楽天銀行、上場準備を開始へ
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楽天グループは30日、子会社「楽天銀行」について株式上場の準備を始めると発表。より自律的な成長戦略を遂行でき、独自の資金調達を含めた成長・財務戦略を検討できるとアピールした。
重要な理由: 株式市場において「親子上場」は悪名高い。上場しても親会社が過半数を握るため、少数株主の意見が尊重されづらい。一方、親会社にとっては有力な資金調達の手段となる。
楽天はネット通販に始まり、旅行や証券、クレジットカードなど幅広い事業を展開することで「経済圏」を作ってきた。決算報告では「メンバーシップバリュー」として会員価値が7.4兆円にのぼるとアピールする。
依然として目指すのは「楽天エコシステム」の拡大だ。上場に際しては、関係当局による承認を前提とする。検討の結果次第では、上場しないという結論に至る可能性もあるという。
楽天グループはこのところ、モバイル事業への投資が重荷になっている。2021年上半期、同事業の売上は515億円、セグメント損失は997億円にのぼった。
IT企業による子会社上場では、ソフトバンクグループの事例が記憶に新しい。2018年に通信子会社ソフトバンクを上場させたとき、親会社は2兆6,000億円もの資金を調達した。
楽天のMNOサービスは低価格を売りにしており、今後も莫大な先行投資を避けられない。大手キャリアの価格引き下げが進む中、三木谷浩史氏の事業家人生も問われる。