2021年10月17日 17:57
赤字縮小でも足りない収益改善
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大丸松坂屋を擁するJ.フロントリテイリング(JFR)と高島屋は10月14日までに2021年3〜8月期決算を発表。大幅に縮小したものの、依然として最終赤字が続く。

重要な理由: 百貨店業界への客足は、新規コロナ感染数の減少で戻りつつある。一方、高コスト・低利益なビジネスモデルからの転換は実現しておらず、リスクに弱い収益構造が浮き彫りとなっている。

高島屋は、営業収益は前年比16.8%増の3471億円。一方で35億円の最終黒字予想に対し、43億円の赤字。JFRも最終損失が19億円と赤字が続いた。

両社ともに本業で苦しい状況が続いでいる。高島屋の百貨店事業は69億円の赤字、JFRは同じく47億円の赤字だった。

その一方で持ちこたえたのは不動産事業だ。高島屋の商業開発事業は35億円の黒字、JFRではパルコなどSC事業が4億円、デベロッパー事業が18億円の黒字だった。

百貨店ビジネスは景気変動の影響を受けやすく、人件費など固定費率も高い。こうした理由から不動産業を強化してきた各社だが、未だ会社全体を支えるには至っていない。

高島屋や中国や東南アジアを中心に海外店舗も持つが、コロナ禍で状況厳しく、収益の足を引っ張った。国内の状況は落ち着きつつあるが、冬場には第6波も懸念される。収益改善に向けさらなる取り組みが不可欠だ。