Shopify Inc. 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 1241億7124万7222 ドル
銘柄コード SHOP(NYSE)

ショピファイはカナダ オンタリオ州オタワに本社をおくテクノロジー企業。2004年9月にTobias Lütkeなどによって創業された。Lütke氏は2008年まではCTO(最高技術責任者)であったが、2008年以降はCEO(最高経営責任者)を務めている。2015年5月にニューヨーク証券取引所に上場。中小企業に向けたクラウドベースのEコマースプラットフォームを提供している。

トビアス・ルケの若年時代

2004年、後にShopify創業者となるトビアス・ルケはカナダでスノーボートを販売するネットショップ『Snowdevil』を立ち上げた。その様子は現在もデモサイトとして公開されている。

Snowdevil

このときに開発したオンライン通販サイトをツール化して外販しはじめたのがShopifyだ。Shopifyは「簡単にECサイトを作れるサービス」として、他に類を見ない成長を遂げることとなる。

トビアス・ルケは1980年にドイツで生まれた。6歳のときにコモドール64を与えられ、11歳になるまでには自分でゲームをプレイしたり、ゲームのコードを書き換えてオリジナルのゲームを自作したりして遊んでいたという。あまりに夢中になるので両親は心配し、精神分析医に連れて行ったほど。

大学には進学せず、プログラマーの養成プログラムに参加した。大手IT企業シーメンスに入社し、見習いプログラマとして働き始めるも、プログラミング言語「Java」に抵抗感を感じ、燃え尽きてしまう。

コンピューターとゲーム以外に、トビアスが夢中になったもの。それがスノーボードだった。シーメンスで燃え尽きた彼はカナダのウィスラーに旅行。そこでオタワ出身のフィオナ・マキーン(Fiona McKean)と恋に落ち、結婚。カナダに帰化することになった。

Shopifyの始まり

トビアスから見れば、当時のEC構築ツールは良いものとは言えなかった。共同創業者となるスコット・レイク氏と話してスノーボード販売サイトを立ち上げようとする際、必然的にウェブサイトを自作することになったのだ。

Javaに抵抗を感じたトビアスが見ほれたのが当時まだ登場して間もない「Ruby on Rails」だ。一時はRailsのコア開発者の一人にもなるなど、かなりの入れ込みようだった。トビアスはSnowdevilの開発で作ったコンポーネント(クレジットカードの処理方法など)を公開すると、Railsコミュニティで知名度を高めた。

こうした成功体験の中、二人が考えたのが「このソフトウェア自体も販売できるのではないか?」というアイデアだ。

その後、トビアスは1年半もの時間を開発に費やす。2006年、ようやく正式リリースにこぎつけたのが「Shopify」だ。

Shopifyはすぐに8,000ドルの売上をあげ、食っていくことには困らなかった。2008年には6万ドル規模まで拡大。それでも、スタートアップとして急成長を目指す決心はつかずにいた。

カナダのベンチャー投資家は当時それほど積極的ではなかった。シリコンバレーでも一斉を風靡していたのは「Web2.0」だ。Eコマースをやっていると聞くと、多くの投資家が興味を失ったという。

詳細:スノーボード通販サイトから汎用ツールへ!Shopifyの歴史と創業者トビアス・ルケ氏の半生

ビジネスモデル

Shopifyが提供するのは、主にSMB(中小企業)を対象にしたオンラインショップ作成ツールだ。

14日間の無料体験を利用だが、その後は月額29ドルからの定期課金の支払いも必要となる。さらに、商品が売れた際には金額に応じた手数料も支払うことになる。

AmazonやeBayをはじめとする巨大なプラットフォームでは、ネットショップを出すというよりは「出品」ができるにすぎない。そのショップの個性を出すなどといったことはほぼ不可能な構造になっている。それに比べ、Shopifyで作ったECサイトの方がはるかに柔軟なカスタマイズが可能だ。

もっとも、Shopify自体にはもともと集客機能はなかった。そのため、Shopifyを使ってネットショップを開始した場合、マーケティング活動については出店者が自ら進めていく必要があった。

こうした特性も、振り返ってみればShopifyの成長に優位に働いたと言えるかもしれない。Shopifyで成功しやすいのは、一定のファンがすでにいる既存店舗や有名人、インフルエンサーなどの人たちだ。彼らの多くは集客自体に困りはしないが、より自らの個性を表現できるオリジナルのネットショップが必要だった。

2019年末時点において、Shopifyには100万を超える利用事業者がおり、その事業展開地域は175か国にまたがっている。そのうちアメリカ合衆国は52%を占め、英国が7%、カナダ6%、それ以外が29%という構成だ。

参考:2019年Annual Report

Shopify側に入ってくる収入ははじめは決済手数料が中心で、その後はキャッシュフロー安定化のために月額課金が中心となり、そして近年は再び決済高が非常に成長していることで、月額課金を上回るようになった。

Shopify売上コホート

Shopifyのプラットフォームとしての強さは、上の一枚のスライドからも見て取れる。2016年に参加した事業者はその後も売上を拡大し、2017年に参加した事業者も、2018年、2019年に参入したものについても同様のことが言える。いわば「インターネットショッピング」というカテゴリが伸び続ける限り、成長を続けられるモデルといっても過言ではない。

Shopifyの優位は、Shopify以上に魅力的なEC支援プラットフォームが出るまでは続くはずだ。しかし、現実には急成長しているという事実をバックにShopifyはさらなる事業改善に向けた投資を進めており、今となっては参入障壁はとても高いと言える。

Shopify Fulfillment Network

Shopifyがこのところ注力している施策の一つが、物流ネットワークへの投資だ。その名も「Shopify Fulfillment Network」という。

Shopify Fulfillment Network

これを開始したのは2019年6月のこと。Amazonなどの巨大プラットフォームと比べたShopifyの弱点は、「超効率的な物流システムを持たないこと」とも言える。Amazonは、直販のスケールメリットを生かして物流に多大に投資し、即日・翌日配送などスピードの追求によって消費者の支持を勝ち得た。

一方のShopifyは事業者が世界中に散らばっており、同じような物流投資は難しかった。そこで彼らがとったのは、自社で物流設備をもつのではなく、サードパーティの物流倉庫に委託してネットワーク化するという仕組みだ。

Shopify自身は在庫をスマートに管理するためのソフトウェアを開発しており、2019年9月には倉庫支援ツールを提供する「6 River Systems」を買収した。このような投資によって、ShopifyがECプラットフォームとしての存在感を強化していくことになるかが、今後数年の注目ポイントの一つだ。