ステムリム 事業内容・ビジネスモデル

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時価総額 390億1300万 円
銘柄コード 4599(マザーズ(内国株))

ステムリムは、大阪府茨木市に本社をおく医療ベンチャー。
2006年、大阪大の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に設立。
2007年より大阪大学との共同研究を開始し、研究成果の知財化を進めてきた。
2018年、ステムリムに社名を変更し、2019年東証マザーズに上場。


事業内容とビジネスモデル

ステムリムは、大阪府茨木市に本社をおく医療ベンチャー。 2006年、大阪大の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に設立。 2007年より大阪大学との共同研究を開始し、研究成果の知財化を進めてきた。 2018年、ステムリムに社名を変更し、2019年東証マザーズに上場。

沿革・会社概要

株式会社ステムリムは、大阪府茨木市に本社を置く医薬品開発を行う企業。2006年に、冨田憲介氏らによって、大阪大学大学院医学系研究科の玉井克人教授らが同定した骨髄多機能性幹細胞動員因子を医薬として開発することを目的に設立。2007年に大阪大学との共同研究を開始。2008年、2009年、2013年に独立行政法人 科学技術振興機(JST)によって事業が採択。

2010年に本社を大阪府茨木市に移転。塩野義製薬株式会社と骨髄由来幹細胞動員因子に関する共同研究契約締結。大阪大学最先端医療イノベーションセンターの共同研究プロジェクトに採択、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において事業が採択。2014年に塩野義製薬株式会社とレダセムチド(HMGB1ペプチド)に関するライセンス契約締結。

2018年に株式会社ステムリムに社名変更。2019年に東京証券取引所に株式を上場。2020年4月にレダセムチドに関する表皮水疱症を対象にした医師主導治験収量。6月に大阪大学・テクノアライアンス等に再生誘導医学協働研究所を開設。塩野義製薬株式会社とレダセムチドの適応拡大に向けた新たな契約を締結。

事業内容

ステムリムが創業以来研究開発に取り組んできた「再生誘導医薬」は、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の機能的再生・治癒を促進する、唯一無二の新しい作用メカニズムに基づく医薬品。再生誘導医薬の投与によって、脳梗塞、頭部外相、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄損傷などの中枢神経系疾患、循環器系疾患、上皮系疾患、消化器系疾患、骨格器系疾患、呼吸器系疾患といった多様な疾患に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待される。

社内で最も開発の進む開発品は、栄養障害型表皮水疱症治療薬としての再生誘導医薬品(レダセムチド)である。本臨床試験の終了に伴い、塩野義製薬株式会社とのライセンス契約に定められたマイルストーンペイメントの条件を充たし、マイルストーン収入を計上している。現在、栄養障害型表皮水疱症治療薬の開発については医薬品としての承認新生準備中である。

また、脳梗塞治療薬の開発については、被験者の組み入れが進捗している。心筋症治療薬の開発については、大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学講座との共同研究で実施した非臨床試験にて、心筋梗塞や各種心筋症の疾患モデルを用いた薬効試験で顕著な治療効果と作用メカニズムの証明がされている。

変形性膝関節症治療薬の開発については、非臨床試験にて疾患モデル動物を用いた薬効試験で効果が確認されており、2020年内に弘前大学および塩野義製薬株式会社との間で契約を締結し、レダセムチドの有効性および安全性を評価する治験の開始が計画されている。

慢性肝疾患治療薬の開発については、非臨床試験にて有効性が確認されていおり、2020年9月に新潟大学および塩野義製薬株式会社との間で契約を締結し、レダセムチドの有効性および安全性を評価する治験の開始が計画されている。

また、ステムリムは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する、令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発」に採択され、COVID-19肺炎患者を対処うとした臨床試験に繋げることを目指す。

事業モデル

ステムリムは、医薬品の研究開発を主たる業務としている。自社研究または研究機関との共同研究を通じて、生体内における組織再生誘導メカニズムの解明と幹細胞の特性解析、幹細胞の制御技術における基礎研究を行い、その成果を活用したスクリーニング系によって、新規再生誘導医薬シーズの探索を行う。

