テーパリング、はじまるよ
Shutterstock
FRB(連邦準備理事会)のパウエル議長は3日、量的緩和を段階的に縮小することを発表。今月から米国債100億ドル、MBS(mortgage-backed securities)50億ドル分、購入額を減らすという。
重要な理由: 米国経済が期待通り進めば、来月からも買い入れ額を同額ずつ減らし、2022年の半ばにはゼロとする計画だ。いわゆる「テーパリング(量的緩和の縮小)」の始まりである。
FRBは2020年3月、新型コロナウイルス感染拡大を契機とする「無制限の量的緩和」に乗り出した。それから1年半以上が経過し、足元ではインフレへの警戒感が強まりつつある。
インフレ率の長期目標としてFRBが掲げてきたのは「2%」。9月の消費者物価指数は前年同月比+5.4%だった。経済再開に伴う需要増にサプライチェーンひっ迫が重なり、物価の高止まりが続いている。
パウエル議長は依然、物価高は「一時的なもの」と見る。FRBの打ち手がサプライチェーンのひっ迫を解消することはできないと認めた上で、供給が改善すればインフレ率も目標値に近づくと主張した。
FRBは昨年末に金融政策の現状維持を決定、月に最低1,200億ドルもの資産購入を続けてきた。この11月から150億ドルずつ買い入れ額を減らせば、来年6月にゼロになる計算だ。
パウエル議長はテーパリングの開始が金利政策の変更を示唆するわけではないと強調。金利引き上げに移るには、より厳しい(経済回復の)条件を満たす必要があると付け加えた。