不動産領域の拡大に向けて協業
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京王電鉄は22日、タカラレーベンの保有するサンウッドの株式を取得し、サンウッドと資本業務提携を行うことを発表。物件仕入や京王社有地の開発など、不動産事業について協業する方針を明らかにした。
注目する理由: 京王電鉄は今年5月、中長期的なテーマ「稼ぐ力の強化」を定め、不動産業の領域拡大を重点事項として位置づけた。サンウッドは京王グループの協力のもと、事業拡大を目指すことになる。
京王電鉄は2020年度、コロナ禍による甚大な影響を受けた。営業収益は3,154億円(前期比1,182億円減)、営業損益は208億円の損失(同568億円減)と、赤字に落ち込んでいる。
中長期で一番の懸念として見据えるのが、将来の人口減少だ。生活圏の縮小や輸送需要の低下、リアル商業の低迷などを向き合うべき逆風として捉え、沿線生活を維持する公共交通事業に希望を見出す。
そこで重要なのが魅力的な「まちづくり」。不動産デベロッパーとしての機能を強化し、賃貸業中心から総合不動産業への構造転換を掲げた。そんな折で資本提携を結んだのがサンウッドだ。
サンウッドはマンション分譲事業を主軸とするが、デベロッパーとしては売上規模が比較的小さい。個別の状況によって業績が上下動しやすい課題があった。そこで2013年にはタカラレーベンとの資本提携を結び、売上を伸ばしてきた。
サンウッドの株価は低迷し、時価総額は26億円を割る状況だった。京王グループとの協業により、「安定経営の目途」として掲げる売上150億円、営業利益10億円を実現できるかが目下の焦点となりそうだ。