2021年12月18日 16:30
「垂直農場」にカタール投資庁などが2億ドル出資
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「都市型農業」を標榜するインファームが2億ドルの資金調達を発表。カタール投資庁を筆頭に複数の投資家が参画した。グローバルで展開する「垂直農場」ネットワークの拡大を目指す。

注目する理由: 言うまでもなく食糧供給は重要だ。インファームは「垂直農法」の活用により、増加する人口に食糧を行き渡らせつつ、環境に優しくサプライチェーンの混乱にも強いというモデルを構築する。

インファームは2013年に設立。化学農薬を使わず、輸送距離をかけずに育てる野菜やハーブの良さを広めるため、組み立て(モジュール)式のスマート農業システムを開発した。

都市全体にファームを分散させ、都市部の空いているスペースで新鮮な野菜を栽培、最先端の研究開発、特許技術、学際的チームによって世界的な農業ネットワークを構築している。

ヨーロッパや北米、アジアの11か国50を超える都市で事業を展開。大手小売30社に農作物を提供する17以上のグローイングセンターと1,400を超える店内設置ファームを稼働する。

日本でも事業を展開しており、紀伊國屋やサミットと提携。2023年にはカタールで初となるグローイングセンターを開設し、ハーブ類やレタス類、葉物野菜のほか、トマトやイチゴなどの果実類を栽培・収穫するという。

カタールは国土の大半が砂漠と岩の荒野で、食料自給率はわずか10%と非常に低いことで知られる。インファームが提供する垂直農場は、乾燥地域における自給率向上の切り札にもなりうる。