2022年05月30日 20:12
アストロスケールに支援金1480万ユーロ、24年に宇宙ごみ除去衛星を打ち上げへ
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宇宙ごみ(デブリ)除去サービスのアストロスケールホールディングス(東京都墨田区)は30日、英国子会社が取り組むデブリ除去用の衛星開発プロジェクトで1480万ユーロ(約20億円)の資金援助を受けたと発表した。衛星通信サービスの英OneWebをパートナーとして技術開発を進め、2024年末の衛星打ち上げを目指す。

Detail(具体的な内容)

アストロスケールの100%子会社である英「Astroscale Ltd」が、欧州宇宙機関(ESA)とOneWebが展開する「Sunrise」プログラムを通じて援助を受けた。このプログラムは、衛星航行のためのAIやデブリ除去など、次世代技術の研究開発を支援している。

アストロスケール子会社とOneWebは、提供された資金を使い、軌道上で役目を終えた人工衛星を捕獲し除去する衛星「ELSA-M(エルサ・エム)」の設計を完了させ、組み立ての前段階までの製造を進めていく。

Value(なぜ重要?)

衛星は、天気予報、災害監視、GPS、銀行システム、ブロードバンドなど様々な重要サービスの実現に寄与している。一方で、廃棄された衛星やデブリなどで宇宙の軌道環境が混雑すると、地球上でも多様なサービスに影響が出る恐れがある。

衛星の打ち上げで切り離されたロケットの一部や、廃棄された衛星、それらの破片などが宇宙空間を漂っている。これらがスペースデブリの正体だ。民間ロケットや衛星サービスなどの成長により、宇宙空間への打ち上げ回数は急増。これに伴いデブリも増加の一途を辿り、効率的な回収・除去方法の開発が求められている。

Company (どんな企業?)

アストロスケールは2013年の設立で、持続可能な宇宙環境を目指し、デブリ除去を含む軌道上サービスの開発と運用に取り組んでいる。2021年には世界初の商用デブリ除去技術の実証衛星を打ち上げた。同社はこれまでに300億円以上の資金調達を実施しており、日本と英国の他、米国やシンガポール、イスラエルにも拠点を設けている。