高収益SaaS
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クラウドストレージ事業を展開する「Dropbox」が市場での評価を徐々に高めている。2021年のこれまでに株価は46%上昇し、時価総額は129億ドルに達した。
成長は緩やかだ。課金ユーザー数は1,614万人(同7.6%増)。ここまでの人数になると、オーガニックな急成長実現は難しい。
そこで推進するのが「高単価戦略」だ。Dropboxは2019年にプロダクトを刷新、世界初のスマートワークスペースを実現すると宣言して『Dropbox Spaces』を発表した。
目指したのは、単なる「共有フォルダ」からの脱皮だ。Google Driveをはじめ、今ではファイルを共有する方法はいくらでもある。そこで生み出したのが、「重要なコンテンツとツールを一カ所にまとめる」というコンセプトである。
グループウェアとしての側面を押し出すことで、課金ユーザー数と平均単価(ARPU)がともに拡大。ARPUは133ドルと、2年前と比べて10%ほど上昇した。
ARR(年次ストック収入)は21.7億ドルで、現在の時価総額でもPSRは6倍程度に過ぎない。フリーキャッシュフローは2.16億ドルと、売上高に対して40%ほど。営業利益率も16%近くまで上昇している。