次世代太陽電池を開発するエネコートテクノロジーズ(京都府久世郡)は24日、シーリズB(成長段階)ラウンドで追加の資金調達を完了したと発表した。今回の調達で累計調達額は21億5000万円となった。
Detail(具体的な内容)
日揮グループとグローバル・ブレインが設立した「JGC MIRAI Innovation Fund」と、みらい創造機構が運営するファンドを引受先とする第三者割当増資を実施した。3月にはベンチャーキャピタル(VC)など計18 社から約 15 億 9000 万円を調達していた。
これらの調達資金は、次世代太陽電池の量産技術開発や製造・販売のための体制拡充などに活用する。
Company (どんな企業?)
エネコートは、京都大学の若宮淳志教授らの研究成果を実用化するために2018 年に設立された。次世代太陽電池「ペロブスカイト型」の開発に注力している。ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いており、材料をフィルムに印刷するように塗布することで製造できる。
一般的なシリコン系太陽電池と比べ、高効率でありながら製造コストが低く、軽量かつ曲げることができる。耐荷重に制限がある建物の屋根やビルの壁面など幅広い場所での活用が期待されているが、安定性や耐久性に課題があるとの見方もある。
Value(なぜ重要?)
政府は2021年10月に閣議決定した「第6次エネルギー基本計画」で、2030年度の電源構成について、再生可能エネルギーの比率を2019年度の18%から36~38%に引き上げ、そのうち太陽光発電の割合は約7%から14〜16%に高める目標を掲げている。
導入促進のため、低コストかつ幅広い場面で利用できる太陽光電池が求められている。
Trend(市場動向)
ビジネスコンサルティングのAstute Analytica(アステュート・アナリティカ、インド)は、ペロブスカイト型太陽電池の世界市場は2022年から年平均29%程度で成長し、2027年に20億ドル以上に拡大すると予想する。