エービーシー・マート 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 4968億8900万 円
銘柄コード 2670(市場第一部(内国株))

株式会社エービーシー・マートは、東京都渋谷区に本社をおく企業。1985年に靴と衣料の輸入販売商社「株式会社国際貿易商事」として創業。翌年HAWKINS、1991年にはVANSの国内総代理店となる。2000年JASDAQ上場。2002年より卸売から小売へ業種転換を開始。2004年には卸売事業をやめ、2006年初のレディース専門店『NUOVO』を出店。2015年には国内外で1000店舗を達成している。


事業内容とビジネスモデル

沿革・会社概要

株式会社エービーシー・マートは、靴を中心とした商品の販売や自社商品の企画開発を行っている企業だ。靴製造工場「ABC SHOE FACTORY」を石川県羽咋郡に所有しているほか、連結子会社には米国の靴製造販売「LaCrosse Footwear,Inc.」などがある。

前身の「株式会社国際貿易商事」は靴と衣料の輸入販売商社で、1985年に創業した。1990年2月に上野地区に「AMC-MART」1号店、渋谷地域に「GALLOP」渋谷店など4店舗をオープンした。

2002年に「株式会社エービーシー・マート」に商号変更し、同年11月に東京証券取引所市場第一部に上場している。2015年には国内外で1,000店舗を達成している。

事業内容

エービーシー・マートは国内外で小売事業や自社商品の企画製造、海外ブランドの輸入販売といった事業を展開している。靴の小売店「ABC-MART」を日本全国に展開しており、ニーズに合わせた様々な業態を運営することで幅広い顧客を取り込んでいる。エービーシー・マートは韓国や台湾、米国にも店舗を出店している。

国内事業

全国各地に展開している小売店「ABC-MART」などを通じて、『HAWKINS』『VANS』『saucony』『DANNER』『NUOVO Collection』等をはじめとした自社企画商品、ナショナル・ブランド商品を展開している。自社企画商品は国内外のグループ工場・委託工場で生産し、国内市場に供給する仕組みだ。

中核の「ABC-MART」をベースに、都心部の大型旗艦店「ABC-MART Grand Stage」、売り場面積300平米以上の大型ファミリー向け店舗「ABC-MART Mega Stage」、ワンランク上の内装と品揃えを実現した「ABC-MART Premier Stage」などを運営する。

その他、アスレジャー向けスポーツファッション専門店「ABC-MART SPORTS」、セレクト系スニーカーショップ「ACE Shoes」、レディースシューズ専門店「Charlotte」、キッズとママ向けシューズショップ「ABC KIDS MART」など、様々な業態開発を進めている。

韓国および台湾

連結子会社の「ABC-MART KOREA,INC.」「ABC-MART TAIWAN,INC.」が「ABC-MART」を運営している。

米国

2012年に買収した連結子会社「LaCrosse Footwear,Inc.」を筆頭としたLaCrosseグループが、米国内で小売店「DANNER」ストアを展開している。自社ブランドの『Danner』『White's Boots』等の靴の企画・製造・販売を行っている。

経営方針

中期的な経営戦略では、積極的な店舗展開とEC拡大、レディース市場とスポーツアパレル市場への取り組み、世界マーケットへの発信、既存ブランドの拡充と新規ブランドの取得・育成を掲げている。

  • 「ABC-MART」の出店を進めることで、ストアブランドとしての「ABC-MART」認知向上を目指す
  • 「ABC-MART」では、ブランドを基調としたトレンドアイテムの充実を図る
  • 「ABC-MART」のマーチャンダイジングを強化するためにブランドポートフォリオを充実していく
  • 「ABC-MART」とEコマース(EC)事業におけるオムニチャネルへの対応を強化していく

