ボブ・ディランが全楽曲を売却
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米国のアーティスト、ボブ・ディランが過去に手がけた全楽曲がユニバーサル・ミュージックに売却される。対象は600曲以上。過去60年間にもわたる作品群だ。
ディランは1941年生まれの79歳。ミネソタ州出身で、大学を中退してニューヨークで弾き語りを始めた。
間もなく才能を見出されると、1962年にアルバム『ボブ・ディラン』を発表。その後は方向転換しながらも莫大な人気を獲得していく。
ビートルズやジミ・ヘンドリックスから井上陽水まで、名だたるアーティストに影響を与えた。2016年にノーベル文学賞を受賞したのは記憶に新しい。
ボブ・ディランの全作品の取引金額は数億ドルにのぼると報じられる。
ストリーミング産業との関係
こうした動きがあるのは、実は彼だけではない。投資ファンドのShamrock Capital Advisorsは11月、テイラー・スウィフトの初期のマスターレコードを3億ドルで買収。
ところが、この取引はテイラーに対してではなかった。彼女はむしろ、過去の作品を買い戻そうと努力してきた。
テイラーは売却したScooter Braunが今後も収入を得ることに腹を立てており、「レコーディングし直すことで、古い版の価値を減らしてやる」と手紙で返信した。
音楽ストリーミング産業が確立したことで、一つの楽曲がいくら稼げるか見通しが立ちやすくなった。この結果、投資対象として注目を浴びている。
アーティスト側にとっては、「いくらで売るべきか」判断を迫られることにもなる。コロナ禍で収入が途絶えた者にとっては尚更だ。