2020年12月10日 07:19
Appleのヘッドホン進出が意味するもの
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Appleはワイヤレスヘッドホン『AirPods Max』を新たに発売する。

しかし何故、高価なヘッドホンを売り出すのだろうか? この疑問のヒントを得るには、Appleのこれまでの取り組みを振り返ればいい。

ジョブズがいた頃から、Appleはこの領域に積極的だ。2003年に発表した『iTunesストア』は業界に文字通りの大変動をもたらした。

2014年にはドクター・ドレーらが設立したビーツを計30億ドルで買収。狙いは「ストリーミング事業」と言われるが、同時に獲得したのがビーツ・エレクトロニクスだ。

2017年、スマートスピーカー「HomePod」を発表。CEOのティム・クックは「音質が良すぎる。飛ぶぞ」と強気のコメントを寄せた。

耳をめぐる戦い

しかし、現実は厳しい。HomePodは市場で全く存在感を出せず、AmazonやGoogleに遅れを取る状況は変わっていない。

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反対に、最高の結果を生んだのが「AirPods」シリーズだ。

2016年に発売されて以来、業界を席巻。完全ワイヤレス(TWS)ヘッドホン市場では圧倒的なシェアを有している。

今年10月にHomePod miniを発表するなど、Appleはスピーカー領域も諦めていない。そんな中で新たに発表したのがAirPods Maxである。

収益面での重要性も

AirPods Maxは、既存の最高製品『Beats Pro』よりも150ドル高い。そのコスト構成は分からないが、売れ行き次第で大きな収益源になりうる。

HYLA mobileによると、人々は年々iPhoneを長く使うようになった。下取り時の平均使用年数は2020年2Qに3.13年。ほぼ一貫して延び続けている。

iPhoneが高度化するにつれ、中古で満足する人も増えた。長期的な売上減を考慮すると、ウェアラブルによる収益の多様化はAppleにとって当然の戦略と言える