経営指標

エービーシー・マートグループの経営指標としては、連結営業利益率を2桁水準で維持することを目標としている。

中長期的の経営戦略

店舗展開とEC拡大

自店競合を起こさないよう考慮しつつ、年間50店舗前後の出店を続けていく。収益重視の店舗開発を進めており、商品の企画から構成(マーチャンダイジング)を店舗設計等の計画に組み入れている。

また、オムニチャネル戦略として、スマートフォンアプリによるマーケティング活動を通して、リアル店舗とECのリレーションを強化していく。

レディース市場とスポーツアパレル市場

スポーツアパレル市場は、スポーツシューズを取り扱っているABCマートにとって親和性が高い。スポーツファッション専門店「ABC-MART SPORTS」を中心に、シューズ以外にもスポーツアパレルや小物等のアイテムを総合的に展開している。

カジュアル系スポーツアパレルの取扱いを増やすことでシューズとのトータル提案を行い、シェア拡大を目指す。また、スポーツシューズは、ライフスタイルカジュアルとしてのタウンユースと、「走る」「歩く」「登る」などのパフォーマンス系スポーツユースの商品の充実を強化していく。

店舗への来店頻度や商品の購買頻度が高いレディース市場も重視している。ファッションとしてのスポーツシューズのニーズが高まっていることから、パンプスやブーツ等のレディース特化のアイテムに加え、レディーススニーカーの充実を図る。

また、女性客をメインターゲットとしたキッズシューズの品揃え強化を図り、親子コーディネイト企画を推進する。

世界マーケットへの発信

海外に関しては、「ABC-MART」では世界各地の展示会や海外市場でのリサーチにより、世界の流行を商品企画に活かしている。

一方で、日本の流行を海外へ送り込む手段として「ABC-MART」の海外展開を拡大中だ。現在、韓国、台湾の子会社が「ABC-MART」の店舗網を拡充し、北米においてはレザーブーツ専門店「DANNER」を展開している。

今後もエービーシー・マートでは他の海外市場への販路拡大を視野に入れ検討していく。

既存ブランドの拡充と新規ブランドの取得・育成

既存ブランドでは、レザーカジュアルを中心とした総合ブランド『HAWKINS』や、スポーツカジュアルの『VANS』『saucony』、レディースの『NOUVO Collection』などを拡充させていく。

また、顧客層や出店業態の拡大に伴い、PBブランドの育成や、ナショナルブランドの取得、ライセンス契約などを行っていく。

経営環境

外部環境に目を向けると、国内の人口減少と少子高齢化が一層進み、エービーシー・マートは「量を追うだけのビジネス」は厳しくなると予想している。

消費環境においては、人手不足によるIT活用、働き方改革による業務の効率化、キャッシュレス決済の普及、自然環境へ配慮した取り組み等、多店舗展開を行う流通小売にとってオペレーションそのものの変革が求められる時代になった。

加えて、ECとの競争が激しくなる中で、リアル店舗の接客サービスによるネットとの差別化を重要視している。

対処すべき課題

エービーシー・マートグループは、シューズ業界におけるトップ企業として、お客様の購買意欲を高めるための様々な商品提案を行い、新たなマーケットを開拓するべく諸施策の遂行に取り組んでいる。また、より良い商品を顧客に提案できる接客サービスの向上に努めている。

店舗戦略

多店舗展開を推進するにあたり、多様な商圏、顧客層に応じた店舗形態を築いていく必要がある。特に、自店競合を起こさないよう地域の特性等も考慮に入れながら新業態の開発に取り組んでいる。また、商品の企画から構成(マーチャンダイジング)を店舗設計等の計画に組み入れ、収益重視の店舗開発を行うことが重要。これらを踏まえ、個別店舗の収益を最重要視し、全ての店舗が収益に貢献することを目指す。 また、国内に留まらず、「ABC-MART」のグローバルな店舗展開を推進している。

