「統合型クラウドERP」としての成長戦略
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クラウド会計ソフトで知られるフリーが、成長可能性に関する資料を公開。サービス領域を拡大しつつ、積極投資やM&Aで契約数を拡大。会計・人事労務を合わせたTAMを1.2兆円と試算し、シェア拡大を急ぐ。
注目する理由: 英米でスモールビジネスが利用する会計ソフトに占めるクラウド浸透率は50%前後にのぼるが、日本は25.2%。Excelや外注に頼っている企業が45.9%を占めるなど、開拓余地は大きい。
個人事業主から中小企業をターゲットとしたクラウド会計ソフト「freee会計」と、クラウド人事ソフト「freee人事労務」を提供。課金ユーザー企業は9月末時点で31.3万社を超え、ARR(年次ストック収益)は120億円を超えた。
一方では新規顧客獲得のための先行投資がかさみ、営業赤字が続く。2021年6月期の営業赤字(調整後)は23億円。2022年6月期も25.6億円の営業赤字(同)を予想する。
直接的な要因は、積極的なセールス&マーケティング支出だ。年々改善してはいるが、2021年7〜9月期時点で売上の49.7%を占めた。
7〜9月のARPUは38,586円(前年比5.3%増)だったが、直近でグループジョインした「NINJA SIGN by freee」「Taxnote」はARPUを押し下げる方向に寄与しているという。
フリーが掲げるのは、スマートで適切なアクションを実現する統合型クラウドERP。すでに強固な強みを持つバックオフィス領域に加え、POSやCRMなどフロント・ミドル領域への展開も視野に入れる。