電子書籍が紙を飲み込む
Shutterstock
メディアドゥが13日、2021年3〜8月期決算を発表。売上高は552億円(前年比32%増)、営業利益は16.8億円(前年比10%増)と好調。昨年は巣ごもり消費による追い風があったが、今年も需要拡大が続く。
重要な理由: 電子書籍市場の拡大が続く中、メディアドゥは国内最大の電子書籍取次事業者として成長している。今年3月には紙出版の取次シェア2位トーハンの筆頭株主になった。電子書籍は紙を飲み込み始めている。
メディアドゥの前身フジテクノは1994年創業。携帯電話販売から音楽配信、そして電子書籍と商材の変化を経て成長した。8月末時点で取引先出版社数は2,200社以上、取り扱い稼働コンテンツ数は200万点を超える。

2020年の出版市場は1兆6,168億円(4.8%増)で2年連続で成長。その原動力こそが電子出版だ。メディアドゥは、紙出版も含めた新たな流通エコシステムの構築も視野に入れる。
トーハンとの提携では、出版業界のDX推進を提唱。SaaS型の電子書籍売上印税管理システム「PUBNAVI」を11月にサービスイン予定。将来的には本格的な出版ERPへの発展を目指す。小学館や講談社もメディアドゥの株主であり、業界への影響は必至だ。
今期決算では、20年10月に買収したNagisaののれんの減損処理で3.9億円の特別損失が発生。それでもM&Aや新規事業には積極的だ。9月にDeNAとNTTドコモとの共同出資企業エブリスタを買収。10月には書店で本を購入した読者に、NFTを活用したデジタル特典を付与するサービスの開始を予定している。