2021年10月15日 20:29
無印良品を救う「食品事業」
Shutterstock

良品計画は15日、2021年8月期通期決算を発表。営業収益は4,536億円(前年比13%増)、営業利益は424億円(同13%増)となり、新型コロナの痛手から着実な回復を見せた。

重要な理由: 復調要因は、大規模な価格改定と、食品分野の伸長による国内事業の販売好調にある。下期は営業収益など全項目で計画未達となり、EC売上が横ばいとなるなど不安材料も大きい。

部門別売上(既存店+EC)の前年比は「衣服・雑貨」「生活雑貨」で横ばい。「食品」は41.8%増と急伸し、構成比は前年の8.5%から12.1%に上昇した。同事業をけん引した嶋崎朝子氏が取締役候補となったことを14日に発表している。

良品計画

大規模な価格改定は2018年から定期的に行われている。9月にはベストセラー商品の価格も改定。売上向上には貢献するが、コスト構造を変えなければ利益率低下は避けられない。2018年に11.9%だった営業利益率は、9.4%まで落ち込んでいる。

9月には2019年に入社した堂前宣夫氏が社長就任。マッキンゼー出身で、ファーストリテイリングで取締役となり、柳井正氏の後継者候補の一人だった。過剰在庫・過剰出店に苦しんだ良品計画に、合理的な生産管理体制を取り入れる。

2022年8月期から3年間の中期経営計画では「第二創業」をうたう。2030年には生活圏における個店経営を軸とした地域密着型の事業を想定。地元スーパーの横などに出店するイメージだ。値下げの原資を出店コストや店舗運営費の低減で賄う。