同定した候補物質については、研究機関と共同で特許を出願し、研究開発活動による知的財産の構築を行う。候補物質については、自社または研究機関/パートナー企業と共同で、製造方法の開発、非臨床薬効薬理試験、安全性試験、初期臨床試験等までを実施し、製薬企業に製品に係る権利をライセンスアウトすることで、収入を得る事業モデルを採用している。

再生誘導医薬について/新しい再生医療

「再生誘導医療(Stem cell Regeneration-Inducing Medicine)」とは、生きた細胞や組織を用いることなく、医薬品の投与のみによって、再生医療と同等の治療効果を得られる医薬品である。移植医療の限界を突破する技術として注目を集めているものの、実用化丹生向けては数多くの課題がある。最終製品として生きた細胞自体を用いる必要があるため、①製造工程における品質管理の難しさ、②安全性への懸念、③治療可能時期の製薬、④免疫拒絶反応、⑤保管・流通の製薬といった課題がある。

経営方針

ステムリムは、人体が本来備えている組織修復能力を引き出す「再生誘導医薬」をはじめとした最先端生命科学研究の成果をもとに、新しいコンセプトの治療薬を生み出し続けることで、世界の健康と幸福の実現に貢献することを掲げる。

経営指標

経営指標等は用いていない。主要な開発品目であるレダセムチドについては、表皮水疱症、脳梗塞を適応症とする開発が先行する段階であり、開発を推進することが、企業価値を高め、経営を安定させる上での不可欠の目標であると認識している。

経営戦略

対処すべき課題

再生医療品分野は、世界的にも普及段階まで至っておらず、環境変化のスピードが早いと考えられるため、潜在的な競争相手に先行して、他社の知的財産権を上回る開発をする必要性がある。当面の課題として6つを挙げている。

既存事業の展開支援と新規事業の開発推進

レダセムチドについては、塩野義製薬会社への導出が完了していることから、今後も臨床開発が滞りなく薦められ、将来幅広い適応症に対して開発が展開されるよう、導出先企業に対する側面支援を継続していくことが重要な役割である。新潟大学において実施される治験、弘前大学において実施される治験についても重要な役割と認識している。医薬品の承認申請が順調に進めば、表皮水疱症治療薬としての上市だけではなく、他の適応症への展開の加速が期待される。よって、他のパイプラインについても事業提携に繋げていくことが重要な課題であると考えている。

臨床応用の加速

大阪大学とステムリムが共同で実施してきた研究において蓄積された基礎研究の膨大なデータと臨床研究および治験のデータの相互評価および相互利用によって、開発を加速することができると考えている。

研究助成金の獲得

医薬品の研究開発には、多額の先行投資が必要とされ、少なからず開発リスクが伴う。ステムリムでは、プロジェクトが非臨床試験もしくは早期臨床開発段階に達した時点で、製薬企業との連携もしくは候補品の導出を行い、比較的早期に自社負担を軽減することを基本戦略としている。それでもなお、臨床試験に至るまでの過程で多大な研究開発費を負担する必要が生じる。引き続き、公的研究助成金を積極的に活用していくことが、重要な経営課題であると認識している。

優秀な人材の獲得

再生誘導医薬の分野は、国内外バイオ・製薬企業との競争が激化することが予想され、より一層の研究開発の加速と競合他社との差別化が必要になる。そのため、独創的な研究活動を支える優秀な研究人材の獲得は、喫緊の経営課題であると認識している。

財務基盤の拡充

新規の再生誘導医薬候補物質の探索及び研究開発への投資を継続するには、必要に応じて株式発行による資本市場からの資金調達を実施するなどによって、財務基盤の充実と安定化を図ることが、重要な経営課題である。

新型コロナウイルス感染症による影響について

緊急事態宣言下にて非臨床試験担当者を除く従業員のテレワークを推進し、可能な限り研究開発を予定通りに進行している。緊急事態宣言解除後においては、研究作業中のソーシャルディスタンスの維持、自動車通勤の奨励、通勤ラッシュを避けた時差出勤の励行、研究業務に支障がない範囲でのテレワークの推進を実施している。海外への渡航、国内出張の制限、テレワーク等の対応をしているが、今後さらなる就業環境や業務プロセスの変容が必要となる可能性がある。事態が長期化、深刻化した場合、研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止が発生する可能性に対処することは重要な経営課題であると考えている。


2020年7月期 有価証券報告書(提出日:2020年10月29日)