ワクチン普及に向け、現実的な課題
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新型コロナワクチンの実用化に向けて世界中で期待が高まっている。しかし、実際に普及に至るには別の問題がハードルになりそうだ。それが「輸送」である。
ファイザーが開発したワクチンは摂氏マイナス70度という「超低温」で保存する必要がある。
これでは厳しいので、15日間は低温状態で運べる容器を開発したが、ドライアイスを交換しなければ10日程度しかもたないなど、やはり保管が難しい。
モデルナのワクチンは普通の冷蔵庫でも一か月近くもつというが、長期保存するには冷凍庫が必要である。
対応を急いでいるのが航空業界だ。摂氏マイナス70度での輸送に対応できるとする会社は15%。モデルナのワクチンでは、約60%の企業が対応できるという。
途上国でのハードルはさらに高い。インドでは2021年3月までにワクチンの利用を始めたい考えだが、13億人に行き渡らせるのは並大抵のことではない。
インドでの新型コロナウイルスによる死者はすでに13.4万人近くにのぼり、経済を立て直す上でも感染に歯止めをかけるのが急務になっている。