イノバセル、シリーズCで計27億円を調達 便失禁の治療開発
Shutterstock
再生医療等製品を開発するイノバセル(東京都渋谷区)は、事業拡大期のシリーズCラウンドで計27億円を調達したと発表した。これまでに横浜キャピタルやHiJoJo Partners、コーエーテクモグループらの傘下ファンドなどが出資している。
調達資金は治療薬候補の研究開発に充てる。
どんな会社?
オーストリアのインスブルック医学大学からスピンアウトした再生医療ベンチャーの親会社として、2021年に日本で設立した。便失禁、尿失禁に関連する疾患に対する再生医療等製品の開発に取り組んでいる。
開発が最も進展している細胞治療「ICEF15」は、筋肉の元となる「筋芽細胞」を利用し、局所投与での筋肉を再生させ切迫性の便失禁を治す。これまでに300例以上の投与実績があり、欧州において最終段階の臨床試験を準備している。
便失禁は世界で20歳以上の約10%に発生している疾患だ。便失禁は肛門括約筋が傷ついたり弱ったりすることが原因となる。出産時に発生しやすく女性患者が多い傾向にある。
既存の治療方法は、食生活の改善や下痢止め剤などが多く、効果が不十分な場合は外科手術が必要だった。