2020年12月04日 07:05
中国と豪州、異常な緊張状態
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中国とオーストラリアの貿易対立が深刻化している。

もともと両国は、経済的な関係が深い。つい1年前には「対中紛争と無縁の国」などと言われていた。

中国向けの輸出はオーストラリアGDPの5%を占め、輸出の3分の1が中国向けというデータもある。

関係性を変えたのは、やはり新型コロナウイルスだ

4月にオーストラリアは新型コロナへの初期対応についてWHOと中国に「独立した検証」を求めた。米国サイドに同調した形だが、これを受けて中国側は経済的威圧に出る。

6月に入ると、中国政府はオーストラリアへの旅行自粛を呼び掛けた。理由は、「豪州で中国人を差別する動きが相次いでいるから」。

旅行、石炭、ワイン

その後も制裁の手は休まらない。10月には豪州産石炭の輸入を停止。昨年の輸出額は4.1兆円にのぼり、そのうち最大なのが中国向けだった。

そして11月末、中国は豪州産ワインに対して「反ダンピング」措置を講じた。中国での輸入に107%から212%もの"保証金"がかかることになる。

豪州産ワイン輸出もやはり中国向けがトップで、今年9月までの1年間では約920億円。その次に大きな米国向けを2倍以上上回る。

その後の報道によると、中国が課しているオーストラリア産ワインに対する関税は、4か月から9か月の間続く見込み。

11月30日には、オーストラリア兵がアフガニスタンの子供を殺しているように見える画像を、中国の政府高官がTwitterに投稿。オーストラリア側はこれをフェイクだとして、謝罪を求めた。

オーストラリアのモリソン首相は「両国の間に緊張があるのは明らかだ」とコメントしつつも「豪州が主権を放棄することによって解決されるものではない」と強い姿勢を維持する。