短尺動画アプリ『Tiktok』を保有する中国のバイトダンスは、米国事業を売却する期限について当局から延長を許可された。
延長されるのは「1週間」。次の金曜日、12月4日に期限切れとなる。
CFIUS(対米外国投資委員会)が延長を許したのは二回目だ。前回は15日間の延長だった。
今月バイトダンスは、Tiktokの米国事業についてオラクル、ウォルマート、バイトダンスの米国投資家などが保有する新会社に譲渡する提案書を提出。
認められたのは、Tiktokの新会社を米国企業であるオラクルの監視下におき、アメリカ人のユーザー情報を守るという座組みである。
調整が難航しているのは、新会社に対するバイトダンス側の関与。大統領令では売却期限の延長を最大で30日としており、最終期限は12月12日となる。
Tiktokの米国ユーザー数。2月時点の予想なので、実際の数値はこれを上振れし、その後急ブレーキがかかった
長引く交渉
振り返れば、騒動が始まったのは1年前。2019年12月、米国海軍が軍用端末からTiktokを削除するよう通達したのが最初だ。
2020年、新型コロナ流行もあってTiktokは爆発的に成長。累計ダウンロードは数は5月時点で米国だけで1.65億に達した。
事態が動き始めたのは7月。Tiktok側は米国での雇用を強化するなど回避を図ったが、月末にはトランプ大統領が米国内の使用を翌日にも禁止すると発言。
8月14日にはTiktokの米国事業を90日以内に売却することを求めた。9月20日にはダウンロードを禁止にする方針が発表。
その後、オラクルやウォルマートとの提携案が持ち上がったことで禁止は延期され、今でも交渉が続いているわけだ。
言うまでもなく、米国事業の分断はバイトダンスにとって痛手だ。大きな米国市場を失うだけでなく、巨大なインフルエンサー集団を「分割」されることにもなる。
果たして売却後、米国とそれ以外の市場はどう関わるのか。Snapのような競合には大チャンスだ。残り少ない時間で事態がどう決着するか注視したい。