2022年06月07日 13:00
AI養殖のウミトロン、北欧・東南アに拠点 12億円調達
ウミトロン

水産養殖のAI管理システムを提供するスタートアップのUMITRON(ウミトロン、東京都江東区)は7日、金融機関からの借入枠を含めて12億2000万円を調達したと発表した。資本提携する石油元売り大手のENEOSホールディングスなどが出資した。資金を元手にサーモンやエビの養殖が盛んな北欧、東南アジアで現地法人を設立し、海外事業の拡大を目指す。

どんな企業?

2016年設立のウミトロンは東京とシンガポールに事業拠点を置き、AIや衛星によるセンシング技術を使って養殖生産の自動化や効率化を図るシステムを開発する。国内では寿司チェーン大手のくら寿司の養殖事業などで、遠隔でエサやりするシステムが導入されている。

海外では、水の透明度が低いエビ養殖でも生育状況をリアルタイムでAIが分析する「UMITRON EAGLE(イーグル)」を提供し、タイ財閥チャロン・ポカパングループ系のエビ養殖世界最大手とも提携した。既存の設備のみでAIによる生産管理ができるソフトウエア「UMITRON REMORA(リモラ)」も北欧、南米のサーモン養殖場で導入され始めた。

画像名 衛星から世界中の海洋データを高解像度で取得できるサービス「UMITRON PULSE(パルス)」=ウミトロン

目的は?

ENEOSのほか、飲料容器大手の東洋製罐グループホールディングスがシリーズB(事業成長段階)の資金調達ラウンドで出資した。2018年のシリーズA(創業段階)と合わせて、累計の調達額は24億4000万円になった。

資金を活用して、サーモン養殖が盛んな北欧、エビ養殖の主要市場の東南アジアで現地法人を設立する意向だ。ウミトロンは北中南米や欧州、アジアなど世界各国での事業展開に乗り出しているが、拠点を設置することでビジネス基盤の強化につなげる。

またENEOSとは藻類などによって取り込まれる炭素「ブルーカーボン」の共同研究を2月に始めており、今回の資金調達で「出資元のパートナー企業との連携強化を進める」(ウミトロン)としている。