商品戦略

スポーツシューズについては、ライフスタイルカジュアルとしてのタウンユースと、「走る」「歩く」「登る」などのパフォーマンス系スポーツユースの商品の充実を強化している。スポーツ分野においては、シューズのみならず、スポーツアパレルや小物等のアイテムを総合的にセレクトできる「ABC-MART SPORTS」や、ショップインショップの形態でナショナルブランドの「スペシャリティストア」を併設した大型の「ABC-MART」と共に、スポーツ関連商品の販売強化を進めている。また約300店舗(2020年2月時点)で取り扱いのあるスポーツアパレルにおいては、さらに展開店舗の拡大を進めていく。

レディース市場では、近年、ファッションとしてのスポーツシューズのニーズが高まっていることから、パンプスやブーツ等のレディース特化のアイテムに加え、レディーススニーカーの充実を図る。また女性客をメインターゲットとしたキッズシューズの品揃え強化を図り、親子コーディネイト企画を推進する。

メンズのビジネスシューズやレザーカジュアルシューズについては、機能訴求や品質訴求の商品を増やすなど付加価値提案に注力している。 売上総利益率の向上については、売上高に占める自社企画商品の構成比率を維持向上することに努めると共に、メーカー各社との取引において、ナショナルブランド商品の共同企画をさらに推進し、他社との差別化を図る。これらの取り組みにより、売上原価の低減と利益の向上に努めている。

販売力(人)の強化

エービーシー・マートグループは、対面販売による営業活動を主軸に事業を展開している。顧客にとって魅力のある店づくり、商品づくりを心がけ、提供していくためには、スタッフ一人ひとりの販売力が重要。『人の力』が最も大切であるということを充分理解し、小売業の基本といえる接客サービスを身に付け向上させる取り組みを進め、今後とも適切な指導を行っていく。

また海外子会社の店舗とも人材交流を進め、グループ企業としての「接客の均一化」を図っている。また少子高齢化による採用難に対応し、スタッフの様々なライフスタイルに応じた「働き方改革」を推進している。ショートタイム社員や地域限定社員など雇用形態の多様化を図り、中長期的な労働力の確保を目指す。またスタッフの潜在能力を引き出し、最大限に活かせる場所への人材のアロケーションを含めたマネジメントを強化している。

ITへの継続的投資

エービーシー・マートグループは、対面販売を基調とした直営店(リアル店舗)のほか、Eコマースを展開している。エービーシー・マートグループの事業拡大には、Eコマースの成長は不可欠となってきている。 リアルとネットを繋ぐためのオムニチャネル戦略を推進していくため、ITへの積極的かつ継続的な投資を進めている。

リアル店舗とネットを繋ぐ媒体として、スマートフォンを活用した様々な取り組みを加速させている。ABCマートアプリによる新規会員の獲得、リアルとネットの相互利用が可能な電子ポイントシステム、会員向け情報発信サービスの提供や、キャッシュレス決済への対応など多岐にわたる。IT活用による顧客満足度の最大化とさらなる業務の効率化を目指している。

内部管理体制の強化

企業規模が拡大していくなか、国内外へのグローバルな活動が活発化しており、その社会的責任も一層増している。 2015年5月、エービーシー・マートグループは、取締役会における経営判断の適正性を監視する機能をさらに高めていくため、また取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの充実という観点から、監査等委員会設置会社へ移行した。

取締役の職務執行状況や経営活動全般における法令遵守についての内部監査を強化していくと共に、顧客の安心・信頼に繋がる店舗運営を実現するため、店舗監査を定期的に実施し、必要に応じて是正勧告等を行い、店舗運営の適正化に努めている。また法令遵守はもとより、役職員の健康管理の観点から、より一層働きやすい労働環境の整備に向けた取り組みを積極的に行っている。会計監査については、監査等委員との相互連携により監査体制を充実させていく。その他法令・税務についての判断を要する案件については、顧問弁護士、顧問税理士に依頼または相談し、適宜、指導や助言を受けている。


2020年2月期 有価証券報告書(提出日:2020年6月1日)


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