起業家イーロン・マスク氏の宇宙開発スタートアップ、米SpaceX(スペースX)が都度課金制の新たな衛星通信サービス「STARLINK FOR RVs(スターリンクフォーRVs)」を始めた。RV(レクリエーショナル・ビークル)やキャンピングカーなど大型自動車を使う旅行者の需要を想定。必要な期間だけサービスを利用できる。
Value(なぜ重要?)
調査会社の米REPORT OCEAN(レポートオーシャン)の発表によると、宇宙の人工衛星を通じてネット接続サービスを提供する衛星通信の世界市場規模は、2019年に約621億9000万ドルだった。2020年からの7年間は年平均成長率9.2%で拡大が進むという。企業にとって開拓余地の大きい市場だ。
新興国や山間部ではネット接続が利用できないエリアも多く、世界の数十億人規模に相当するとの試算もある。米Amazon.com(アマゾン)やソフトバンクなど日本の通信会社がグローバルで衛星通信サービスの構築を進め、サービス内容の多様化も期待されている。
Detail(詳しい内容)
スペースXの新サービスはネット接続端末を購入し、月額利用料を支払えば衛星通信の対応エリアで使える。ネット通信が届かない地上でも、端末を介してスマートフォンなどが利用できる。13日時点では32カ国に対応し、米国では端末を599ドル、月額利用料を135ドルに設定したようだ。
旅行などでの一時的な利用を想定し、サービスは好きなタイミングで停止・再開できるようにした。料金はひと月単位で請求される。住宅向けの従来サービスでは毎月定額を支払う必要があった。また移動中にはネット通信を利用できないという。
日本各地では2022年度内に衛星通信サービスを提供する予定だ。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、人混みを避けてキャンプに行く人も多くなっている。スペースXはすでに2500基以上の衛星を打ち上げており、数を順次増やしてサービス対象エリアを広げる。
Comment(関係者コメント)
マスク氏は24日、自身のツイッターで「RV、キャンピングカー、そのほかの大型車ユーザー向けのスターリンクの提供を始めた」と投稿した。