スパイウェア開発元のイスラエル企業を提訴
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米Appleは23日、イスラエル企業「NSOグループ」に対し訴訟を提起することを発表。NSOグループはスパイウェア「Pegasus」を開発。訴訟はユーザーへのさらなる損害を防ぐためだという。
重要な理由: セキュリティが重視される昨今、Appleはプライバシー保護を強みとしてアピールしてきた。NSOグループを脅威として見做しつつ、最新OSでは遠隔攻撃は認められていない点も強調する。
NSOグループは2010年設立。政府機関向けにテロリズムや犯罪を検知し、防ぐためのテクノロジーを開発することを建前にしている。
スパイウェア「Pegasus」はiPhoneやAndroid端末をターゲットとし、感染するとチャットや画像、メールや位置情報を盗み見ることができる。マイクやカメラを密かに起動することすら可能だという。
45もの政府機関が同スパイウェアの顧客と言われる。今年7月18日には、ジャーナリストや政府高官、人権活動家が所有するスマホ37台をハッキングしていたことが17報道機関の調査で明らかにされた。
ワシントンポストは殺害された同紙記者ジャマル・カショギ氏の死亡前後、親交のあった女性2名のスマートフォン向けにPegasusが使われていたと報じている。
NSOグループ側は反論。同じ7月には「これ以上、この話題に関して報道機関の質問に応えない」と強硬な態度に出た。
セキュリティをアピールするAppleにとって、NSOグループのような存在は脅威だ。声明では「iOS15以降の端末に対する遠隔攻撃は観察されていない」と主張。全てのユーザーがOSを更新するよう呼びかけている。