デジタル社会の盲点?身近なベースメタル「銅」が足りなくなるシナリオ
International Copper Study Group
前回のニッケル特集に引き続き、今回は読者からリクエストのあった「銅」をテーマに取り上げたい。
銅は日常でもっとも身近な金属の一つだ。人類がはじめて利用した金属とされ、その歴史は一万年にのぼる。用途として即座に思い浮かぶのは十円玉(95%が銅)かもしれないが、食器や精密機器、輸送機器など至るところで使われている。
当然ながら、銅にも「相場」がある。十円玉の重さは4.5gなので、銅だけの価格は約5円(注)。つまり、もしも価格が二倍以上に拡大したら、十円玉は溶かしてしまった方が「経済的」ということになりうる。(注:貨幣を鋳つぶすのは違法)
銅価格は景況を反映する”先行指標”とも言われる。あらゆる物の原材料として使われる銅の価格が上がるということは、すなわち最終製品の需要が伸びていると考えられるためだ。
そして今後、銅が世界的に不足する可能性があると言ったらどうだろう。今回の記事では、身近な「ベースメタル」の代表格である銅について、その歴史や経済的側面を中心にまとめる。