伊藤忠商事が「外為どっとコム」を傘下に
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伊藤忠商事は13日、FX大手の外為どっとコムの発行済株式40%を129億円で取得し、持分法適用会社化すると発表した。外為どっとコムは、エイチ・エス証券を傘下に持つ澤田ホールディングスの持ち分法適用会社だった。
注目される理由: 2020年、店頭FXの取引金額はYoY45%増の6,364兆円と過去最高を更新。金融リテール事業を強化する伊藤忠はFXを取り込み、顧客基盤の拡大を狙う。
外為どっとコムは年間340兆円以上のFX取引を担う大手事業者の一つ。2020年度のFX市場は、コロナ禍で在宅が続いた影響もあって急拡大。今後もFX市場そのものは成長が見込まれるとされる。
一方、FX業界は異業種参入が激しく、スプレッドの引き下げ競争に陥っている。外為どっとコムは、2021年3月期通期決算で減収減益。ドル円のスプレッドを縮小したことで、取引数量は増加したが収益性は低下した。
伊藤忠は、2021~2023年度の中期経営計画で「マーケットインによる事業変革」をうたう。商品縦割りの弊害を打破し、「商社No.1のリテール金融・保険事業の拡大」を目指すという。
来店型保険ショップ「ほけんの窓口」を2019年に連結子会社化するなど、リテール金融事業への投資を進める。伊藤忠グループと資本関係のあるリテール金融事業といえばオリコやポケットカードが代表的だが、給与前払い事業や保証事業会社などもある。外為どっとコムを連携し、サービスの多角化を推進する。