世界の経済成長率2.9% 22年予測、世界銀行が下方修正
Strainer
国際金融機関の世界銀行は米国時間7日、2022年の世界経済の成長率(実質GDPの前年比増加率)が2.9%になるとの見通しを発表した。1月時点の4.1%から大幅に引き下げた。2021年(5.7%)と比べて2.8ポイント低い水準となる。
なぜ下方修正?
新型コロナウイルスの流行による経済活動の停滞に加え、ロシアのウクライナ侵攻が世界の投資や貿易の減速に拍車をかけている。ロシアの原油輸出が滞る懸念から原油価格が急騰し、生産や物流のコスト増で物価上昇が続く。消費者の実質所得が減り、生活を圧迫している。
世界銀行は物価上昇と景気後退が同時に進む「スタグフレーション」のリスクが高まっていると指摘。デイビッド・マルパス総裁は「ウクライナの戦争、中国のロックダウン、サプライチェーン(供給網)の混乱が成長を打ちのめす。景気後退の回避は困難で、生産の奨励と貿易規制の回避は急を要する」とコメントした。
地域別では
日本の2022年の経済成長率は1月時点の予想から1.2ポイント引き下げ、1.7%とした。日本政府が8日発表した1〜3月の実質GDP(2次速報値)は年率換算でマイナス0.5%だった。
米国は1月時点から1.2ポイント減、欧州は1.7ポイント減となり、それぞれ2.5%になると予測する。ウクライナ侵攻で各国の経済制裁を受けるロシアは11.3ポイントの大幅減で、マイナス8.9%とした。
2024年まで、世界の経済成長率が2022年と同じ低い水準で推移すると予想する。発展途上国では「コロナ禍と戦争による打撃の結果、今年の1人あたりGDPはコロナ以前を5%近く下回る」(世界銀行)という。