収をしてきました。そして、その買収に関わった方は、現在でもIT業界の第一線で活躍されており、ヤフーの買収の歴史は、日本のITの歴史そのものでもありました。

今後のヤフーにも期待です。